福岡高等裁判所 平成23年(ネ)247号 判決 2011年12月22日
控訴人兼附帯被控訴人
(以下「控訴人」という。)
X1
同法定代理人成年後見人
X2
控訴人兼附帯被控訴人
(以下「控訴人」という。)
X2<他1名>
上記三名訴訟代理人弁護士
熊谷雅弘
被控訴人兼附帯控訴人
(以下「被控訴人」という。)
Y1
被控訴人兼附帯控訴人
(以下「被控訴人」という。)
Y2運輸株式会社
同代表者代表取締役
A
上記両名訴訟代理人弁護士
松永二郎
同
松永摂子
主文
一 本件控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X1に対し、一億九二二三万三二六二円及びこれに対する平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(2) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X2に対し、一四〇万円及びこれに対する平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(3) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X3に対し、一四〇万円及びこれに対する平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(4) 控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。
二 本件附帯控訴を棄却する。
三 訴訟費用は、第一、二審を通じ、これを二分し、その一を控訴人らの、その余を被控訴人らの各負担とする。
四 この判決の一項(1)ないし(3)は、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
(1) 原判決を次のとおり変更する。
(2) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X1(以下「控訴人X1」という。)に対し、三億六九七九万七四九七円及びこれに対する平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(3) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X2(以下「控訴人X2」という。)及び控訴人X3(以下「控訴人X3」という。)それぞれに対し、各四五〇万円及びこれに対する平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(4) 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
(5) (2)項及び(3)項につき仮執行宣言
二 控訴の趣旨に対する答弁
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人らの負担とする。
三 附帯控訴の趣旨
(1) 原判決中被控訴人ら敗訴部分を取り消す。
(2) 控訴人らの請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は、第一、二審とも控訴人らの負担とする。
四 附帯控訴の趣旨に対する答弁
(1) 主文二項と同旨
(2) 附帯控訴費用は被控訴人らの負担とする。
第二事案の概要
次のとおり補正するほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決三頁二一行目の「損害額」の次に「及び定期金賠償の可否」を加える。
二 同四頁五行目の次に改行して次のとおり加える。
「 以下の損害については、将来の介護料(介護費用)を含め、一時金で支払われるべきである。被控訴人らが賠償責任保険を付保しているとしても、平成一〇年の保険法改正による自由化がされたこと、平成二〇年のリーマン危機以降、現実に世界最大手の生命保険会社が経営破綻していることから、損害保険会社の経営破綻の可能性は現実のものとなっている。また、交通事故による重度人身事故被害者は事故に伴い重大な心的外傷を抱えるものであり、控訴人らも、被控訴人ら及びその付保した保険会社側の主張により、大きなトラウマを負ってきた。交通事故損害賠償訴訟における判決は、紛争を一回的に解決し、被害者をこのような葛藤から解放する機能を担うべきものである。しかるに、定期金賠償の方法によることになれば、被害者と加害者の関係性を長期にわたり固定化し、被害者にとって一種の心的拷問とも化しかねず、このような賠償は耐え難いものとなる。控訴人らが一時金賠償を求めているのに定期金賠償を命ずることは処分権主義に反し、最判昭和六二年二月六日裁判集民事一五〇号七五頁(以下「昭和六二年判決」という。)にも反する。民訴法一一七条は、原告が定期金賠償を求めたことによって定期金による支払が命じられた場合の規定であると解されるし、同法二七五条の二が和解に代わる決定について「原告の意見を聴いて」、「五年を超えない範囲内において」分割払いを命ずることができる旨を定めていることとの整合性からも、昭和六二年判決は上記各規定が設けられた後にも維持されているとみるほかない。」
