大判例

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福岡地方裁判所 昭和45年(ワ)86号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告は被告との間になされた和解契約に基きその履行を求める。原被告間に和解契約がなされたことは当事者間に争いがないが、その内容等について双方の主張が一致しないので、この点検討する。<証拠>を綜合すると、原告は本件事故後頸椎捻挫のため守島整形外科医院に入院し、昭和四三年八月一六日退院したが、入院中の同月二日原告と被告会社員吉谷嘉門とが話し合つた結果、いつ治癒するか明確ではなかつたので大凡の見込みを立て、同年七月および八月分の休業損害金一二〇、〇〇〇円、慰藉料一〇〇、〇〇〇円と見込み一括払いとし、雑費金一五、〇〇〇円、賞与金二〇、〇〇〇円、いずれも同年八月一〇日払い、タクシー代金三〇、〇〇〇円ということに決り、なお同年九月以降に病気が回復しない場合は慰藉料、休業損害、雑費について被告が負担するということも併せて決り、その旨の書面を作成したこと、原告は退院後通院を続けているうち同年九月末日一応治癒したため、改めて右の和解を確認したが、その際原告が後遺障害を慮つて誓約書を作成するとき、もし後遺障害があつた場合は被告の指定する病院で診断を受け本件事故と関係ありと診断されれば被告が責任を負う旨の文言を記載したこと、結局被告は原告に治療費を支払つたほかに、見舞金五、〇〇〇円、休業損害金一八〇、〇〇〇円、慰藉料金一五〇、〇〇〇円、交通費金三八、〇〇〇円、看護料金三五、〇〇〇円、合計金四〇八、〇〇〇円を支払つたことが認められる。右事実からすれば、昭和四三年九月末日の時点において原告の受傷が一応治癒されたと診断されたので、被告にとつてこれですべて解決したと考えたのもあながち無理ないと言えるけれども、原告が後遺障害を虞れ、この点の保障を被告に求めたのも被害者として当然であり、被告がこれを受け入れたことも明らかである。従つて、被告が和解契約によつてすべて解決済だというのは結局後遺障害あるいはそれによる損害を争うことに帰し、後遺障害があつたとしてもそれまでも包含して履行済だとは到底認めることができない。<証拠>を綜合すると、原告は昭和四三年一〇月以降一応タクシー運転手として復帰していたが、翌四四年一月ごろから再び具合が悪くなり、頭痛、頸部背部痛、右上肢知覚低下、さらには嘔気、視力障害等両頸腕神経症状が認められるようになり、これらの症状が頸部捻挫に続発したものと診断されて昭和四四年九月一〇日から同年一二月六日まで入院して治療を受けたことが認められるので、被告は前記和解契約に基き原告の右後遺障害によつて生じた損害を賠償しなければならない。(富田郁郎)

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