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福岡地方裁判所 昭和57年(ヨ)806号

債権者

米田三男

右訴訟代理人弁護士

田中久敏

津田聰夫

債務者

あけぼのタクシー有限会社

右代表者代表取締役

瓜生哲也

右訴訟代理人弁護士

苑田美穀

山口定男

古川卓次

主文

一  債務者は、債権者に対し、金三六万円を仮に支払え。

二  債権者のその余の申請を却下する。

三  申請費用は債務者の負担とする。

理由

一  債権者の本件申請の趣旨及び理由は、別紙一記載のとおりであり、債務者の答弁及び主張は、別紙二記載のとおりである。

二  当裁判所の判断

1  当事者間に争いのない事実及び疎明資料並びに審尋の全趣旨によれば、次の事実が一応認められる。

(一)  債権者は、債務者会社(以下「会社」という。)にタクシー乗務員として雇用されている者であり、会社のタクシー乗務員で構成されるあけぼのタクシー労働組合(以下「組合」という。)に所属し書記長の役職にある。会社は、タクシーによる旅客運送事業を営む有限会社である。

(二)  会社は、債権者に対し、昭和五七年六月一八日(以下同年中については月日のみで表す。)付で同日から一か月間の懲戒休職処分(以下これを「本件第一の処分」という。)を、七月一八日付で同日から二か月間の懲戒休職処分(以下これを「本件第二の処分」という。)を行った。本件各処分は、会社就業規則七三条五号(「一回以上懲戒処分を受けたにもかかわらず尚改しゅんの見込がない時」)、同二五号(「故意又は重大なる過失により会社に損害を与え又は与えようとしたとき、若しくは、会社の信用をそこなったとき」)にそれぞれ基づいてなされたものであり、いずれも債権者が別紙一末尾の「宣伝用テープの内容」記載の内容のテープを流して街頭宣伝活動をしていた組合執行委員長横田重信(以下「横田」という。)及び同副執行委員長中島九州男(以下「中島」という。)の所為に加担したということに関するものである。

(三)  本件各処分に至る経過は、次のとおりである。

(1) 債権者の所属する組合(所属組合員は債権者のほか三名。)及びその所属組合員と会社との間には、昭和五一年八月になされた横田、中島両名に対する懲戒解雇のほか種々の紛争があり、会社が従来横田、中島ら組合員に対してなした懲戒、その他の措置をめぐって、労働委員会に対する救済申立や裁判所に対する提訴がなされ、現在なお係争中である。

会社が横田、中島ら組合員に対してなした懲戒解雇などに関して福岡県地方労働委員会(以下「地労委」という。)により別紙三記載の各救済命令が発せられた後も、会社と組合との労使関係は自主的交渉によって進展することがなく、組合が過去の懲戒処分関係について団体交渉を申し入れれば、会社側は、その問題は裁判所の最終的結論が出るまで応じられないとの態度を示し、他方、会社が昭和五七年夏期一時金の問題など限定された事柄に限っての交渉を申し入れれば、組合は、労使関係全般にわたっての交渉でなければ応じられないとして、それぞれ頑なな態度を変えず、結局、会社と組合との労使関係には何らの改善もみられなかった。

(2) 組合は、三月一五日ころ開かれた組合大会において、会社との対立紛争状態を有利に展開させるべく市民に対し組合への支援を訴えるため宣伝カーにより街頭宣伝活動を行うことを決定し、横田及び中島が中心となって準備を進め、横田所有の小型乗用車に放送装置をとりつけ、四月八日福岡県南警察署長の設備外積載許可及び道路使用許可を受けた。右宣伝活動の内容、方法については、別紙一末尾「宣伝用テープの内容」記載のような内容の録音テープを作成し、前記乗用車の放送装置によりこれを再生し、スピーカーにより拡声しつつ、午前一〇時すぎころより福岡市東区千早所在の横田方から国道三号線を経由して博多駅ないし天神付近を運行し、午後には同市東区へ戻り、午後四時半ころまでその付近を運行する、運行に際しては住宅街通行中や信号停車中は音量を下げるなどの配慮をする、運行は非番の日(会社のタクシー乗務員は隔日勤務である。)に行うものとし、おおむね週二、三日を目標にするという基本的な方針がとられることとなった。

そして、四月一五日ころから、横田及び中島を中心として、時には債権者もこれに加わって本件宣伝カーの運行が開始され、まもなく会社側もこのことを知った。

本件宣伝活動は、瓜生社長の私宅周辺でも行われ、さらにあけぼの会代表戸田戸代一名義で会社に対し後記(4)のような要望書が提出された後には右戸田方付近でもなされたことがあった。

債権者は、前記方針の決定に関与したものの、右宣伝活動に従事することがまれであった。

(3) ところで、これに先立つ三月二二日、横田が乗務中のタクシーを安全地帯に衝突させるという事故を起したので、会社は、同人を三月二四日から六日間の出勤停止処分に付し、また、中島が四月一一日乗務中のタクシーで交差点を右折中に人身事故を起したので、会社は、同人を同月一三日から六日間の出勤停止処分に付し、かつ、それぞれ同月二日付及び同月二〇日付の始末書を徴した。

