福岡地方裁判所 昭和53年(わ)363号 判決 1978年10月05日
本店所在地
福岡県中間市大字中間六、三七四番地
法人の名称
岩崎産業工事株式会社
代表者の氏名
岩崎虎彦
本籍
福岡県直方市大字下境三、六四一番地の二
住居
同県中間市大字中間二、七二〇番地の一七
会社役員
岩崎虎彦
大正六年一二月九日生
右被告人らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官足立敏彦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人岩崎産業工事株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人岩崎虎彦を懲役一〇月に、各処する。
被告人岩崎虎彦に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人岩崎産業工事株式会社は、福岡県中間市大字中間六、三七四番地に本店を置き、送電線工事請負等を営業目的とする資本金二〇、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人岩崎虎彦は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人岩崎は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和五〇年五月一日から同五一年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が五〇、五九〇、〇二八円であったにもかかわらず、外注費を架空計上したり、枕木賃貸料収入を除外するなどして簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、同五一年六月二八日、北九州市若松区白山一丁目二番三号所在の若松税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二、三六八、四四八円であり、これに対する法人税額が七、三七三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の前記事業年度における正当な法人税額一八、六二〇、〇〇〇円と右申告税額との差額一一、二四六、九〇〇円を免れ、
第二 昭和五一年五月一日から同五二年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が九三、三八九、三六四円であったにもかかわらず、前同様の不正な方法により所得を秘匿した上、同五二年六月三〇日、前記若松税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二九、四七六、四八四円であり、これに対する法人税額が一〇、二六五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の前記事業年度における正当な法人税額三五、七九一、四〇〇円と右申告税額との差額二五、五二六、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告人岩崎虎彦の当公判廷における供述
一、被告人岩崎虎彦に対する大蔵事務官の質問てん末書(四通)及び同被告人の検察官に対する供述調書(三通)並びに同被告人作成の上申書
一、登記簿謄本
一、景山幸郎・岩崎虎彦作成の上申書(六通・検証101120212223)
一、検察官山本和昭作成の捜査関係事項照会書写し(四通・検証12141618)
一、検察事務官作成の捜査報告書(三通・検証131719)
一、西日本相互銀行都城支店長作成の回答書
一、景山幸郎、中村和統(三通)、岩崎トミ子、増田洋治、石原長三、岩崎孝作、笠原篤、松永栄生、山本道夫、磯部和孝に対する大蔵事務官の各質問てん末書
一、景山幸郎(二通)、中村和統(二通)、岩崎トミ子(二通)、石原長三、石原仁、岩崎孝作、大園英彦、高野義信、中村和幸、山本章、後藤基次郎、笠原篤、松永栄生、山本道夫、中村和歌枝、磯部和孝の検察官に対する各供述調書
一、中村和統・岩崎虎彦作成の上申書
一、岩崎トミ子・岩崎虎彦作成の上申書
一、増田洋治・岩崎虎彦作成の上申書
一、石原長三、大園英彦、後藤基次郎、松永干城ほか一名、松永栄生、磯部和孝、田中丸重雄、作成の各上申書
一、検察官作成の電話聴取書(検証62)
一、大蔵事務官作成の査察官調査書(五通)
一、西日本相互銀行中間支店長(四通・検証87ないし90)、福岡銀行中間支店長(二通・検証9192)、安田信託銀行北九州支店長(四通・検証93ないし96)、東洋信託銀行九州支店長(二通・検証9798)、三井信託銀行北九州支店長、福岡相互銀行中間支店長(二通・検証100101)、中間市農業協同組合昭和町支所長、同組合長理事(三通・検証103ないし105)、遠賀信用金庫中間支店長作成の各証明書
一、大蔵事務官作成の報告書(検証116)
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検証1)並びに脱税額計算書説明資料(検証3)
一、押収してある法人税決議書一綴(昭和五三年押二一一号の一)
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検証2)、並びに脱税額計算書説明資料(検証4)
一、押収してある法人税決議書一綴(昭和五三年押二一一号の二)
(法令の適用)
被告人会社につき
法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項、刑法四五条前段、四八条二項
被告人岩崎虎彦につき
法人税法一五九条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条一項。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 寺坂博)