福岡高等裁判所 昭和27年(う)1093号 判決
しかし、刑事訴訟法第二百二十三条第一項にいわゆる被疑者には共犯(必要的共犯を含む以下同じ)関係にある被疑者を包含するものでないと解するのが相当である。何となれば、捜査官憲は共犯関係の全被疑者につき一個の事件として捜査すべきことは、何等法上要請されておらないのみならず、却つて、該事件を一個の事件とするか、又各別の事件として捜査をなすべきかは、捜査官憲の自由な処分に委ねられているのであるから、捜査官憲が共犯者の一人を被疑者として捜査を進める場合、共犯者中の他の者も該被疑者以外の者即ちいわゆる参考人として取調をなし得べきことは勿論である。従つて、その取調を受け任意の供述をした者につき、刑事訴訟法第二百二十七条第一項の要件を具備する限り、検察官は同条の規定に基き裁判官に対し、その者の証人尋問の請求をすることができ、しかもその尋問を請求された証人は裁判官に対し刑事訴訟法第百四十六条第百四十七条等の規定に従い、自己若しくは所定の身分関係のある者が刑事訴追を受け又は有罪の判決を受ける虞のある証言を拒むことができるので該証人を目して自己の事件につき証人となつたものということを得ないと共に該証人尋問の措置を目して刑事訴訟法第三百十一条第一項乃至は憲法第三十八条第一項の趣旨に背反するものということもできない。