大判例

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福岡高等裁判所 昭和27年(ラ)23号 決定

相手方は本件仮処分命令を申請するにあたり、家屋番号を、「百二十番」と表示し、別府簡易裁判所は、家屋番号を、「百二番」として仮処分の決定をなし、執行吏は「三十番」の家屋について、仮処分の執行をなした。右に対し、抗告人から異議の申立をなした後、相手方が更正決定の申立をなしたところ、別府簡易裁判所は、決定に明白な誤謬があるとして、家屋番号を「真光寺三十番」と更正する決定をなした。

原決定は、右のような経路を辿つた場合でも、仮処分の執行は適正妥当であると説示するが、執行吏は、執行に際しては、飽くまで執行の基本となつている決定の表示を尊重し、これに従うべきであつて、執行吏自身の勝手な判断に従つて、決定表示以外の物に対し執行することは許されない。本件において、仮処分決定に百二番と表示されている以上、執行吏は、百二番の家屋に対し執行すべきであつて、もし、百二番の家屋が存在しないか、又は存在しても執行ができなければ、執行不能として引き下るべきである。そして、後日更正決定がなされたならば、該決定に基いて更めて執行すべき筋合である。しかるに、決定の表示を無視し、執行吏の自由な判断で執行しても、その後に更正決定があれば、当初に遡及して適法になるという原決定の考え方は、民事訴訟法の趣旨に反する見解であるから、原決定を取消し、更に相当の裁判を求めるというのである。

二、当裁判所の判断

しかしながら、決定に明白な誤謬がありとしてなされた、更正決定が確定したときは、当初の決定は更正決定と一体をなし、最初から更正された通りの決定がなされたこととなるから、本件仮処分決定において、仮処分の目的たる家屋として、当初家屋番号「百二番」と表示されていたのを、「真光寺三十番」に更正する旨の決定が確定した以上、執行吏が、当初の仮処分決定に基いてその執行として、「真光寺三十番」の家屋に対してなした執行は結局本件仮処分の執行たるに妨げなく、毫も執行の方法を謬つた違法は存しない。所論は更正決定の性質、意義を正解しないに出ずる独自の見解で当裁判所の採らないところである。

よつて本件抗告を棄却すべきものとし、民事訴訟法第八十九条を適用し、主文の通り決定する。

(裁判官 桑原国朝 二階信一 秦亘)

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