福岡地方裁判所 昭和45年(モ)1729号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕債権者がその主張の宅地六六番の二に地上権を有すること、右宅地が袋地であること、債権者主張の土地七四番の一を債務者が所有していることは当事者間に争いがない。
<証拠>によると、右袋地は北側に沿つて隣接する同所六六番の六と共に債権者所有の建物二棟の敷地となつており、この両地は一体となつて利用されているところ、その東側の同所六六番の五と七六番、南側の七五番の一及二、西北側の七三番の二、六六番の三の各隣接地には全て家屋が建築されており、周囲のうち空地となつているのは西側に接する右債務者所有の七四番の一と北側に接する六六番の四、七及八のみであること、この北側の三筆は更に北側に六七番の八、一二及一三の空地を隔てて六七の三及九の二筆よりなる私道に接し、この私道は東側の市道に通じていること、本件袋地の所有者は安部ミツエで、北側の私道との間に存する空地のうち前記六六番の六及四並びに六七番の八(以上三筆地積合計34.37平方米)は同女の夫安部俊次郎が本件袋地と右私道とを連結する通路に使用するため親戚の遠山寿一に買つて貰つたうえ賃借していること、右賃借部分はその地積形状からみて前記通路以外の独立した合理的用途に使用することは困難であること、債務者所有の前記七四番の一は独立した使用に価する宅地であることがいずれも認められ、これに反する証拠はない。以上の認定によると、右袋地のために右七四番の一の中に通行権を求めることは通行の場所、方法において民法第二一一条第一項後段の要件を充たすものということはできない。<証拠>によつてうかがわれるように、右七四番の一を通行することが商店街や市中央部に出るのに近く便利で今まで利用し馴れているのに反し、北側の私道に出ることは遠廻りになり、従来殆んど利用されていないのみならず、その間にはコンクリートブロック横積み三段程度の高度差があるとしても右の判断を左右するものではない。
そうすると他の点について判断するまでもなく、本件袋地のため右七四番の一の中に袋地通行権があるものとしてなした本件仮処分決定は取消し債権者の仮処分申請は却下すべきである。(三好徳郎)