大判例

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福岡地方裁判所小倉支部 平成2年(ワ)212号・平2年(ワ)854号 判決

(抄録)

「一 争点一について

末尾括弧書き記載の証拠によれば、次の事実が認められる。

1 NがYに販売したのはクロレラサンライフ八〇〇(錠剤八〇〇粒入、二万六〇〇〇円)、クロレラエキスサンライフ九〇〇(九〇〇シーシー入、三万五〇〇〇円)ほかであって、それ自体は一部にある病気に対する薬効を認める者はいるものの、一般にはタンパク質やビタミンなどを高度に含んだ健康食品と考えられているものである。(証拠省略)

2 Nは、真実に反し、クロレラにがんこな慢性病に対する薬効がある旨を記載した多数のチラシを新聞に折り込んで配布し、クロレラを宣伝した。Yは、医師の診療を受けても治らない持病(リューマチ)で悩んでいたため、それを見て購入を申し込んだところ、Nの社員がY方を訪問してクロレラ(医薬品とは表示されていないが、化粧箱入りビンの中に錠剤又は溶剤が入っており、箱に成分等の表示がある。)を示してその薬効や飲み方を説明し、強く購入を勧めた。Yは、クロレラに説明された薬効があると信じてXのクレジットを利用して高価な右商品を多量に(省略)購入した。(証拠省略)

3 Nは、同様の方法で本来薬効のないクロレラを多量に販売していたが、効果がないなどと問題化し、後日、薬事法違反(医薬品無許可販売)で摘発され、起訴猶予になった。(証拠省略)

右事実によれば、Yは、高価なクロレラを多量に購入しているが、これはクロレラが自分の通常の医療で治らない持病に効果があると誤信したからに外ならず、その購入の動機は、Yに一見もっともらしい(実際は虚偽の)説明をしたNの社員自体十分に分っていたし、クロレラに薬効があるか否かは本件の売買契約においては物の性状に関する要素に当るものであるから、YとNとの本件売買契約は錯誤によって無効というべきである。

二 争点二について

XとNとがいわゆる加盟店契約を結んでいることはショッピングローン契約書(甲一)をまつまでもなく明らかである。Xが右契約に際し、Nの営業内容にどの程度の調査をしたかは判然としないが、少くともXは、仮にNがいわば詐欺的商法でクロレラを販売することを知っていたらそれに加担したとは考えられないし、知らなかったことに重過失があるとする事情も認め難いので、本件立替払契約自体が公序良俗に反した無効のものとは考えられない。

三 争点三について

XとYとの間の本件立替払契約と、YとNとの本件売買契約は、本来別個の契約であって、右売買契約上の抗弁を直ちに同立替払契約上で主張できるとか、逆にXが右両契約が別個であるとの主張ができないとかいう議論は一般的に採用することはできない。

ただ、本件の場合、売買契約の対象であったクロレラは、その形状や使用目的、効能効果等についての販売の際の演述から医薬品に該当すると判断されたが、本来、クロレラは健康食品であり、法施行令一条別表第一、一(動物及び植物の加工品であって人が摂取するもの)の指定商品であることから、法三〇条の四によって売買契約上の抗弁をXに対して対抗しうるものと解する(なお、現にショッピングローン契約書(甲一)は、一二条でこのことを予定しているから、Xに不利益はない。)

そうであれば、本件売買契約は錯誤により無効であるからXの本訴請求は理由がない。

また、Yの反訴請求も前記法三〇条の四の規定は、消費者保護のため創設的にもうけられた規定であって、右規定の文言上、請求を受けたときの対抗、すなわち支払拒絶を意味するものと解されることから、既払金の返還は許されないものといわざるをえない。

四 結論

以上のとおりであって、Xの本訴請求も、Yの反訴請求も理由がない。」

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