これに対し組合は、執行委員長横田名義で、右の処分及び事故の事後処理が組合の団結権を侵害する不当ないやがらせであるとの抗議書をそれぞれ同月五日及び同月二六日付で会社に提出した。ところが、会社は、右のような抗議と折から本件宣伝活動が行われていたことなどから、横田及び中島には反省の色がないとして横田に対し同月二六日から、中島に対し同月二七日からそれぞれ会社就業規則七三条五号に基づき各三〇日間の懲戒休職処分をした。さらに、その後も本件宣伝活動が継続された(右両名が休職処分に付されたため宣伝カーの運行はほぼ連日のように行われた。)ので、会社はこれが会社の信用を損なうものであるとして会社就業規則七三条二五号に基づいて横田に対し五月二六日から、中島に対し同月二七日から各三か月の懲戒休職処分をした。

(4) その後も引き続き、本件宣伝活動が継続されていたところ。同月三一日付で、組合員を除く会社従業員で構成されているあけぼの会の代表戸田戸代一名義で、本件宣伝行為は営業妨害行為であって会社の従業員であるタクシー乗務員にとっても運収減少の原因となるものであるから即時やめさせるよう求める要望書が会社に提出された。そこで、会社は、六月八日、債権者を呼び出し、右要望書を示して組合としての本件宣伝活動の中止を勧告し(当時、会社に出勤し就労していた組合員は債権者のみであった。)、債権者に対し右活動に加担しないよう警告した。

(5) 会社は、同月一〇日、債権者が宣伝カーに同乗してこれを運行しているのを現認したため、翌一一日、同人に確認したところ、債権者は、宣伝カーに同乗したことを認め、さらに今後もこれを継続する旨言明した。そこで、会社は、同月一三日、同人に対し、再度同旨の警告をしたものの、同人が依然右活動を続けると明言したため、反省の態度がないとして業務命令違反を理由に会社就業規則七一条八号(「業務上の怠慢又は監督の不行届によって事故を発生させる等、会社に損害を与えたとき。」)に基づき同月一一日から一週間の出勤停止処分をした。さらに、会社は、右出勤停止期間の満了した同月一八日、債権者の意思を確認したところ本件宣伝活動を続ける旨の返答がなされたため、反省の態度が認められないとして本件第一の処分(但し、処分通知書上は「出勤停止」と表示されている。)をし、続いて右休職期間の満了した七月一八日、右同様の手順で本件第二の処分をした。

2  そこで、本件における主要な争点である本件宣伝テープ内容についての虚構の有無及び本件宣伝活動による影響につき検討する。

(一)  本件宣伝テープの内容における虚構の有無

(1) まず、本件宣伝テープの内容のうち、「あけぼのタクシーの瓜生社長は地方労働委員会の命令、即ち組合員の解雇無効や賃金支払えの命令も守ろうとしていません。」という点は、地労委が昭和五二年一二月五日にした福岡労委昭和五一年(不)第二三号不当労働行為救済申立事件についての命令、地労委が昭和五六年六月二三日にした同昭和五三年(不)第二四号及び同昭和五四年(不)第二五号各不当労働行為救済申立事件についての命令を指すものと債権者は主張するところ、それらの命令主文が別紙三記載のとおりであり(なお、後者の命令主文は、後に明白な誤記等の理由により訂正されており、別紙三記載のものは右訂正後の内容である。)、債務者は右命令主文のうち、当裁判所により緊急命令が発せられた部分(緊急命令の内容は別紙四記載のとおりである。)は履行したが、その余の部分は全て履行しておらず、現在なお当裁判所や福岡高等裁判所において係争中であることが疎明資料により一応認められる。従って、右の宣伝内容は、地労委の命令のうち右のとおりこれを守っていないものがあるという限度では真実であり、全体としても虚偽、虚構であるということができない。

(2) 次に、「あけぼのタクシーの瓜生哲也社長は、労働組合を毛嫌いし、組合員にいやがらせをしたり、差別や処分を乱発しています。」という点については、債権者は、前記の地労委の命令主文中に掲記されている各懲戒処分をはじめとする懲戒処分や組合員であるタクシー乗務員が事故を起したときのみ始末書を提出させることなどを指すと主張するところ、右主張事実のうちに不当労働行為と目さざるをえないものがあったことは当裁判所に顕著な事実であるから、右の宣伝内容はその限度では事実であるというべく、全体としても虚偽、虚構であるということはできない。

