大判例

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福岡地方裁判所 昭和42年(ワ)1234号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕責任原因

<証拠>を綜合すると、<中略>訴外中尾住吉は被告会社(旧商号福岡ホンダ販売株式会社)から本件加害自動車を月賦販売形式で買受け代金の支払確保の為その所有権は被告会社に留保していた。同訴外人は、本件事故発生前既に右売買代金の支払を了したのであるが新車との買替を考慮して所有名義は従来通りとしたまま、本件事故の日の約一週間前車検とそのための車の調整整備を被告会社の営業担当である訴外大和敏昭を介して同社に依頼し、右自動車を被告会社に預け、かつ車検終了後同車を他に転売することをも委託した。ところが、本件事故の前日被告会社の社員である被告河崎が訴外大和から同車のことを聞き、買受先につきあてがあるので、車を見せ度い。と申出て、同訴外人からこれを預り、福岡市で開催中の自動車シヨーを見物すべく、乗車中に本件事故を起したものであること、をそれぞれ肯認するに十分であり<証拠判断略>。

右事実関係によれば、被告河崎が本件事故につき過失の責任を免れないのはきわめて明らかであり、また、被告会社は本件事故車を実質上所有するものではないが、右事故の前に前記認定の経緯で自己の営業のため、これを預り保管し、これを預託の趣旨にしたがつて使用運転し得べき地位を取得したものであるから、特段の事情がない限り自賠法三条の運行供用者というに妨げない。唯右認定によると本件事故はたまたま、被告会社の従業員である被告河崎が私用のためこれを運転していた際に発生したものではあるが、同被告が被告会社の営業係である訴外大和からこれを預つた理由、経過からみて本件事故は客観的にみれば被告会社のための運行の下における事態と認めるに妨げないから、被告会社は人身事故については自賠法三条にいう自己のため自動車を運行の用に供していた者として同条に基く損害賠償の責任を免れない。また、右認定事実の下では本件事故による物損についても被告河崎の運転は外形上被告の事業の執行につきなしたものといえるから、被告会社には、民法七一五条による使用者責任を肯定すべきものと考える。(木本楢雄)

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