大判例

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福岡高等裁判所 昭和27年(う)2355号 判決

本件起訴状による審判の請求は、被告人は過失により、十八歳に満たない児童であるTをして(一)昭和二十六年九月二十八日頃氏名不詳の男三〇年位を相手として五、〇〇〇円で、(二)同年九月三〇日頃氏名不詳の男二七年位を相手として一、五〇〇円で、(三)同年一〇月中旬頃平木伝次郎二〇年を相手として八〇〇円で、(四)同年一〇月下旬頃右同人を相手として八〇〇円で、(五)同年一〇月上旬頃中村正治三六年を相手として一、〇〇〇円で、(六)同年一〇月中旬頃右同人を相手として一、〇〇〇円でそれぞれ淫行をさせる行為をした、という事実にかかるものであり、原判決による認定は、昭和二六年九月二八日頃より同年一〇月中旬までの間、客の平木伝次郎外数名を相手に売淫せしめ、以て児童の淫行をさせた旨の事実であること論旨指摘のとおりであるが、児童の淫行が一名若しくは数名の者を相手として数回にわたる場合、児童をしてその淫行をさせる行為(児童福祉法第三四条第一項第六号の罪)が、併合罪の関係にあるか、包括一罪の関係にあるかは、具体的な事実関係の確定によつて定まる法律問題である。今、本件についてこれを見るのに、原判決の確定した事実によれば、被告人は肩書住居において食堂「いこい」を営むものであり、十八歳に満たない児童であるTを女中として雇入れた上、同女をして昭和二六年九月二八日頃より同年一〇月中旬までの間、同食堂二階客室において、客の平木伝次郎外数名を相手に売淫せしめたというのであり、なお、被告人並びにTの検察官の面前における供述、その他に徴して明らかであるように、右食堂にはTの外に従業婦三名あり、同食堂においては殆んど連日継続的に反覆して売淫が行われ、Tの淫行は被告人の経営にかかる営業のもとに行われたものと認められる事情がありこれらの事情のもとに原判決が被告人の本件所為を包括一罪の関係にあるものと認めたのは相当であつて何ら違法の点はない。裁判所は、併合罪か包括一罪かの罪数に関する起訴状の法律見解には拘束されない。個別的な公訴事実について原判決のように包括的な事実を認定したからといつて、審判の範囲を誤まり、審判の請求を受けない事件について審判し、若しくは、審判の請求を受けた事件について審判しない違法があるものということは当らない。論旨は理由がない。

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