福岡高等裁判所 昭和28年(う)1358号 判決
本件記録によると起訴の犯罪事実は被告人は昭和二十八年二月一日佐世保市白岳町四七四番地自宅前路地に於て川尻文人より同人の左手を両手で捻じあげた上同人所有に係る公務乗車証在中のパス一個を強取したものであるというのに原審認定の犯罪事実は被告人は同日肩書住居前路上においていきなり川尻文人の腕を掴みながらお前は警察の者か税務署の者か警察の者なら証明書を見せよと強要し近隣の者にこいつを捕えて調査せよと叫び以て同人を脅迫したものであるというにある。よつて考えてみるに犯行の日時、場所、被害者は両者に共通しているが前者は暴行を手段とする財物奪取行為であるのに後者は言語動作による単なる脅迫行為に過ぎないから前者と後者とは基本的事実関係において同一性ありとは認め難い。従つて原判決は審判の請求を受けた事件について判決をせず審判の請求を受けない事件について審判したことに帰し各論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。
(後略)