(3) さらに、「瓜生社長は慰安会や忘年会から組合員だけをはじき出し、村八分しようとしています。」という点については、債務者は慰安会や忘年会はあけぼの会が独自に企画して実施しているもので会社とは無関係であるとし、組合が独自にそのような行事を実施すれば会社としてもあけぼの会会員一人当りと同程度の資金補助をすると主張する。疎明資料及び審尋の全趣旨によれば、会社における慰安会や忘年会は、あけぼの会により実施されており、あけぼの会は組合員の加入を拒否しているので、結局組合員は右のような会合に他の従業員と同席しえない状況にあることが一応認められる。そして、これは、会社があけぼの会の運営に介入して同会をしてそうせしめている結果であるというのが組合側の従来からの主張であるところ、あけぼの会の実体は必ずしも明らかでなく、過去においても会社があけぼの会の職場委員長再選挙に関して何らかの介入をした疑いもあり、少なくとも同会が会社と好意的な、組合とは対立的な動きをすることが多かったことは、疎明資料により一応認めることができる。そして、このような従来からの経緯に照らすと、組合において同会が組合員を同会から排除して慰安会や忘年会に出席させないのは会社の介入の結果である、と主張することは、必ずしも事実無根のことではないと解せられる。

(4) 以上の各段を総じてその言い回し、文脈等からこれを聞く者の受ける印象について考えてみると、「あけぼのタクシーの瓜生社長」が遵守すべき地労委の命令にすら従わないほど激しく組合を嫌忌して不当労働行為を続けている旨組合が主張しているものと受け取るのが一般であると解される。なるほど、中には瓜生社長が遵法精神が希薄であると言われているかのように受け取る者もないとはいえないかも知れないが、全体を通じてみればあけぼのタクシーの労使間に苛烈な争いがあると感ずる程度のことが一般であろうと思われる。そして、この種の情宣行為はもとより公正な論評とは異なり紛争中の一方当事者が他方に対する主張を述べるものであることはこれを耳にする者には自明のことであるところ、本件においては具体的な事実の摘示をしている部分はいずれも部分的にもせよ事実と認められるものを含んでいて、ことさらに虚偽、虚構の事実を摘示しているものとはいえず、確かに表現上は限定を欠くため言語の意味としてはやや包括的に過ぎる内容となっており公正な論評とはいえないものの、紛争当事者である組合の主張としてこれを聞く者にとっては、直ちに会社ないしはその代表者の行動の不当性を感じ取る程の具体性に乏しいから、本件宣伝活動において組合が主張している内容自体については、やや誇張に及ぶ点はあるものの、当、不当の問題はともかく、未だ違法とすることは相当でないというべきである。

(二)  本件宣伝活動による影響

(1) 疎明資料によれば、本件宣伝活動が始められた後、会社のタクシー乗務員や配車係の従業員らが、乗車した客や取引先あるいは住民から、あけぼのタクシーは労使紛争中なのかと問われたりあるいは毎日スピーカーで放送されやかましいとか子供が眠っていたのにスピーカーの音で目を覚してしまったとかいう苦情を受ける事態が続いていること、会社の配車担当者によれば顧客からの電話によるタクシー利用の申込数が減ったと報告されていることが一応認められる。

(2) また、疎明資料によれば、昭和五七年五月の会社の営業収入の対前年同月比伸び率は、福岡市内の同業他社の平均並の水準にあったが、同年六月、七月になると次第に落ち込みを示し、特に七月は輸送人員の減少も著しいことが一応認められる。一般に企業の営業成績は様々の要素が複雑に作用し合った結果であり軽々に一箇の原因によってのみ説明すべきでないのは勿論であるが、右認定のような債務者会社における営業成績の悪化は、前記のような顧客等からの苦情申出の状況からみて、他に特段の疎明のない本件では一応本件宣伝活動にかなりの原因があると推認するのが相当である。

3  一般に企業施設外における宣伝カー等による労働組合の情宣活動は、社会通念上許容される限度を超えるものでない限り違法視することができないが、右限度を超えるか否かについては、情宣活動の目的、必要性、内容、企業が被る不利益の程度等を総合的にしん酌して判断するのが相当である。

これを本件についてみるに、本件宣伝活動は、前記2で認定したとおり、瓜生社長の私宅周辺でも長期間にわたって継続されているためその住居の平穏を害するおそれがあり、また、会社の営業上にもいくらかの支障を生ぜしめていることがうかがわれ、これらのことからすれば、本件宣伝活動をもって違法視する余地もないではない。

しかし、仮に本件宣伝活動に関与した債権者の行為が懲戒事由を規定した会社就業規則七三条五号、二五号に該当するとしても、本件宣伝活動は、前記2で認定したとおり、会社と組合との間に深刻な紛争が続き団体交渉すら持つことができない状態であったので、組合がその局面を有利に打開すべく市民に対し組合への支援を訴えるためなされたもので、このような事態を招いたことに会社にも一半の責任があること、宣伝内容においても全体を通じてみて虚偽、虚構とは認められないこと、本件宣伝活動によって生じている会社の営業活動に対する障害は団体交渉等による正常な労使関係の回復により解決されるべきものであること、債権者の右宣伝活動に関与している度合いが低いことなどに照らすと、本件宣伝活動に関与したことを主たる理由に債権者に対し昭和五七年六月一一日付出勤停止一週間の懲戒に引き続いて休職一か月及び休職二か月の本件各懲戒を連続してなすことは、少なくとも懲戒権の濫用に該当し無効というべきである。

