大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和32年(う)166号 判決

記録によれば原判決が、被告人を懲役二年及び罰金四〇万円に処する。右罰金を完納することができないときは金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する旨の言渡をしており、これによると、罰金の換刑処分の留置期間は八〇〇日となつて、二年を超えるものであることは所論のとおりである。ところで原判決は罪となるべき事実として被告人に対する昭和三二年六月二八日附、同年九月三日附、同月四日附、並びに同月二一日附の各起訴状記載の公訴事実を引用しており、右各起訴状記載の公訴事実は被告人の昭和三一年九月二八日から昭和三二年四月二日までの五七回の賍物故買の事実であつて、原判決はこれを併合罪と認定し、懲役刑については刑法第四七条、第一〇条を、罰金刑については同法第四八条第二項をそれぞれ適用し、処断しているのであるが、刑法第一八条第一項には「罰金ヲ完納スルコト能ハサル者ハ一日以上二年以下ノ期間之ヲ労役場ニ留置スル」とあり、同条第三項には「罰金ヲ併科シタル場合…………ニ於ケル留置ノ期間ハ三年ヲ超ユルコトヲ得ス」と規定している。故に罰金を併科した場合には留置期間は三年に至ることをうるのであるが、ここにいわゆる罰金を併科したる場合とは数個の罰金を同時に科した場合をいうのであつて、懲役と罰金を併科する場合は勿論同法第四八条第二項の規定による二個以上の罰金につきその合算額以下において処断する場合をいうものではない。従つて、本件の如く、自由刑及び罰金刑を科すべき罪が数十個あつて、これらの罪が併合罪として懲役刑については刑法第四七条第一〇条を罰金刑については同法第四八条第二項を適用し、一個の懲役刑及び罰金刑をもつて処断すべき場合にはその罰金の換刑処分としての留置期間は刑法第一八条第一項の定めるところにより二年以下に制限せられるものといわねばならない。すると、原判決が本件において被告人に対し懲役刑の外罰金四〇万円を科し、換刑処分としての留置期間を金五〇〇円を一日に換算した期間即ち二年を超える八〇〇日としたことは法令の解釈適用を誤つたものであり、この誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。

(裁判長裁判官 藤井亮 裁判官 中村荘十郎 裁判官 生田謙二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!