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神戸家庭裁判所 昭和52年(家イ)1081号 審判 1977年12月05日

申立人 大谷信子(仮名)

相手方 大谷美知子(仮名) 外一名

相手方両名法定代理人 親権者養父 大谷信介(仮名)

主文

昭和四九年三月五日大阪府○○市長あてに届出た申立人と相手方両名間の養子縁組は無効であることを確認する。

理由

本件申立の要旨は、「申立人と相手方両名法定代理人親権者養父大谷信介は、昭和二四年二月五日婚姻した夫婦であつたところ、両名は、昭和五二年一一月八日調停離婚した。ところで、上記大谷信介は、申立人との婚姻中である昭和三五年ころから同女とは事実上の離婚状態となつて、相手方両名の母である矢尻陽子と夫婦として同棲し、その間に、相手方両名を儲け、親子四人がともに暮してきた。大谷信介は、昭和四九年一月二八日相手方両名を認知したが、さらに、信介と矢尻陽子(相手方両名の養子縁組代諾権者)は、同年三月五日、申立人には全く無断で、申立人夫婦と相手方両名間の養子縁組届書を作成して、大阪府○○市長に届出をなし、同届出は受理された。しかしながら、申立人は、相手方両名との養子縁組を承諾したことはないので、上記養子縁組は、少くとも、申立人との関係において、申立人の縁組意思を欠き、無効であるといわなければならない。よつて、主文同旨の審判を求める。」というにある。

本件調停委員会の調停期日において、相手方法定代理人は上記事実を争わず、当事者間に主文掲記のとおりの合意が成立した。

当裁判所は事実を取調べたところ、上記申立の要旨にかかる事実が認められるし、上記認定事実、殊に、「本件縁組当時、申立人と大谷信介とは既に別居して久しく、事実上の離婚状態に陥つていたこと、相手方両名は、出生以来、大谷信介とその事実上の妻矢尻陽子とに養育されて親子として生活をともにしてきたが、申立人と暮らしたことはないこと、申立人と大谷信介とは既に離婚していること、等に照らすと、本件養子縁組を全部無効とすることなく、申立人と相手方両名間の養子縁組についてのみ無効確認することは許されるものといわなければならない。

よつて、上記の当事者間の合意は正当というべく、家事審判法二三条により、主文のとおり審判する。

(家事審判官 下方元子)

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