大判例

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福岡高等裁判所 昭和25年(う)1862号 判決

麻薬不法所持罪が成立するためには、当該薬品が麻薬取締法により所持を禁止された麻薬であり、且つ被告人において麻薬であることを認識しながらこれを所持していたことを必要とするのであるが、右の認識については単に麻薬たることの認識があれば足り、当該薬品の名称その化学的成分、効用等具体的性質の詳細までを認識する要はないのであつて、原判決挙示の証拠によれば、被告人が当時本件薬品の麻薬であることの認識を有していたことは、自ら明白であるから、所論は理由がない。

第二点について。

原判決が証拠として挙示する検察事務官の捜索差押調書に、所論のような(一)乃至(三)の事項が明らかにされていないことは、記録上明白であるが、右のような諸点を調書上明らかにすることは、必ずしもこれを必要とするものではなく、しかも前記調書が検察事務官により適法に作成され、その記載内容を犯罪事実認定の一資料に供し得べきことは、論旨第三点について説明するとおりであるから、所論は採用しない。

第三点について。

本件差押押収調書は、検察事務官によつて適法に作成されたものであることは、その記載自体に徴して明らかである。而してこのような調書について、当然にその独立の証拠能力を否定する格別の根拠なく、右調書はその記載内容に従つて事実証明の用に供し得べきものであつて、本件のような麻薬不法所持の案件において、当該麻薬が差押えられている場合、検察官が右差押物件そのものについて証拠調を請求することは、もとより望ましいことではあるが、その他の証拠により犯罪事実を認定し得ると思料した場合、事情により、その取調を請求しないで、本件のように、間接に右麻薬に対する捜査機関の捜査差押調書の証拠調を請求することは、法律上何等差支のないことであると共にこの場合裁判所は必ずしも差押物件そのものについて証拠調をしなければならないわけのものではない。しかも本件調書を証拠とすることにつき、被告人及び弁護人の同意があつたことは記録上明白であるから原審が右調書のみについて証拠調をなし、これを断罪の一資料に供したからといつて、これを非難するのは当らない。論旨は理由がない。

(註。本件は量刑不当により破棄自判)

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