大判例

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福岡地方裁判所小倉支部 昭和52年(手ワ)199号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件手形は被告が都野に対し融通手形として受取人欄白地で振り出したものである。ところが都野はこれを更に右振出しの事情を知らない光武石油に対し融通手形として譲渡し、光武石油は、受取人欄を光武石油と補充して他から割引を受けたが、満期に不渡りとなつたのでこれを受け戻したのち、原告に右手形を譲渡し、原告が被告に対し右手形金の支払いを求めた。

【判旨】

本件手形は、被告から都野へ、都野から光武石油へ順次融通手形として交付されたものであるから、かかる場合には、被告は都野に対する融通手形の抗弁をもつて、受取人たる光武石油にも対抗し、手形債務の履行を拒むことができるものと解するのが相当である。けだし、原因関係に基づく抗弁は、本来直接の相手方に対してのみ対抗し得る人的抗弁たり得るに過ぎないが、人的抗弁の切断を定めた法の趣旨は、手形取引の安全のために、手形取得者の利益を保護するにあると解すべきことに鑑みると、前記のように自己に対する譲渡の原因関係が融通手形であり、満期までに自己の責任で決済して手形を都野に返還しなければならない光武石油の如く、自己の前者に対し手形の支払いを求める何らの経済的利益も有しないものと認められる手形所持人は、かかる抗弁切断の利益を享受し得べき地位にはないものというべきだからである。

そうすると、被告は本件手形の振出人ではあるが、受取人である光武石油に対し手形金を支払うべき義務を負わないから、光武石油から当事者間に争いのない請求原因3項のとおり右手形金債権を譲り受けた原告に対しても、右支払義務を負わないものといわなければならない。

(谷水央)

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