大判例

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福岡高等裁判所 昭和23年(ラ)10号 決定

一、当事者

抗告人 ○井次○

抗告人 ○井サ○

二、主  文

本件抗告は之を棄却する。

三、理  由

本件抗告理由の要旨は

人吉家事審判所昭和二十三年(家)イ第八号慰藉料請求調停事件については、先般抗告人宅において調停がなされ、その際相手方の要求意見も聞かれ、抗告人両名も出席して事のここに至つた事情及び意見のあるところを十分申述べており、考えは既に定つているのである。

その後調停期日が本年七月二十日午後一時と指定され、抗告人等もその呼出を受けたけれども、予て屡々申述した通り抗告人等は相手方と面談することは何となく氣分が進まぬ感じが致し、之を避け度く思ふので、近親橋本杉郎を代人として代理人許可願を持たせ出頭方を頼んで置いたのであり、その許可願にも抗告人等の願の要旨は記述して置いたし、なお又橋本杉郎とは面談の上十分に打合せて一切を委託して置いたのであるから、抗告人等自身が出頭しなくても調停には何等支障はなかつたのである。

然るに右七月二十日の期日に抗告人等が出頭しなかつたとの理由で抗告人等を各過料五百円に処せられたのは不当であるから、抗告する。

というに在る。

然し乍ら、家事審判規則第五條によれば、事件の関係人はやむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることが出來る(尤も弁護士以外のものが代理人となるには家事審判所の許可を要する)けれども、左様な、事由のないときは必ず本人自ら出頭しなければならない。けだし速かに事件の眞相を掴んで適正妥当な解決を計る爲めには本人自身の出頭を必要とし、殊に調停においては、本人でなければ処置決断し兼ねる場合が多いので右の様に規定したのであろう。

ところで、本件抗告理由によつてみても、又記録全体に徴しても、本年七月二十日の本件調停期日に抗告人等が代理人を出頭させねばならなかつたやむを得ない事由は、之を発見し得ないし、抗告人等自ら出頭しなかつた事につき何等正当の理由ありとも見えない。しかも記録によれば、抗告人等は本件につき、始め二回呼出を受け乍ら出頭しなかつたので、調停委員会は相手方(調停申立人)の申立により抗告人の居宅において調停を試みたが成立に至らず、仍て次回期日を本年七月一日と定め更に前記七月二十日と定めて人吉家事審判所に抗告人等を呼出したにも拘わらず抗告人等はその何れの期日にも出頭しなかつた事情が認められるので、同審判所が右七月二十日の不出頭の故を以て抗告人等を各五百円の過料に処したのは決して不当となし難く、從つて本件抗告は理由なきものと認めるから主文の如く決定する。

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