大判例

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福岡高等裁判所 昭和29年(う)45号 判決

職業安定法にいわゆる職業紹介とは、求人及び求職の申込を受け求人者と求職者との間の雇用関係の成立をあつ旋することであつて、両者間の雇用関係を成立させることを目的として、これに必要且つ有効な役割を演じ、その成立の機会を作り出したものである限り、現実にその成立を見なくとも、なおそのあつ旋をなしたものというに足りると解するを相当とする。これを本件についてみるに、記録及び原裁判所において取調べた証拠に徴すると、被告人はかねて京都市の特殊飲食店、金清楼こと、矢部ミツより、接客婦として働く女があつたら世話して欲しい旨依頼されていたところに、O及びKより接客婦として就職方を依頼されたので矢部に対し年増女でも構わぬかと問合せ、それでも良いとの返事に接したため、昭和二八年五月二二日O及びKの両女を矢部方に同伴して、その雇入れを交渉したが、折悪しく当時同家には十人の接客婦がいて、それ以上雇入れることは都同が悪いとのことで、結局矢部の世話で、同女等は同業者の滝野クマ及び塩見熊次郎方にそれぞれ接客婦として就職するに至つた事実が明かであるから、被告人は職業安定法第六十三条第二号に規定する職業紹介を行つた者であるというべきであることは、前説示により疑いを容れる余地がない。してみると、原判決が前記両女と矢部ミツとの間には雇用契約が成立しなかつたこと及び両女と滝野クマ及び塩見熊次郎との間の雇用契約の成立には被告人が関与しなかつたことを説示して、被告人の本件行為は職業紹介に該当しないと判示したのは、ひつきよう前示法令の解釈を誤つたことに帰着すること所論のとおりであり、その誤りは判決に影響を及ぼすこと云うまでもないから、原判決はこの点において刑事訴訟法等三九七条第三八〇条に則り破棄を免れない。論旨は理由がある。

(後略)

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