三 同四頁一九行目の「七〇〇万円」を「八〇五万九九五〇円」と改める。
四 同四頁二一行目を次のとおり改め、二二行目の「(サ)」を「(ス)」と改める。
「(サ) 介護雑費(a施設退所後、控訴人X1の平均余命である四七年間)
一四〇一万三三一二円(六万四九四五円×一二×一七・九八一)
(シ) 介護備品(a施設退所後、控訴人X1の平均余命である四七年間、耐用年数は五年)
一三九万三七二五円(三八万七五五五円÷五×一七・九八一)
小計 四億〇五八六万二五九〇円」
五 同五頁一〇行目ないし一二行目を次のとおり改める。
「 さらに、遷延性意識障害者である控訴人X1の将来の介護費用については、定期金賠償方式が採用されるべきであり、医療保険の利用を前提として、日額一万円(半年で約一八〇万円)を上限とした実費相当額を年二回定期金払いするのが相当である。職業介護人の費用によるとしても、日額一万五〇〇〇円ないし二万円が相当である。
控訴人らが申し立てていない場合にも定期金賠償を命ずることは、処分権主義ないし昭和六二年判決に反するものではなく、また、実質的にも危惧されるような問題点は乏しいか回避可能なものといえる。そして、控訴人X1につき、その症状等や家族への負担等からすると、自宅介護は相当に困難であり、介護方法の選択は、家族の熟慮の結果とはいえ、損害の公平な分担という理念に従って、その当否が判断されるべきである。そうすると、将来の不確実な事象について、口頭弁論終結時点における予測に基づいて一時金として算定するよりも、定期金賠償の方が、その後の事情変更に対して対応できるから、損害賠償の算定方法として、より実態に即した適正なものであることが明らかである。すなわち、一時金賠償であっても、定期金賠償であっても、訴訟物は同じであるから、原告が定期金賠償を求めていないのにこれを命じても処分権主義に反しない。昭和六二年判決の事案は横浜市が被告であったから、履行確保の問題を理由に定期金賠償を否定したものではないし、民訴法一一七条が創設されたから、原告の申立てなしに定期金賠償を命じても昭和六二年判決には反しない。民訴法二七五条の二は原告の意見を聴くこととしているが、原告の意見に拘束されるものではないし、五年を超えない期間内にしているのは簡易裁判所における紛争を念頭に置いているからであって、将来介護費用のような億単位の紛争を念頭に置いたものではない。大手の損害保険会社が実質上支払をする場合においては、履行確保の問題は定期金賠償を否定する程のものではない。定期金賠償においてはその履行等の際の当事者の接触が継続することにより被害感情が継続し、賠償ノイローゼが亢進するとされるが、銀行口座への送金等の方法によるからさほど重視する必要はない。遷延性意識障害者の平均余命は短いので、将来の介護費用については死亡までの定期金賠償方式が公平に資する。」
六 同五頁一五行目から一九行目までを次のとおり改める。
「 控訴人X1には、先天的な血管奇形(脳静脈奇形と脳動静脈奇形)が存在し、同控訴人の後遺障害は、これと本件事故による頭部外傷が複合して発生したものである。すなわち、本件事故発生から約四時間後である平成一七年九月三日午後二時一二分に撮影されたCT画像によれば、血管奇形が存在しない右大脳には出血があるのに対して、血管奇形が存在する左前頭葉については、出血が認められておらず、本件事故後約一か月ないし三か月を経た平成一七年一〇月及び一二月に至って出血が生じており、これは先天性の脳静脈奇形又は脳動静脈奇形によるものである。そして、その治療のために髄液のドレナージやシャント術を行ったが、その続発合併症である水頭症と髄膜炎が発症したものである。平成一七年九月二九日時点における脳損傷よりも、脳内出血と続発の合併症が発症した後である平成二〇年一二月九日時点における脳損傷の方が大きいから、脳に損傷を及ぼした度合いは、本件事故による頭部外傷よりも素因による脳内出血とその続発合併症の方が大きい。したがって、少なくとも、二〇%の素因減額が認められるべきである。」
七 同六頁二行目及び三行目を次のとおり改める。
「 本件事故は路外車である加害車両が道路に進入しようとしたところに控訴人X1運転の被害車両が衝突したものであるが、控訴人X1は見通し良好な直線道路を低速とはいえない速度で走行し、ノーブレーキで転倒した後、路面を滑走して加害車両に衝突したものであり、前方注視、速度調整、進路調整等の義務に違反する過失がある。被控訴人Y1が徐行して必要以上にゆっくり時間を掛けて一時停止と頭出し待機をしながら路外から進入していることを考慮すると、控訴人X1にも二五%の過失があるものとして過失相殺すべきである。中立的な証人であるBも被控訴人Y1こそが被害者であると感じている旨証言している。」
