福岡高等裁判所 昭和26年(う)1739号 判決
(イ) 恐喝罪は人を恐喝して財物を交付させ又は財産上不法の利益を得又は第三者をしてこれを得させることによつて成立するものであるから、その訴因は、犯人が他人に対しその意思の反抗を抑圧するに足るべき程度に達しない威嚇を以て畏怖させて財物を交付させ又は財産上不法の利益を得若しくは第三者をしてこれを得させる事実であるから、その威嚇を以て畏怖させる行為自体は訴因であるが、同行為の態様は訴因そのものではなく訴因を組成すべき因子ともいうべく、従つて判決においてその畏怖させる行為の態様につき公訴事実と異る事実を認定しても訴因そのものの変更があつたものということはできない。原判決が判示(一)においてこれに対応する公訴事実第一の(一)と異り論旨摘録のごとく変更した点は訴因そのものではなくこれを組成すべき因子ともいうべき事実に過ぎないことが明かであるから、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由はない。
弁護人Bの控訴趣意第一点の二について。
(ロ) 人を恐喝して財物を交付させたときは、恐喝罪は直ちに成立し、犯人がその交付を受けた財物を後日返還すべき意思があると否とは恐喝罪の成立に何等影響を及ぼすものではないのであるから犯人が後日話のつくまで財物を預かる意思があるからというて人を恐喝して財物を交付させた以上もとより恐喝罪の罪責を免れることはできない。
(註。本件は量刑不当により破棄自判)