大判例

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福岡高等裁判所 昭和30年(う)1665号 判決

論旨は被告人が本件発生後直ちに自首しているのに刑法第四二条に従い自首減軽をしなかつた原判決は法令の適用を誤つている旨主張する。ところで刑訴法第三八〇条にいわゆる法令の適用の誤とは法律上特定の事実があれば必ず一定の法令を適用すべき場合に法令を適用しないか、若しくは不当に適用した場合を指称し特定の事実があつても法令を適用すると否とを法が裁判所の裁量に委ねている場合に裁判所が各般の事情に鑑み法令を適用するを適当でないと認め之をしなかつた場合を指称するのではない。このことは同条を刑訴法第三三五条その他控訴理由に関する他の規定と対照すれば自ら明白である。而して記録によれば所論の如く被告人が本件発生後直ちに玉名警察署に自首したことが肯定できるけれども刑法第四二条は罪を犯し未だ官に発覚せざる前自首したる者に対し刑を減軽することを得る旨規定し、自首の時期如何をとわず自首減軽をなすと否とを裁判所の裁量に委ねているから原審が情状を考案し被告人に対し自首減軽をなすを適当でないと認め右法条を適用しなかつた措置を目し原判決に法令の適用の誤ありとなす所論の失当なることは前段の説示に徴し明白である。尚記録によれば自首減軽による量刑をしなかつた原審の措置は洵に相当である。論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 西岡稔 裁判官 後藤師郎 裁判官 中村荘十郎)

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