第三当裁判所の判断
当裁判所の認定判断は、次のとおり補正するほかは、原判決の「第三 当裁判所の判断」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決九頁一八行目から一一頁六行目までを次のとおり改める。
「(イ) 定期金賠償の可否
被控訴人らは、将来の介護費用について定期金賠償方式によることが相当である旨主張する。
しかしながら、本件において、控訴人らは、①被控訴人らが賠償責任保険を付保しているとしても、損害保険会社の経営が破綻する可能性もあるから、定期金賠償方式によっては履行確保の不確実性があること、②控訴人らは本件事故に関する被控訴人側の主張により大きな精神的負担を負ってきたところ、定期金賠償方式によれば、紛争の一回的解決が図れず、被害者と加害者との関係性が長期にわたり固定化されてしまうことが耐え難いことなどを理由に、一時金賠償方式による支払を求めており、また、控訴人X1が症状固定時に二五歳で、後遺障害により高度意識障害や著明な四肢拘縮が継続しているが、後記のとおり在宅療養をしており、これを前提に損害を算定することが公平の理念に反するものということはできないのであり、民訴法一一七条が創設されたことを勘案しても、この控訴人らの申立てに反して、定期金賠償方式を採用することが相当であるとは解されない。
(ウ) 将来の介護費用相当額 九九一六万七〇九五円
証拠<省略>によれば、控訴人X1は、平成二〇年八月八日に完全看護体制の治療施設a施設に入所したが、三年間の退所期限が近づいたことから、平成二三年八月五日に退所し、在宅療養に移行したこと、そのため、自宅に建て増しした介護室に、控訴人X1のベッド、簡易ベッド及びソファーを置き、夜間は控訴人X2と控訴人X3が交代で仮眠を取りながら介護をしていることを認めることができる。
また、証拠<省略>によれば、控訴人X1が訪問介護を受ける場合の費用としては、一日当たり少なくとも、午前八時から午後四時までの日中の介護で一万円程度、二四時間介護で二万三〇〇〇円を下らないものと認められる。さらに、控訴人X3の介護費用としては、一日当たり一万円が相当である。
そこで、まず、在宅療養開始の平成二三年八月五日から控訴人X3が六七歳に達する直前の平成三〇年八月四日(事故日から約一三年後)までの七年間は、週五日は近親者付添一万円、週二日は職業付添人二万三〇〇〇円の介護費用が必要であると認める。そうすると、この間の介護費用は二一五九万八一三五円となる。
(計算式)
一万円×五+二万三〇〇〇円×二=週九万六〇〇〇円
九万六〇〇〇円×五二+一万円=年五〇〇万二〇〇〇円
五〇〇万二〇〇〇円×(九・三九三六〔一三年のライプニッツ係数〕-五・〇七五七〔六年のライプニッツ係数〕)=二一五九万八一三五円
次に、上記の後、控訴人X1が平均寿命の七九歳にほぼ達するまでの四二年間(事故日から約五五年後まで)は、毎日、職業付添人二万三〇〇〇円の介護費用が必要であると認める。そうすると、この間の介護費用は七七五六万八九六〇円となる。
(計算式)
二万三〇〇〇円×三六五=年八三九万五〇〇〇円
八三九万五〇〇〇円×(一八・六三三五〔五五年のライプニッツ係数〕-九・三九三六〔一三年のライプニッツ係数〕)=七七五六万八九六〇円
なお、控訴人らは、介護雑費及び介護備品の請求をするが、後遺障害による逸失利益の算定において、生活費控除をしておらず、通常要する生活費を超えて上記雑費等の損害が生じるものと認めることはできないから、上記請求は理由がない。」
二 同一一頁二一行目から一二頁一五行目までを次のとおり改める。
「(エ) 住宅改造費 七〇〇万円
証拠<省略>によると、控訴人X2及び控訴人X3は、控訴人X1の在宅介護のために、自宅敷地内に八〇七万二一九八円の費用をかけて自宅療養室を建築するなどしたことが認められるが、そのうち七〇〇万円を本件事故と相当因果関係のある損害と認める。
(オ) 在宅介護用品費 五五〇万五六八〇円
控訴人らは、在宅介護用品費として、車椅子や福祉車両、介護用ベッドの買替え費用等を請求するところ、弁論の全趣旨によれば、車椅子は七二万円程度、一般車両と福祉車両との差額としては一〇〇万円程度、ベッドは二九万円程度であること、そして、次の買替え時期までの期間としては、車椅子は五年程度、福祉車両は六年程度、ベッドは一〇年程度であること(減価償却の前提となる法定耐用年数と必ずしも一致するものではない。)が認められる。
そうすると、車椅子については二二六万五一二〇円、福祉車両については二七二万九〇〇〇円、ベッドについては五一万一五六〇円、合計五五〇万五六八〇円が必要であると認める。
(計算式)
① 車椅子 七二万円 平成二三年九月(事故日の六年後)から平成六八年まで五年毎に買替え