4  疎明資料によれば、債権者は、主として債務者から受ける賃金によってその生計を維持していること、債務者会社では毎月一一日に前月一日から末日までの間の賃金が支払われ、債権者は平均月額一八万円を下らない賃金を得ていたことが一応認められる。しかし、一方、本件申請が暫定的に債権者の窮迫状態の救済を図ることを目的とする仮処分手続であり、かつ、休職期間通算三か月の懲戒処分に対する救済を求めるものであること等を考慮すると、本件申請は、主文記載の限度でその必要性があるものと認めるのが相当であるから、右限度でこれを認容し、その余の本件申請を却下し、申請費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 辻忠雄 裁判官 湯地紘一郎 裁判官 松本光一郎)

別紙一 申請の趣旨

一 債務者が債権者に対してなした昭和五七年六月一八日付休職一か月、昭和五七年七月一八日付休職二か月の各懲戒処分の効力を仮に停止する。

二 債務者は、債権者に対し、昭和五七年七月以降同年九月まで毎月一一日限り月額金一八万〇一三七円の金員を仮に支払え。

三 訴訟費用は債務者の負担とする。

との裁判を求める。

申請の理由

一 当事者

債権者は、債務者会社(以下「会社」という。)にタクシー乗務員として雇用されている者であり、会社のタクシー乗務員で構成されるあけぼのタクシー労働組合(以下「組合」という。)に所属し書記長の職務を行っている者である。

会社は、旅客運送の事業を行う有限会社である。

二 本件各懲戒処分

会社は、債権者に対し、昭和五七年六月一八日付で同日から一か月間の休職、同年七月一八日付で同日から二か月間の休職という各懲戒処分を行った。

三 本件各懲戒処分の無効

本件各懲戒処分は、いずれも会社就業規則の解釈適用を誤ったものであり、かつ、不当労働行為として無効である。以下理由を詳述する。

1 就業規則の解釈適用について

(一) 本件各懲戒処分は、債権者が組合活動として末尾「宣伝用テープの内容」記載のとおりの内容をテープにふきこみ、これをマイクで流しながら宣伝車を運行していたことが、会社就業規則七三条五号、二五号に該当するものとして加えられたものである。

(二) そもそも、労働者及び労働組合の行う言論活動は、その団結を維持し、強化し、そして労働組合の目的である労働者の人間らしい生活を維持し向上するための基本的な活動である。従って、団結権、団体行動権を保障する今日の法秩序のもとでは、そうした活動を使用者が事実上否認し去ることは許されず、一定の範囲でその行為を受忍する義務を負うものである。労働組合は、そうした言論活動を展開することによって、対内的には組合員の志気を高め、連帯感を強化し、団結を守り、さらに対使用者との関係では、それによって団結による威圧を与え、運動を有利に展開することができるのである。さらに運動は企業内運動にとどまらず、それを同一産業、関連産業、ないし同一地域の労働者さらには全国の労働者に呼びかけ、共闘ないし支援を実現することによって、より強化し、より成果を収めうるのである。また、運動を展開していくうえで、要求の正しさを世論に訴え、使用者の不正、不当を宣伝して世論の支持を得て運動を有利に展開することが必要なことも言うまでもない。従って、その言論活動が団結を守り、労働者の経済的地位の向上を図ることを目的としてなされる限り、正当な組合活動と評価すべきである。

会社就業規則七三条五号、二五号は、かかる場合にはそもそも適用されない。

(三)(1) 本件各懲戒処分の対象となった宣伝専用テープの内容は末尾記載のとおりであるが、その基本的な内容は全自交あけぼのタクシー労働組合が、あけぼのタクシー瓜生哲也社長に対し、<1>地方労働委員会の命令を守れ、<2>人権無視のいやがらせをやめろ、<3>時代錯誤の労働組合敵視をやめろ、と要求しているものである。

(2) 右<1>の点については、組合と会社との間の福岡労委昭和五一年(不)第二三号並びに同昭和五三年(不)第二四号及び同昭和五四年(不)第二五号の各不当労働行為救済申立事件について福岡県地方労働委員会が昭和五二年一二月五日及び昭和五六年六月二三日付でなした各命令を会社が履行しない事実を指すものである。また、同<2>の点については、右地労委命令書主文に書かれている各懲戒処分や組合員が事故を起した時のみ始末書を提出させることや本件各懲戒処分に先立って横田、中島及び債権者に対しあいついでなされた出勤停止等の懲戒処分等の事実を指すものである。また、同<3>の点は、右<1>、<2>の背景にある会社の不当労働行為意思の存在を指すものである。

