大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸家庭裁判所姫路支部 昭和35年(家)330号 審判 1960年4月20日

申立人 李興俊(仮名) 外一名

事件本人 金淳子(仮名)

主文

本件申立はこれを却下する。

理由

申立人らは「申立人らが事件本人を養子とすることを許可する」との審判を求め、申立の実情として

事件本人は申立人らの長女李敬元の子であるが、長女夫婦は三重県下で生活し申立人らは昭和二十二年五月事件本人の離乳直後から肩書住所に同人を引取り養育して来た。このたび申立人らは事件本人を伴つて帰国の予定にしているが、日赤の取扱方針として十六歳未満の孫は養子縁組をしたうえでなければ帰国が認められないのでこの際事件本人を正式に養子としたく、許可の申立に及んだ次第である」と申立てた。

按ずるに法例第十九条により準拠法とせられる申立人ら及び事件本人の本国法である大韓民国民法(一九五八年法律第四七一号)の規定によれば申立人らが事件本人を養子とするについて、縁組の妨げとなる事由はないものと認められるうえ、同法は未成年者の養子縁組について法院その他国家機関の許可又はこれに類する処分を全く要件としていない。そして申立人らがわが国の方式により縁組をなすとしても養親となるべき者が自己の直系卑属を養子とするにはたとえ養子となるべき者が十五歳未満の未成年者であつても、家庭裁判所の許可を要しないことはわが民法第七九八条の明定するところであるから、事件申立はその必要の理由を欠き却下すべきものとし主文のとおり審判する。

(家事審判官 坂東治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例