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福岡高等裁判所 昭和25年(う)2834号 判決 1951年4月26日

控訴人 被告人 疋田光雄 外二名

検察官 松本一成関与

主文

本件控訴は孰れも之も棄却する。

理由

本件控訴の趣意は記録に編綴してある弁護人松岡益人提出の控訴趣意書と題する書面記載の通りであるからここにこれを引用する。

同趣意第一点について。

然し、本件は被告人三名から正式裁判の申立をした結果、通常手続によつて、審理判決されたものであること記録上明であり、略式命令は正式裁判の申立によつて判決のなされたとき其の効力を失うものであるから、略式命令請求に関する手続の法令違背の有無は、原判決及其の基礎となつた手続の効力に何等関係するところがない。従つて略式命令請求の手続に関し法令違背があつたか否かを論ずるまでもなく此の点に関する論旨は理由がない。

同第二点について。

然し乍ら戸別訪問とは、各個接続する居宅を訪問することで各居宅を転々訪問するのは該当しないとは、弁護人独自の見解に過ぎず、原判決挙示の各証拠によると判示個別訪問の事実を認め得るので此の点の論旨は理由がない。

同第三点について。

然し本件記録及原裁判所に於て取調べた証拠に現われた被告人の性格、年齢、犯罪の動機、態様、及び犯罪後の情況等を考究し、なお諸般の情状を参酌しても原審の被告人に対する刑の量定はまことに相当でこれを不当とする事由を発見することが出来ないので此の点の論旨も採用しない。

仍て刑事訴訟法第三百九十六条によつて主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 石橋鞆次郎 裁判官 藤井亮 裁判官 池田惟一)

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