大判例

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福岡高等裁判所 昭和31年(う)1237号 判決

被告人に対する本件公訴事実は、被告人が原判示日時原判示英国貿易船インチメイ号上に於て原判示物品を買受け、これを輸入するに際し、門司税関係員に対し該品は無税品である鉄屑一五〇瓩である旨虚偽の申告をし、その関税五、七一三円を逋脱したものであるとする関税法第一一〇条第一項第一号の逋脱罪であるのに対し、原判決が右逋脱罪のほか、同条同項第二号の密輸入罪にもあたるものであると認定し、右第二号及び刑法第五四条第一項前段第一〇条をも適用し、更に前記英国船から前記品物を積卸し、門司税関岸壁まで回航するに使用した通船きく丸に関税法第一一八条第一項本文を適用の上、同船没収の刑を科していることは、まことに所論のとおりである。

そして前記関税法第一一〇条第一項第一号は関税逋脱罪を規定したものであるのに対し、同条項第二号は同法第八条により納付の告知されている関税を不正の手段により納付せず当該関税を課せられた貨物を輸入する行為を処罰の対象とした規定と解せられ、右第一号の罪と第二号の罪とは構成要件の実質を異にし、その間に一所為数法等の法条競合関係を生ずる余地のないものであると解するを相当とする。従つて右関税法第一一〇条第一項第二号の罪に関しては起訴のないのに拘らず、原判決が前示逋脱罪と一所為数法の関係にあるものと認め同号を適用処断しているのは、明かに主文に影響を及ぼすべき法令適用の過誤を冒しているものといわねばならず、原判決は既にこの点において刑事訴訟法第三八〇条第三九七条により破棄を免れない。論旨は理由がある。

(裁判長裁判官 高原太郎 裁判官 中園原一 裁判官 厚地政信)

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