(3) 従って、宣伝用のテープの内容はいずれも虚偽の事実を宣伝するものではなく、ことさらに会社の信用を毀損する目的で作成されたものでもない。むしろその内容からも明らかなように、会社の不当労働行為を指摘して世論に呼びかけ、その圧力によって組合員の地位向上を図ろうとするもので、労働組合運動本来の目的に沿った言論活動である。

(4) なお、債権者らは、宣伝車運行の際、時間帯やマイク音量等にも細心の注意を払い、運行は午前一〇時すぎから午後四時三〇分ころまでとし、住宅街や信号停車中にはマイクの音量を極力下げるという心配りを行った。

(四) 従って、本件宣伝車運行による言論活動は会社就業規則七三条五号、二五号には該当せず、右規則を根拠に行われた本件各懲戒処分は、就業規則の解釈適用を誤ったものであり、無効である。

2 不当労働行為について

本件各懲戒処分は、正当な組合の言論活動に対して加えられたものであり、労働組合法七条一号の不当労働行為として無効である。

四 賃金並びに保全の必要性

1(一) 債権者は、債務者会社に雇用され、毎月一一日に前月一日から末日までの分の賃金を与えられ、その給与によって家族の生計を維持しているものである。

(二) 債権者は、昭和五七年四月ないし六月にそれぞれ前月分として、金一八万二九七二円(同年三月分)、金一八万〇〇六八円(同年四月分)、金一七万七三七三円(同年五月分)を受領した。

(三) 右三か月間の債権者の賃金の月平均は金一八万〇一三七円となる。

2 債務者会社からの収入を失えば、債権者一家の生活が困窮に陥るのは必定であり、保全の必要が存在することは明らかである。

よって、本件仮処分申請に及んだ次第である。

宣伝用テープの内容

市民のみなさん。御通行中のみなさん。

こちらは全自交あけぼのタクシー労働組合です。

あけぼのタクシーの瓜生哲也社長は、労働組合を毛嫌いし、組合員にいやがらせをしたり、差別や処分を乱発しています。

あけぼのタクシーの瓜生社長は、地方労働委員会の命令、即ち組合員の解雇無効や賃金支払えの命令も守ろうとしていません。

かえって、瓜生社長は、慰安会や忘年会から組合員だけをはじき出し、村八分しようとしています。

あけぼのタクシーの瓜生社長は、地方労働委員会の命令を守れ。

あけぼのタクシーの瓜生社長は、人権無視のいやがらせをやめろ。

あけぼのタクシーの瓜生社長は、時代錯誤の労働組合敵視をやめろ。

こちらは全自交あけぼのタクシー労働組合です。

別紙二 申請の趣旨に対する答弁

一 債権者の申立を却下する。

二 訴訟費用は債権者の負担とする。

との裁判を求める。

申請の理由に対する答弁

一 申請の理由一項は認める。

二 同二項は認める。

三 同三項の冒頭の主張は争う。

1(一)については、正当な組合活動であるとの点は争い、その余は認める。

1(二)については争う。

1(三)(1)については、テープ内容が大筋において債権者主張のとおりであることは認める。

1(三)(2)については争う。命令中緊急命令については現在裁判係属中である。

1(三)(3)については争う。

1(三)(4)については争う。意識的に得意先、関係先あるいは債務者会社代表者及び役員自宅周辺を集中的に回っている。

1(四)については争う。

2については争う。

四 同四項の1は認める。

2については争う。

債務者の主張

一 本件各懲戒処分は、債権者の違法な情宣活動に対し科されたものである。債権者らの情宣内容は、虚構の事実を並べたて、債務者会社(以下「会社」という。)及び同社代表者個人の信用を失墜せしめ、名誉を毀損することを目的としたもので、かつ、その情宣方法も不相当なものである。

二 会社は、右情宣活動により営業収益の減少を来たし、多大の被害を受けている。

三 債権者に対する処分経過は次のとおりである。

1 会社従業員横田重信は、昭和五七年三月二二日に、同中島九州男は、同年四月一一日にいずれもタクシー運転手としては最も基本的な過失に基づく事故を起した。そこで、会社の就業規則七一条八号により、横田に対し同年三月二四日より、中島に対し同年四月一三日より、いずれも六日間(三乗務)の出勤停止処分をし、横田から同月二日に、中島から同月二〇日に始末書を受領した。

2 ところが、横田の処分に対し同月五日、中島の処分に対し同月二六日、いずれもあけぼのタクシー労働組合執行委員長横田重信名義による抗議書が会社に提出された。

3 会社が、同社乗務員の事故について、当該本人を出勤停止の処分に付し、始末書をとるのは、職業運転手としての反省及び自覚を求めるためであり、安全を第一とする運送業を営む会社として当然のことである。従って、会社としては、組合員であろうと非組合員であろうとしかるべき処分をしてきた。

