福岡高等裁判所 昭和28年(う)2662号 判決
所論福田長康の司法警察員に対する供述調書には同供述者の署名押印なく、小田直において供述者福田長康の氏名を代筆し、且つ小田直において立会人として自署指印していることは所論のとおりである。しかし、供述者が受傷等の事故により供述調書に自ら署名押印(指印を含む。以下同じ)をなし得ない場合、該供述に立会つた第三者において供述者の氏名を代書し、且つ自己の署名押印をなしたときは該書面は被告人以外の当該供述者の供述を録取した書面と同一視し得べきものと解するを相当とする。従つて該書面を当事者において証拠とすることに同意した場合、該書面の作成されたときの情況を考慮し相当と認めるときは、右書面は証拠能力を有するものといわなければならない。しかして、原審証人小田直、同宮城元生の各供述記載によれば右福田長康の司法警察員に対する供述調書が作成された際同人は瀕死の重傷のため自署押印しなたい状態にあつたことが認められ、該事実に福田長康の司法警察員に対する前掲供述調書自体を参照すれば福田長康の右供述に立会した小田直において右福田の氏名を代署し、且つ、自ら立会人として署名指印したものであることが推認されるので、右供述調書はこれが作成されたときの情況に照らし相当と認められるので、当事者が右書面を証拠とすることに同意した以上証拠能力のあることは勿論であるから、原判決が該供述調書を証拠として採用したのは正当であり、結局原判決には所論のごとき違法がないので論旨は採用の限りではがい。(後略)