福岡地方裁判所 平成10年(わ)211号
被告会社
本店所在地
福岡市南区野多目一丁目八番二号
会社名
有限会社 福重環境機器
代表者住居
福岡市南区野多目一丁目八番二-二一二号
代表者
重冨政教
被告人
本籍
福岡市南区井尻二丁目一二一一番地の三
住居
福岡市南区野多目一丁目八番二-二一二号
職業
会社役員
氏名
重冨政教
年齢
昭和一四年一〇月三〇日生
弁護人
追川道代
阿部博
検察官
栗田真記子
裁判所
福岡地方裁判所第三刑事部
裁判官
若宮利信
宣告日
平成一〇年七月一三日
主文
被告会社を罰金一二〇〇万円に、被告人重冨政教を懲役一〇か月に処する。
被告人重冨政教に対し、この裁判確定の日から三年間刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実の要旨)
被告人有限会社福重環境機器(以下、「被告会社」という。)は、給水管・給湯管等の販売及び取付等を目的とする会社であり、被告人重富政教は、被告会社の取締役として同社の業務全般を統括していたものであるが、被告人重富は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入及び通信費を計上し、第三者名義の預貯金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 平成五年七月九日から同六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、二七六万五五三円であったにもかかわらず、平成六年五月三一日、福岡市中央区天神四丁目八番二八号所在の所轄福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三万九二九円の欠損であり、これに対する法人税額は零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二、二九六万五、〇〇〇円を免れ
第二 平成六年四月一日から同七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、七一八万六、二八五円であったにもかかわらず、平成七年五月三一日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五四万一、一七〇円の欠損であり、これに対する法人税額は零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額九四三万四、七〇〇円を免れ
第三 平成七年四月一日から同八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五、二六二万三、二五三円であったにもかかわらず、平成八年五月三一日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七万四、七七四円の欠損であり、これに対する法人税額は零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一、八九七万三、六〇〇円を免れ
たものである。
(適用した罰条)
一 被告人重冨政教(以下「被告人重冨」という。)
被告人重冨の第一ないし第三の各行為(被告会社の業務に関し、架空の仕入れ及び通信費を計上し、第三者名義の預貯金を設定するなどの方法により所得を秘匿し、平成五年七月九日から同六年三月三一日まで、平成六年四月一日から同七年三月三一日まで、平成七年四月一日から同八年三月三一日までの各事業年度における被告会社の法人税について、虚偽の法人税確定申告書を提出し、不正の行為により、合計五一三七万三三〇〇円の法人税を免れた行為)は、各事業年度毎にそれぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人重冨を懲役一〇か月に処し、本件犯行内容に照らすと、被告人重冨の刑事責任は軽くないが、被告人重冨は本件に対し反省の情を示していること、本件起訴前に、本件各法人税につき修正申告を済ませ、既に本税、過少申告加算税、重加算税は全額納付済みであって、延滞税については分割納付をすることで、税務当局と協議し、承認を得ていること、被告人重冨は法人税の申告に際し、税理士でない人物に相談していたことが本件犯行を招いた一因になっていることに鑑み、現在はこれを改め、公認会計士に相談し、その指導を受けていること、被告人重冨には前科がないこと、などの情状を考慮すると、被告人重冨については、社会内における更生を期待することが十分に可能かつ相当であるから、刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間刑の執行を猶予することとする。
二 被告会社
被告人重冨の第一ないし第三の各行為は、被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社は、法人税法一六四条一項により、各事業年度毎にそれぞれ同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合計した金額の範囲内で、被告会社を罰金一二〇〇万円に処することとする。
平成一〇年七月二六日
裁判所書記官 穂坂雅裕
(裁判官 若宮利信)