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福岡家庭裁判所小倉支部 昭和46年(少)2003号 決定 1971年12月02日

少年 I・O(昭二八・二・一三生)

主文

この事件について審判を開始しない。

理由

本件記録によれば、本件送致にかかる非行事実(関税法一一〇条該当)を認めることができるが本件記録中の堺税関支署長三村宏作成の関税法違反嫌疑事件処分結果についてと題する書面、通告書写、杵築武彦作成の保管証謄本によれば、少年は上記非行事実につきすでに関税法の犯則事件として税関支署長の通告(但し、関税法一一一条一項該当として)を受け、その通告の旨を履行していることが明らかである。そうすると少年の本件事犯につき、家庭裁判所の実体的審判権はないというべきでありよつて主文のとおり決定する。

(裁判官 武田多喜子)

(昭和四六年七月六日付司法警察員作成の少年事件送致書記載の犯罪事実および情状に関する意見)

犯罪事実

一、被疑少年I・Oは岸和田港に入港中の外航船○○丸の船員(甲手)であるが昭和四六年五月二六日午後五時二〇分ごろ岸和田市○○町×番地通船場に上陸するに際し紙袋にパイナップル缶詰二缶を隠しもつて陸揚げ輸入し、もつて不正の行為により相当の関税をまぬがれたものである。

情状に関する意見

二、被疑少年には非行前歴なく中学校卒業後船乗りをあこがれ船員となつて働らいていたものであるが、この程行為の違法性を充分に認識しながら本件を敢行した事は悪質であるが大阪税関岸和田出張所において通告処分にし罰金相当額を予納しており改悛の情もあつて不処分相当と認める。

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