福岡高等裁判所 昭和28年(う)596号・昭28年(う)597号 判決
職権をもつて調査するのに、原判決が、主文において被告人を判示第一の罪につき懲役一年、判示第二の罪につき罰金一万円に処するとしたのは懲役刑と罰金刑とを併科した一箇の刑を言渡したものではなくして、主文において、一箇の懲役刑と、一箇の罰金刑都合二箇の刑を言渡したものと解するのほかない。ところで原判示第一虚偽公文書作成二箇の罪と、原判示第二贈賄一箇の罪との間には、刑法第四五条前段の併合罪の関係があること明らかであつて、原判決も現に、その関係について刑法第四五条第四七条第一〇条第四八条第一項の適用を示しているのである。このように刑法第四五条前段の併合罪の関係にある数罪について、同一の判決をもつて処断するにあたり、そのうち或る罪を懲役刑に処すべきものとし、他の罪を罰金刑に処すべきものとする場合においては、両者を併科した一箇の刑を言渡すべきであつて、二箇の刑を言渡すべきではない。宣告刑が一箇であるか数箇であるかは、被告人の利害に至大の関係があるものといわざるを得ない。一箇の刑を言渡すべきであるのに二箇の刑を言渡した原判決には法令の解釈適用を誤つた違法があるものというのほかなく、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるので、原判決はこの点において破棄を免れない。
(後略)