福岡高等裁判所 昭和26年(う)1850号・昭26年(う)1849号・昭26年(う)1851号 判決
原判決は被告人の原審公判における自白と司法警察員作成の被告人の供述調書(自白)を綜合して同判決第三の犯罪を認定している。しかしながら刑事訴訟法第三百十九条第二項に「被告人は公判廷における自白であると否とを問わずその自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には有罪とされない」とある法意は被告人の自白である以上その自白のなされた場所の如何を問はず又その数の如何を問わず苟も自白なる種類の証拠のみに依つて罪を断ずるを許さない。自白は所謂補強証拠を伴う場合において初めて証拠能力を有するに至ると云うにあるものと解するを相当とする。しからば被告人の自白のみによつて前顕犯罪を認定した原判決はこの点においても判決に影響ある手続法違背の違法を犯しているものと云わなければならない。