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福岡地方裁判所小倉支部 昭和43年(ワ)886号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、原告が昭和四二年一〇月二三日被告より金一五〇万円を利息月三分、弁済期同年一二月二五日の約定で借受け(同日期限までの利息として金九万円を天引)、その担保のため本件不動産に抵当権を設定し、同時に右債務不履行を停止条件とする代物弁済契約を結び、同日その旨の抵当権設定登記及び停止条件付所有権移転の仮登記がなされたことは当事者間に争いがない。

二、所有権に関する仮登記の原因たる契約が停止条件付代物弁済契約または代物弁済予約の形式をとつていても、本来の代物弁済を成立させるためのものではなく消費貸借上の債権を担保するために締結された場合においては、その実質は目的不動産から債権の優先弁済を受けることを目的とする債権担保契約とみるべきであつて、かかる場合債務者が弁済期に債務の弁済をしないとき、債権者は目的不動産を換価処分またはこれを適正に評価し、それによつて具体化する右物件の価額から、優先弁済を受けるべき自己の債権額を差し引き、その残額を清算金として債務者に支払うことを要すると解すべきである。特に契約時における不動産の価額と弁済期までの元利金額とが合理的均衡を失するようなときは、特別な事情がないかぎり、右の趣旨の債権担保契約とみるべきである。

これを本件について見るに、本件契約後昭和四三年二月七日当時の本件不動産の時価は、<証拠>によれば金一七三万円であり、<証拠>によれば金二五〇万八〇〇〇円である。また<証拠>によれば、本件不動産は原告が昭和四〇年九月二〇日金一五〇万円位で購入したものであること、被告は原告から移転登記を得た後、昭和四三年二月中旬右不動産を訴外重松正昭に金九三万円位で売却し(もつともこれは後記のような事情から特別に廉価で売却された)重松はさらに同年三月二五日訴外坊野誠に金一五五万円で、坊野は同年八月二九日訴外佐藤五男に金一八〇万円でそれぞれ売却したことが認められる。そうすると本件契約成立(昭和四二年一〇月二三日)当時の本件不動産の価額はせいぜい金一八〇万円位であつたとみるのが相当である。一方弁済期までの元利金額は、天引額九万円を利息制限法二条により制限超過部分を元本の支払に充てたものとみなして計算すると、およそ金一四四万七〇八五円となり(左の式のとおり―略―)本件不動産との価額の差はそれほど大きくなく、いまだ合理的均衡を失するとは解せられない。

のみならず、<証拠>によれば、被告は原告から借金を申込まれたとき本件不動産の価額につき区役所その他専門家に聞き合せた結果、ほぼ金一五〇万円の貸金に見合うものと判断して前記契約を締結したことが認められ、これらの事情を総合すると、本件停止条件付代物弁済契約は前記の趣旨の債権担保契約であると認めることは到底できず、債務不履行の場合に被告が確定的に所有権を取得すべき趣旨の本来の意味の代物弁済契約(非清算型)であると認めるのが相当である。そうすると清算金の支払を求める原告の第一次請求は、その余の点につき判断するまでもなく、失当たるを免れない。 (森永龍彦 寒竹剛 清田賢)

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