七二万円×(〇・七四六二〔六年のライプニッツ係数〔現価表〕(以下、年数のみ記載〕+〇・五八四六〔一一年〕+〇・四五八一〔一六年〕+〇・三五八九〔二一年〕+〇・二八一二〔二六年〕+〇・二二〇三〔三一年〕+〇・一七二六〔三六年〕+〇・一三五二〔四一年〕+〇・一〇五九〔四六年〕+〇・〇八三〇〔五一年〕)=二二六万五一二〇円
② 福祉車両 一〇〇万円 平成二三年九月から平成七一年まで六年毎に買替え
一〇〇万円×(〇・七四六二〔上記同様六年〕+〇・五五六八〔一二年〕+〇・四一五五〔一八年〕+〇・三一〇〇〔二四年〕+〇・二三一三〔三〇年〕+〇・一七二六〔三六年〕+〇・一二八八〔四二年〕+〇・〇九六一〔四八年〕+〇・〇七一七〔五四年〕)=二七二万九〇〇〇円
③ ベッド 二九万円 平成二三年九月から平成六三年まで一〇年毎に買替え
二九万円×(〇・七四六二〔上記同様約六年〕+〇・四五八一〔一六年〕+〇・二八一二〔二六年〕+〇・一七二六〔三六年〕+〇・一〇五九〔四六年〕)=五一万一五六〇円」
以上合計 二億七三二一万四七八七円」
三 同一六頁一二行目から一七行目までを次のとおり改める。
「オ 被控訴人らは、本件事故発生から四時間後に撮影されたCT画像によれば、血管奇形が存在する左前頭葉については出血が認められていない旨主張するが、これはあくまでもCT画像上の所見であり、脳腫脹が著明である中での微小血管レベルの出血の有無を完全に評価できるものとはいえない。加えて、本件事故及び受傷の態様は、自動二輪車で走行中、事業用普通貨物自動車と衝突して転倒し、頭部を強打して、重度のびまん性軸索損傷を負ったというものであって、仮に、控訴人X1に前記脳血管奇形が存在しなかったとしても、現状と同様の状態になる蓋然性は高かったといえる。換言すれば、控訴人X1の現状は、本件事故の加害行為によって通常発生することが予想される程度範囲を超えるものとはいえないものである。」
四 同一六頁末行の「JR弥生が丘駅」から一七頁初行の「二〇〇〇m」までを「JR弥生が丘駅と九州自動車道鳥栖ジャンクションの間」と改め、一七頁二〇行目の「加害車両(」の次に「甲一、」を加える。
五 同二一頁八行目から二二頁七行目までを次のとおり改める。
「ウ そして、前記(1)の本件事故の状況、特に本件事故が自動二輪車である被害車両と普通貨物自動車との衝突事故であること、被害車両が車線を走行してきたのに対し、加害車両が路外から進入しようとしたものであること、本件事故現場が幹線道路であること、被控訴人Y1は、本件事故現場付近において、自動二輪車や原動機付自転車が、第二車線が空いていることを利用して猛スピードで走行していくことがしばしばあることを認識していたにもかかわらず、右折発進してから衝突するまでの約七秒間、被害車両が進行してくることに気付かなかったこと、その他本件証拠に現れた一切の事情を考慮すると、公平の見地から一五%程度の過失相殺をするのが相当である。
エ そうすると、控訴人X1が被控訴人らに対して賠償請求し得る金額は二億三二二三万二五六八円となる。
また、控訴人X2及び控訴人X3が被控訴人らに対して賠償請求し得る損害は、各一二七万五〇〇〇円(合計二五五万円)となる。
三 損害の填補
証拠(乙三二)によると、本件事故による損害に関し、被控訴人らから損害の填補として、久留米大学病院の治療費五四一万六〇六〇円及び八女総合病院四八万九二一〇円(この合計額五九〇万五二七〇円)が支払われたほか、四七八〇万円が支払われ、合計五三七〇万五二七〇円が填補された(なお、乙三二に記載されたその余の支払は、症状固定後の治療費の支払等の本件事故による損害に対する填補とならないものである。)。また、証拠<省略>によれば、本件口頭弁論終結時までに、控訴人X1に対する障害基礎年金三七九万四〇三六円が支払われたことが認められる。
そこで、以上の合計五七四九万九三〇六円を前記過失相殺後の控訴人X1の損害額から控除すると、被控訴人らが控訴人X1に対して賠償すべき損害額は、一億七四七三万三二六二円となる。
四 弁護士費用
上記損害額、本件事案の難易その他諸般の事情に鑑みれば、本件事故と相当因果関係にある弁護士費用として、控訴人X1につき一七五〇万円、控訴人X2及び控訴人X3につき各一二万五〇〇〇円(合計二五万円)を被控訴人らに負担させるのが相当である。」
第四結論
以上によれば、控訴人らの本件請求は、被控訴人らに対し、控訴人X1は一億九二二三万三二六二円、控訴人X2及び控訴人X3はそれぞれ一四〇万円、並びにこれらに対する不法行為の後(症状固定の日)である平成一八年九月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を連帯して支払うよう求める限度で理由があり、その余の請求はいずれも理由がない。
よって、本件控訴に基づき上記のとおり原判決を変更し、本件附帯控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言の申立ては相当でないので却下する。
(裁判長裁判官 犬飼眞二 裁判官 青木亮 石原直弥)