神戸家庭裁判所姫路支部 昭和47年(家)503号 審判 1974年8月10日
申立人 増山光子(仮名)
相手方 増山勝(仮名)
被相続人 亡増山富二郎(仮名)
主文
本件申立を却下する。
理由
1 申立人は、被相続人の遺産の分割を禁止するとの審判を求めた。
2 記録によれば、申立人と相手方は被相続人の遺産の共同相続人と認められる。
3 申立人は「養子である相手方は被相続人の生前その扶養義務を全然つくさず、妻である申立人が専らその扶養につとめ、申立人が被相続人の扶養のために支出した金額は五三六万円に及ぶので相手方は先にこれを申立人に支払つてから遺産分割をなすべきで、それまでは分割を禁止すべきである」また「近時妻の地位は次第に高められているので、さらに有利な新立法がなされた時点で分割することを希望する」というのである。
4 しかしながら申立人の主張するような事実は民法九〇七条三項にいう「特別の事由」には該当せず、その他本件において一時的にも遺産分割を禁止すべき事由は見当らない。
よつて主文のとおり審判する。
(家事審判官 梶田寿雄)