大判例

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神戸家庭裁判所姫路支部 事件番号不詳 決定

少年 G(昭一八・七・二生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(罪となる事実)

少年に対する神戸地方裁判所姫路支部昭和三五年(わ)第五九二号窃盗、放火被告事件決定書記載罪となるべき事実のとおり。

(適条)窃盗 刑法第二三五条

放火 同法第一〇八条

(要保護性)少年は家庭的に恵まれず、昭和二五年に母、父と相ついで失い姉二人も年少であつて少年を引取る能力もなかつたため以後養護施設において養育されて来たもので、現在も姉二人は既に結婚しているため、少年を引取ることも出来ない状態にある。又、資質的にも問題があり限界域の低知で、全般的に精神的発達が遅れているため、諸判断力に欠けるところがあり、上記の不幸な環境と相まつて、軽卒に自棄的な問題行動を起す危険がある。

本件非行中、放火は身寄のない少年の世話をよく見てくれる雇主が幾分口やかましく、飲酒の上何度も注意されたことに反感を持つていたところ、たまたま雇主の妻の指示通りに戸閉りをしたところ雇主より叱られたことに憤慨し、雇主を驚かし、困らすため、病気で寝ている雇主の真下の床下に火をつけた悪質なものであるが、鑑別の結果からも病的に異常な精神状態であつたとは認められず、上記の資質、経歴及び放火の後消火を手伝つている点も考え合わせると年少者にありがちな、単純で衝動的な自棄的な行為と認めるべきもので、長期に亘る拘束期間中に充分反省したものと見受けられ特に反復の危険性があるものとも考えられないが、窃盗事実については住込勤務先及びその得意先で繰返されたもので、その手口、回数から判断しても再非行の危険性は充分で、上記の資質行状から考えると少年を更生せしめるためには規律ある集団生活を経験せしめつつ、矯正教育を受けしめ、自制心と適応能力を養う他ない。よつて少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 大石貢二)

別紙(罪となるべき事実)

少年は

第一 別紙一覧表(編略)記載のとおり、昭和三四年四月上旬頃から昭和三五月九月二六日頃までの間に、前後一二回にわたつて姫路市○○××番地○瀬○方外五カ所で同人外五名所有の現金合計金一四、一五〇円額面金七、〇〇〇円の小切手一枚および腕時計一個(時価八、〇〇〇円相当)を窃取し

第二 昭和三四年九月頃から昭和三五年八月中旬頃まで、姫路市○○町○丁目××番地食料品商○川○作方に住込店員として雇われていたが、その間、時おり同人から仕事上の事について、飲酒のうえ小言を云われたため、同人を不快に思つていたところ、また同年六月四日午後九時頃少年が店の片附をしたことについて同人から、まだ時間が早すぎると、激しく叱られたのに腹を立てつい同人らの居住する家屋に放火してそのうつぷんを晴らそうと決意し同月六日昼過頃、同人方階下居室押入の床下にあるボール箱内に新聞紙を入れて準備したうえ、同日午後一〇時一〇分頃マッチで上記新聞紙に火をつけ、よつて上記押入の床板や壁板などに燃え移らせ、現に人の住居に使用している同家屋の一部を焼燬し

たものである。

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