しかるに、横田らは、自らの意思により、一旦は始末書を提出しておきながら、その直後に組合活動名下にそれを撤回するような抗議書を提出し、あまつさえ、同月二二日ころから、債権者主張のような内容の悪宣伝を始めた。右内容は後述のとおり全く虚偽の事実を並べ、単に会社の信用を失墜せしめ利益を害し、かつ、社長個人を名指しで誹謗中傷するものである。

そこで、会社が同月二六日に横田から、同月二七日に中島から事情聴取をしたところ、同人らは、頑なに自分の非を認めず、反省の色が全く見受けられないばかりか、悪宣伝を継続する意思を表明した。

4 客を預る運送業者たる会社としては、かかる安全意識の欠落した運転手に乗務を許すことは、より大きな事故につながるものであり、かつ、処分を受けたにもかかわらず反省の色をみせない横田らにはいずれも改悛の見込みがないと判断し、会社就業規則七三条五号により、横田に対し同月二六日より、中島に対し同月二七日より、各三〇日間の懲戒休職処分にした。

5 その後、横田らは、再三の口頭、文書による警告にもかかわらず、同趣旨の悪宣伝を続け会社の営業を妨害し続けた。

そこで、会社は、横田らに対し、同年五月二二日、文書により最終警告書を出し、反省の機会を与えたが、同人らがそれを無視し悪宣伝を続けたため、同月二八日、会社就業規則七三条二五号により、横田に対し同月二六日より、中島に対し同月二七日より、各三か月間の懲戒休職処分をし、その旨の通知をした。

6 同年六月八日、会社従業員により構成されているあけぼの会より会社に対し横田らの宣伝活動は、会社の営業妨害であり、各運転手の運収減少を来たしだしているので即時取止めさせるよう求める要望書が提出された。そこで、会社としては、右宣伝活動が組合名下でなされていることから、当時、勤務中の唯一の組合員である債権者に対し、右営業妨害活動の中止勧告と債権者自身宣伝活動をしないよう警告した。

7 同月一〇日、債権者は前記警告にもかかわらず宣伝カーに同乗し、宣伝活動をしていることが現認された。そこで、会社は、翌一一日同人に確認したところ、同人がその旨認め、続行の意思を表明したので、会社就業規則七一条八号により一週間の出勤停止処分とした。会社は、同月一八日、再度同人の意思を確認したところ、違法な宣伝活動を継続する意思を表明したので、同日付で一か月間の休職処分をし、さらに同年七月一八日、同人の宣伝活動継続の意思確認後、同日付による二か月間の休職処分をしたものである。

四 債権者らのしている宣伝の内容は、次のとおり虚偽のものである。

1 「地方労働委員会の命令」について

福岡労委昭和五一年(不)第二三号事件の地労委の命令については、会社はその取消を求めており、現在福岡高等裁判所昭和五六年(行コ)第五号事件として審理中である。なお、その件に関連しての緊急命令が出されたが、会社は、横田らを職場復帰させ、その履行はしてきた。

同五三年(不)第二四号及び同五四年(不)第二五号事件についても現在福岡地方裁判所昭和五六年(行ウ)第一六号事件として審理中である。なお、その件に関して地労委より職場復帰に関する緊急命令の申立がなされたが、却下されている(福岡地方裁判所昭和五六年(行ク)第五号事件)。

また、同地労委の救済命令の対象である坂本常雄より、会社に対して懲戒処分無効確認等請求の訴えが提起されたが、一審において請求は棄却され(福岡地方裁判所昭和五三年(ワ)第一五七一号等)、現在福岡高等裁判所において審理中である(同裁判所昭和五六年(ネ)第六二三号事件)。

このように地労委の命令の適法性について、現在裁判所において審理中であり、しかるべき緊急命令については遵守している。

債権者らの宣伝内容は、右事実を意識的に隠ぺいし、地労委の命令が絶対的なものであり、その適法性について提訴していることがあたかも遵法精神に欠けていると、聞くものをして誤解せしめるものである。

2 「人権無視のいやがらせ」について

債権者は、どういう事実をもって、そう指摘するのか、定かではない。申請の理由では、各処分の事実を指すとあるが、宣伝内容においては、「慰安会や忘年会から組合員だけをはじき出して村八分しようとしている」という点を指すかのようにも窺える。そうとすれば全くの事実無根である。慰安会や忘年会は、会社の従業員で構成しているあけぼの会の会員が、毎月給料より積立てた資金で自主的に実施しているものであり、会社とは関係がない。組合員が独自にそのような行事を現実に実施した場合は、会社としてもあけぼの会会員一人当りと同程度の補助をすることは表明しており、この件に関しては地労委も会社の主張を認めている。

