大判例

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福岡地方裁判所久留米支部 昭和46年(ワ)9号・昭46年(ワ)53号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕次に右債権譲渡行為につき参加人が本訴において行使した否認権の効果につき考察するに、訴外会社が福岡地方裁判所八女支部において昭和四六年三月一七日破産を宣告され参加人がその破産管財人に選任された事実は原告、被告とも争わず、又参加人の否認権行使につき被告はこれを争わないが、原告は右否認権行使の要件を具備していない旨争うところ、前掲各証言及び原告の供述並びに証人本松成文の証言によれば、訴外会社は昭和四五年六月頃から経営が順調にいかなくなり同年九月頃から賃金繰りに困り始め、同年一〇月始頃以来三回に亘り主な債権者数十名乃至二〇〇名位に参集して貰つて会社幹部から経営内容を説明して協力方を依頼し、債権者も亦伝統ある大塚屋を維持させるため、債権の何パーセントかを棚上げするとか手形の大半は弁済を延期してやるなど再建策を講じたが、一一月初旬頃から債権者らは将来を懸念して訴外会社への納品を手控え始めた為売上げが落ち、債務合計一億二千万円位で債務超過となつて、同月一八日頃破産申立を受けるに至つたものであるが、訴外会社は被告らに対して有する前記敷金債権を同年一一月一〇日に原告に譲渡したのであるから、当時既に訴外会社運営は行き詰り殆んど恢復不能に陥つていて、原告に右債権を譲渡すればそれだけ他の多数債権者らを害する結果になることを知りながら敢て債権譲渡をなしたものと認めるに十分であり、一方右債権譲渡が他の債権者を害することを当時原告が知らなかつたかどうかにつき考えるに、前掲証人宮本孝治の証言及び原告の供述によれば、原告は訴外会社の経理事務を担当していた宮本の伯父で専ら農業に従事し、右宮本の仲介で同会社に金員を貸与したものの、同会社が支払の期限も守らず担保も提供しないので、右宮本に対し支払いを督促し担保の提供をやかましく言つて、自らは同会社の経営状態につき特に意を払わなくとも、右宮本を通じて同会社に交渉し前記の如く敷金債権の譲渡を受けるに至つたのであり、叙上の経緯に徴し原告が当時における訴外会社の経営状態、資産状況を何ら聞知せず、右債権譲受当時他の債権者を害することを知らなかつたとは認め難く、又仮に原告自身は全く何ら他債権者侵害の事実を知らなかつたとしても、原告の代理人的立場にあつたと目すべき宮本が訴外会社の経理を担当していたのであるから、同人においてその事実を知らなかつたとは到底いえず、そうだとすれば受益者たる原告の善意悪意を問わず前記債権譲渡行為はこれを否認し得るものというべく、結局本件債権譲渡に対する参加人の否認権の行使は理由があり、従つて原告は被告に対し最早敷金返還請求権を有しないからその本訴請求は失当として棄却を免れず、参加人は破産財団に復帰した右敷金債権に基き被告に対し該敷金の返還を求め得る。 (安仁屋賢精)

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