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福岡地方裁判所 昭和44年(む)263号 決定 1969年4月16日

被疑者 亀井徳則

決  定

(被疑者氏名略)

右の者に対する詐欺被疑事件につき、昭和四四年四月一五日福岡地方裁判所裁判官がなした被疑者を福岡拘置支所に勾留する旨の裁判に対し、福岡地方検察庁検察官から勾留場所を代用監獄博多警察署に変更することを求める準抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件準抗告の申立はこれを棄却する。

理由

一、本件準抗告申立理由の要旨は「被疑者には多数の余罪があり、その捜査遂行上関係人と被疑者の面通し対質等して取調べ、或いは犯行現場等に被疑者を同行して指示説明をさせる必要がある」というのである。

二、本件記録によれば、昭和四四年四月一五日福岡地方裁判所裁判官川上孝子が、右被疑者に対する詐欺被疑事件につき、福岡地方検察庁検察官古川純生の被疑者を代用監獄博多警察署に勾留することを求める勾留請求に対し、福岡拘置支所を勾留場所とする勾留の裁判を為したことは明らかである。

三、現行刑訴法上の勾留制度(就中刑訴規則一四七条が勾留場所を勾留請求の要件としていないこと参照)及び監獄法一条一項四号、三項の文理に鑑みると、勾留場所は原則として拘置監たる監獄とすべきものであり、これを代用監獄たる警察署付属の留置場とするのは特段の事由のある例外的場合に限るべきものである。

よつて本件につき、右特段の事由が認められるか否かについて判断するに、余罪捜査の必要性は本来勾留の理由ともならないものであり、原則として右特段の事由には当らないと考えられるところ、検察官主張の余罪の罪質等からみても、直接被疑者を関係人に面通しさせ、対質させる等して取調べ、或いは犯行現場等に被疑者を同行して指示説明させる等の施行につき、写真による確認、拘置所職員による被疑者の現場同行等検察官主張の方法に代るべきものが考えられ、その他本件記録を精査するも、右余罪につき、被疑者を代用監獄に勾留しなければ捜査遂行上著しい支障が生じる虞れがあるとも認められない。

四、よつて本件準抗告の申立は理由がなく、刑訴法四三二条四二六条一項により主文のとおり決定する。

(裁判官 藤田哲夫 鳥飼英助 大月妙子)

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