福岡地方裁判所 昭和44年(ワ)55号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告会社は、被告蒲田を雇傭しているとはいえ同人の職務は菓子製造の見習職人で運転免許を有しないのであるから自動車の運転がその職務内容に含まれる筈はないし、しかも事故当日は公休日で会社の営業活動は全面的に停止していたし、車は車庫に格納していたものを無断持出されたもので泥棒運転と同様であり、被告会社には本件車両に対する運行利益は勿論運行支配の可能性も全くなかつた旨抗争するが、運行に対する支配や運行による利益は現実的であることは必ずしも必要ではなく、車両やエンジンキー保管の実状、運転者との関係その他と被傭者との無断運転行為とを相関的にとらえて被傭者の行為を遮断ないし予防できるにもかかわらず、無断運転行為を可能ならしめるような状態においたものとみ得る以上被傭者の自動車運行の目的ないし動機にかかわりなく、自動車の運行を支配し、運行による利益を享受すべき地位にあるものと解されるから、前叙の如く車庫に格納されていたとはいえエンジンキーを差込んだまま放置してあつた本件車両やキー保管の実状からすれば被告会社には運行供用者としての責任ありというべく、免責の主張はとり得ない。 (麻上正信)