大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所小倉支部 昭和37年(わ)910号 判決 1963年7月12日

被告人 福島心治郎こと中村心治郎

昭一八・一〇・七生 無職

主文

被告人を無期懲役に処する。

未決勾留日数中二百日を右本刑に算入する。

押収してあるナイフ一本(昭和三十七年押第三百四十八号の一)および日本刀一振(同号の二)はいずれもこれを没収する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、二十才に満たない少年であるが、

第一、昭和三十七年八月二十五日より同年九月二十九日までの間、別表記載のとおり十五回にわたり、北九州市八幡区藤田町一丁目藤田銀天街、丸徳家具店前外十四ヵ所において、村田林吾外十六名所有の現金合計金四万九千六十円およびカメラ一台外四十五点(価格合計金六十九万三千二百五十五円相当)を窃取し、

第二、同年九月二十八日午後九時ごろ、さきに高橋征孝から剃刀で左手首などを切られたことに対する仕返しをしようと、刃渡りおよそ八センチメートルのナイフ(昭和三十七年押第三百四十八号の一)をズボンのうしろポケツトに忍ばせ、さらに刃渡りおよそ五十三・五センチメートルの日本刀一振を携えて、同市八幡区黒崎町一丁目ダンスホール「ムーンライト」に同人と会いに行き、右日本刀を同ホール横の空地に隠し、「ムーンライト」で右高橋征孝と会つたが、同人に連れがあるとみるや、「黒崎小学校で話をしよう。」と連れ出し同行中、同日午後九時二十分ごろ、右高橋征孝が同区藤田町二丁目の果実商妹塚享方裏口付近の道路上において、立ち止まつて煙草を吸おうとしてマツチをつけたとき、機先を制して同人をナイフで刺そうと決意し、同人を死に至らしめることがあつてもやむをえない考え、いきなり所携の右ナイフで同人の胸部を突き刺し、同人に加療二十三日を要する右側胸部刺創、肝臓切創、腹腔内出血、後腹膜下出血の傷害を負わせたが、殺害の目的を遂げなかつた。

第三、(一)同日午後十時過ぎごろ、桑本定男と連れだつて、同区春の町六丁目、林田畳店付近の道路を通りかかつた際、折から通行中の古庄六男(当時三十一年)外一名とささいなことから言い争いとなつたが、右古庄六男が被告人の胸倉をつかむや、同人の死に至ることを認識しながらあえて、着衣の下に隠して持つていた刃渡りおよそ五十三・五センチメートルの日本刀(同号の二)で同人の胸部を突き刺し、同人に左乳下刺切創などの傷害を負わせ、右林田畳店前において、左乳下からの心臓、下大静脈、右肺刺通に基く外傷性出血により死亡させ、

(二)法定の除外理由がないのに、前記(一)の日時場所において、前記のとおり刃渡りおよそ五十三・五センチメートルの日本刀一振(同号の二)を所持したものである。

(証拠の標目)(略)

(法令の適用)

法律に照らすと、被告人の判示所為中第一の窃盗のうち別表記載の1ないし13の点はいずれも刑法第二百三十五条、第六十条に、別表記載の14および15の点は同法第二百三十五条に、第二の殺人未遂の点は同法第二百三条、第百九十九条に、第三の(一)の殺人の点は同法第百九十九条に、第三の(二)の銃砲刀剣類等所持取締法違反の点は同法第三条第一項、第三十一条第一号、罰金等臨時措置法第二条に該当するので、第三の(一)の殺人については所定刑中無期懲役刑を、第二の殺人未遂および第三の(二)の銃砲刀剣類等所持取締法違反については各所定刑中有期懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法第四十五条前段の併合罪であるところ、判示第三の(一)の罪について無期懲役刑を選択したので、同法第四十六条第二項、第一項に従い他の刑を科せずして、被告人を無期懲役に処し、刑法第二十一条により未決勾留日数中二百日を右本刑に算入し、主文掲記の押収物件中ナイフ一本(昭和三十七年押第三百四十八号の一)は判示第二の殺人未遂の用に供したものであり、日本刀一振(同号の二)は判示第三の(一)の殺人の用に供したものであり、かつ同(二)の組成物件であり、被告人以外の者に属しないので、同法第十九条第一項第一号、第二号、第二項により、被告人からいずれもこれを没収することにし、訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項但書により被告人に負担させない。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 坂本義雄 塩田駿一 上田耕生)

(別表犯罪一覧表省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例