組合員にのみ処分をするという点も事実誤認も甚しい。会社における昭和五七年六月一九日以前の懲戒処分等の例を示すと、始末書については昭和五三年七月二三日以降一六回これを提出させているが、組合員と非組合員とで差別的取扱をしたことはないし、出勤停止処分についても、昭和五五年三月二九日以降六件の事故に関して同処分をしたが、うち二件が組合員に対するものであり、他の四件は非組合員に対するものである。事故に関する処分は、事故内容を検討し、悪質なものに対して出勤停止の処分をしているのであって、会社としては組合員、非組合員の区別なく取り扱っている。

3 「組合敵視」について

債務者会社は、駐留軍離職者の離職対策として発足した会社であり、その役員らもかつて全駐労の組合員として活動してきた者たちである。従って、労務管理と労働条件を最重点に運営してきており、同規模他社に比べ常に好条件であることを自負している。正当な組合活動に対して、何ら不利益な取扱をしたことはなく敵視したこともない。むしろ、債権者らは組合活動と称して誤った活動を繰り返し、自ら組織を壊滅状態に追い込み、現在全従業員七〇名のうち三名のみの組合となってしまったのである。

さらに、この数年間、正常な組合としての活動、例えば、団体交渉の申出もなく、会社側とあけぼの会の交渉に委ね、解決後同一条件を容認するという実態である。

4 以上のとおり、その宣伝内容は全く事実無根であり聞く者をして、会社及びその代表者の信用を失墜せしめ、誤解せしめるものである。また、その宣伝方法も、長期間にわたり連日早朝から夕方遅くまで主として会社得意先、取引銀行、社長をはじめとする役員自宅周辺を集中的に徘徊するものであり、あるいは実車しているあけぼのタクシーに追尾して、乗客を不快がらせるという状況である。

その内容及び宣伝方法において組合活動としての宣伝活動を著しく逸脱し、違法なものであり、個人的私怨に基づき、会社の信用失墜、会社内部の混乱を目的としたものに過ぎない。現在、債権者らの違法な宣伝活動により顧客らからの苦情、売上げの減少が来たし始め、他従業員らより早急にこの宣伝を止めさせてくれるよう要望が出されている状態である。

五 宣伝活動の正当性については、次のように解すべきである。

1 債権者は、「組合活動としての言論活動は使用者との対抗、対立関係の中で行われるものであるため、言論内容は使用者を批判、攻撃するものになり、多少の誇張を含むことになるのは当然である」という前提のもとに、「時には企業の名誉、信用、体面をなんらかの形で毀損する結果をもたらすこともやむを得ず」その活動により懲戒の対象となるのは、「会社批判が、単に個人的私怨を晴らすため全く虚偽の事実を宣伝し、ことさら会社の名誉、信用体面を毀損する目的をもってなされた場合」のみであるという。この見解は、労使関係を階級的対立の観点から把えたもので、双方の信頼関係に基づく労使関係の確立を図ろうとする理念及び判例の傾向に反するものであって、賛成しかねる。

もとより、労働者、労働組合の言論、表現の自由は尊重されるべきことは言うまでもない。平穏に労使の対立関係を解消していくためにも言論活動により労使双方とも相手方を自由に批判しうることが望ましい。この結果、相手方の名誉、信用に多少の影響を及ぼすことがあったとしても、それが合理的な批判である限り双方とも甘受すべきであろう。即ち、公正な批判の自由は双方とも保有すべきものである。

組合活動としての言論、宣伝活動の正当性の判断基準の第一は内容の真実性である。合理的、公正な批判と言えるためには、その内容が客観的に事実に吻合していることが前提となるのであって、そうでない場合は、当該言論、宣伝活動は正当性を失うものである(同趣旨判例として、東京高判昭和五一年五月一七日・判例時報八二五号九五頁、大阪高判昭和五三年六月二九日・判例時報八九八号一〇七頁等)。従って、その内容が虚構のものであるというほどでなくとも事実を誇張し、あるいは歪曲して会社を非難攻撃することも許されない(前掲大阪高判)。

正当性判断基準の第二として、その宣伝の態様において許容されるものと否とに分かれる。例え宣伝内容が事実であったとしても、組合活動として正当性を付与されるのは、「対使用者との関係」において「労働条件の維持改善等」(労働組合法二条)を図る目的でなされた場合のみである。従って、企業役員あるいは幹部職制個人を名指して批判、誹謗したり、個人の私行を暴露したり、私生活の平穏を害したりする宣伝活動は正当なものとはいえない(高知地判昭和三一年一二月二八日・労民集七巻六号一〇一八頁等)。

2 本件の宣伝活動についていうと、前記二において述べたとおり、本件宣伝内容は事実に反し、不当なものである。特に、地労委の命令については、会社はそれを不満として取消を求め提訴し、審理中である。会社の主張を認めた判決も出されている。債権者らは、判決により取消が認められた分についても、「地労委の命令を守れ」と主張してやまない。地労委の命令が絶対的なものであり、使用者には提訴して真実を究明する権利はない、とでも言うのであろうか。このような債権者らの頑なな態度に見られるように本件宣伝内容は、全くの虚偽事実であり、仮にそうでないとしても事実を隠ぺいし、自分らに都合良く組み立て、事実を歪曲誇張したもので、その程度も認容し難いもので、正当な宣伝活動とは言えないものである。

