大判例

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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)178号 判決

刑事訴訟法三百十七條には事實の認定は證據によるとあり同法第三百三十五條第一項には有罪の言渡をするには罪となるべき事實證據の標目及び法令を示さなければならないと規定している。しかして右法條に事實又は罪となるべき事實と所謂犯罪事實換言すれば特別構成要件たる事實〓言うのであつて刑の加重減免の事由犯情に關する事情は之れに包含されていないこと明白である。

累犯加重の前提となる前科その他刑の加重事由たる事實であつても構成要件的要素(例えば結果的が重犯の場合の如く)でない限り證據法(憲法中のそれも含めて)に所謂證據(嚴格なる制限及手續を經た)によつて之を認定する必要はない勿論之を認定するにも何等かの資料(廣義の證據と言つても差支ない)によらねばならないこと勿論であるがそれが合理的であるかぎりその嚴格の程度は前示三百十七條等に言う證據よりは遙かに自由なもので足りる。

而して憲法第三十八條刑事訴訟法第三百十九條には證據中自白に付いては被告人(被疑者)の利益の爲その證明力に或程度の制限を附していること明瞭であるが一體刑事法に自白とは被告人(被疑者)が前示の意味に於ける犯罪事實自體の全部又は一部について自己の刑事責任を認める供述を指すのであつて被告人(被疑者)が單に自己に不利益な事實を認める供述(例えば前科ある者の供述)は自白ではなく承認である(刑事訴訟法第三百二十二條等參照)從つて前示憲法三十八條刑事訴訟法三百十九條の自白の證明力の制限は所謂犯罪事實認定の場合にのみ關するものであつてその他の場合にまで妥當するものではない。換言すれば犯罪事實に非ざる事實を認定する場合にはよしそれが刑の加重事由に當る場合でも被告人の所謂自白のみで(補強證據なしに)足りる。(後略)

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