本件宣伝内容は、事実の報道について約二四〇文字六文章からなる。その各文章の頭に必ず、「あけぼのタクシーの瓜生社長」と個人を名指している。そして連日、日に何回となく同社長の自宅周辺を徘徊しているのである。また、会社の営業中の車両を見出すと、その後を追尾し、ボリュームを上げて宣伝し、乗客に不快な念を抱かせている。このような宣伝活動方法、態様は妥当性を欠き、債権者らの活動目的が個人に対する誹謗、いやがらせ、会社の信用失墜であることを裏付けるものである。

なお、債権者らは、本件宣伝活動は昭和五七年三月の組合大会において決定した旨述べている。しかし、彼らが同月二〇日に、春闘統一要求として申し入れた事項の中には本件宣伝内容項目は全く入っていない。その他、この件に関し、使用者と協議しようという姿勢も全くない。

本件宣伝活動の目的は、債権者の主張と程遠いところにあるものと言って過言でない。

別紙三 地労委の命令主文の内容

福岡労委昭和五一年(不)第二三号不当労働行為救済申立事件(申立人あけぼのタクシー労働組合、被申立人あけぼのタクシー有限会社)

一 被申立人は、中島九州男に対する昭和五一年六月二一日付出勤停止処分を取り消し、同処分がなかったものとして取り扱い、また、同人に対する同年八月二一日付懲戒解雇処分を取り消し、同人を原職に復帰させるとともにその間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。

被申立人は、横田重信に対する昭和五一年八月二一日付懲戒解雇処分を取り消し、同人を原職に復帰させるとともにその間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。

二 被申立人は、本命令交付の日から七日以内に、下記の文書を縦一メートル、横二メートルの白紙に明瞭に墨書して、本社の従業員の見やすいところに一〇日間掲示しなければならない。

会社があけぼのタクシー労働組合執行委員長中島九州男に対して行なった昭和五一年六月二一日付出勤停止処分及び同年八月二一日付懲戒解雇処分並びに同書記長横田重信に対して行なった昭和五一年八月二一日付懲戒解雇処分は、いずれも福岡県地方労働委員会の命令によって不当労働行為であると判断されましたので、上記処分を取り消します。

昭和 年 月 日

あけぼのタクシー労働組合

執行委員長 中島九州男殿

あけぼのタクシー有限会社

代表取締役 瓜生哲也

三 申立人のその余の申立は、これを棄却する。

福岡労委昭和五三年(不)第二四号、同昭和五四年(不)第二五号各不当労働行為救済申立事件(申立人、被申立人前同)

一 被申立人は、申立組合員中島九州男に対してなした(1)昭和五三年三月一六日付、(2)同年三月一九日付、(3)同年三月二六日付、(4)同年四月二三日付、(5)同年六月二日付各出勤停止処分及び同横田重信に対する(1)昭和五三年三月一八日付、(2)同年三月二〇日付、(3)同年四月二二日付各出勤停止処分を撤回し、このような処分がなかったものとして取扱い、横田に対する(1)の分を除き、両名に対し同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。

二(1) 被申立人は、申立組合員坂本常雄に対する<1>昭和五三年三月一四日付三箇月間、<2>同年六月一六日付四日間、<3>同年六月三〇日付二日間、<4>同年七月二一日付六日間、<5>同年七月三〇日付三箇月間の各出勤停止処分を撤回し、このような処分がなかったものとして取扱い、同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を同人に支払わなければならない。

(2) 被申立人は、申立組合員坂本常雄に対する昭和五四年三月二八日付懲戒解雇処分を撤回し、原職に復帰させるとともに、同処分がなかったものとして取扱い、同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を同人に支払わなければならない。

三 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。

別紙四 緊急命令の内容

福岡県地方労働委員会が福岡労委昭和五一年(不)第二三号不当労働行為救済申立事件についてした昭和五二年一二月五日付命令(主文は別紙三記載のとおり。)について、あけぼのタクシー有限会社が昭和五三年一月一八日福岡地方裁判所に右命令の取消を求める訴を提起した(同裁判所同年(行ウ)第一号不当労働行為救済命令取消請求事件)ため、同労働委員会があけぼのタクシー有限会社を被申立人として右命令の主文第一項について緊急命令を求める申立をした福岡地方裁判所昭和五三年(行ク)第二号緊急命令申立事件についての同地方裁判所昭和五三年三月一三日決定主文の内容は、次のとおりである。

被申立人は、本案判決の確定に至るまで、申立人が別紙三のとおり不当労働行為救済申立事件について昭和五二年一二月五日付で被申立人に命令した命令主文のうち、第一項について、中島九州男及び横田重信に対する賃金相当額の支払を命ずる部分を除き、その命令に従わなければならない。

申立人のその余の申立を却下する。

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