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福岡高等裁判所 昭和35年(ネ)132号 判決 1960年12月27日

控訴人 飯塚市 外二名

被控訴人 永島初子

主文

原判決中被控訴人と控訴人らに関する部分を次のように変更する。

控訴人らは連帯して被控訴人に対し金三十万九千二百三十一円及びこれに対する昭和三十一年五月三日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

被控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用中原審における費用(但し、被控訴人の参加以後に生じた部分)はこれを四分し、その各一宛を被控訴人と第一審原告との負担とし、その二を控訴人らの連帯負担とし、当審における費用はこれを二分し、その一を被控訴人の負担とし、その余を控訴人らの連帯負担とする。

被控訴人において各控訴人に対し各金三万円の担保を供するときは、右第二項の勝訴部分につき仮りに執行することができる。

事実

控訴代理人らはいずれも「原判決中控訴人ら敗訴の部分を取り消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は各控訴棄却の判決並びに仮執行の宣言を求めた。

当事者双方の主張と立証は、被控訴代理人において証人永島賢一、同矢野ミツエ、同福谷茂子、同荒巻キヌ子の各証言を援用し、控訴人飯塚市代理人は証人城丸末松の証言を援用し、控訴人株式会社田中商店及び田中淳代理人は証人矢野貞次、同福谷政雄、同矢野ミツエ、同福谷茂子、同荒巻キヌ子、同渡辺敏彦の各証言並びに控訴本人田中淳尋問の結果と検証の結果とを援用したほか、原判決事実摘示と同じであるから、これをここに引用する。

理由

先づ、控訴人らの被控訴人が本件訴訟参加につき当事者適格を欠くとの主張については、当裁判所もこの点に関する原判決の理由と同一の理由によりこれを排斥すべきものと認めるから、右理由をここに引用する。

そこで進んで、被控訴人の本案請求について考察する。先づ、控訴会社の店員であつた訴外永島八郎が昭和三十一年一月二十五日飯塚市徳前百六番地先路上で自動三輪車の事故により負傷し死亡したことは当事者間に争いがなく、右事実と成立に争いのない丙第二号証、同第三号証の一、二、同第六号証の五、九、十、十六、原審並びに当審における証人渡辺敏彦(原審では第一、二回)、同矢野ミツエ、同矢野貞次、同福谷政雄、同城丸末松、当審証人荒巻キヌ子の各証言、原審並びに当審における控訴本人田中淳尋問の各結果と現場検証の各結果を綜合すると次の事実が認められる。

(イ)  事故現場は控訴会社店舖より約五十米の距離にある幅員約三、九米の非舖装道路であつて、事故発生当時その道路端から道路幅員線上に約一、四〇米のほゞ道路中央部に近い地点(事故地点)には後記水道管の漏水を原因とした長さ約一、四米、幅約〇、五米、深さ約〇、四五米の楕円形の窪みが生じていたが、右窪みは数日来の降雪による雪解水のため濁水の水溜りとなり、さらにこの事故地点附近一帯の路面には濁水の浅い水溜りも随所に生じていて、この路面を一見しても右の如き深い窪みのあることを察知することができず且つ浅い水溜りが随所にあつたため、右楕円形の窪みの水溜りが特に異状なものであることを識別し難い状態にあつた。

(ロ)  事故発生の経緯は、控訴人田中淳が当日午前九時頃控訴会社の店員である訴外亡永島八郎及び訴外渡辺敏彦に命じて控訴会社店舖から約一五〇米の距離にある同社倉庫へ格納するトロツコ用レール約二十二本を同社所有の自動三輪車の荷台中央部に積載させると共に、右レールを両側から立つたまま挟むようにしてその荷台の左側に永島を、右側に渡辺をそれぞれ同乗させた上、これを運転して控訴会社店舖前を出発し、前記倉庫へ向う途中時速約十五粁の速力で前記事故現場に差掛つた際、前方に稍広い前記楕円形の窪みで出来た水溜りがあるのに気付いたが、そこに前記のような深い窪みのあることは全く知らず、同所を通過するも事故の発生する虞がないものと思つて車を進行させたところ、右自動三輪車の左側後車輪が右窪みに落込んで車体が左に傾斜すると同時に、前記レールを固定していたロープが切れてレールが左側に移動したので車体が横転し、その際路上に転落した永島の頭上に右レールが落下したため、永島は右頭部前額複雑骨折、頭蓋内出血等の重傷を負つてその後間もなく死亡するに至つた。

以上の認定に反する証拠はなく、右認定事実に基いて控訴人らの不法行為上の責任について以下順次検討する。

第一、控訴人飯塚市の責任について。前記事故現場の道路は控訴人飯塚市の管理する道路であつて、その地下に控訴人飯塚市所有の水道管が埋設されており、事故発生当時前記事故地点地下の右水道管より漏水して路上に水が湧出していたことは当事者間に争いがなく、事故発生直後右漏水個所の復旧工事をした際、水道管の一部に直経約一耗の穴が生じ、そこから漏水していたことが判明したことは控訴人飯塚市の自認するところである。そして、右事実と前示甲第六号証の九、前示証人矢野ミツエ、同矢野貞次、同城丸末松の各証言とを綜合すると、右水道管の漏水が数日間放置されていた結果事故発生当時事故地点に前記(イ)で認定した楕円形の窪みが生じたものであることが容易に認められると共に、前示甲第六号証の十六によれば右の窪みに本件自動三輪車の後車輪が落込んだ場合には、車体が約三十度傾斜し、積載物の如何によつては横転する可能性が十分にあつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。従つて、右の漏水による窪みが生じたことによつて事故地点の路面は道路として通常備うべき安全性を欠いていたものというべきであるから、控訴人飯塚市の右の水道並びに道路の管理につき瑕疵があつたものと認めざるを得ないし、前記(ロ)で認定した事故発生の経緯に鑑みるときは、右瑕疵が本件事故の一因をなしたことは明らかであつて、右瑕疵と永島の事故死との間には相当因果関係の存することも容易に認められる。控訴人飯塚市は本件事故が発生するまでは右水道管の漏水の事実を全く知らなかつた旨主張するが、右主張を肯認すべき証拠はなく、却つて前示甲第六号証の九、前示証人矢野ミツエ、同矢野貞次、同城丸末松の各証言に徴すると、事故発生の四日位前に控訴人飯塚市の水道課吏員訴外亡大庭兵市において右漏水の事実を了知していたのに、偶々水道課内部の事務の手違いから右漏水が放置されていたものであることが認められる。のみならず、右の水道並びに道路の管理に関する瑕疵については、必らずしも控訴人飯塚市に過失ありたることを必要とするものとは解せられないから、たとえ右主張のように控訴人飯塚市が漏水の事実を知らなかつたとしても、これによつて責任を免れることはできず、この点よりしても右主張の失当たることは明らかである。さすれば、控訴人飯塚市は国家賠償法第二条第一項の規定により本件事故により発生した損害を賠償すべき義務を負うものと断ずるの外はない。

第二、控訴人田中淳の責任について。

先づ、積荷の固定方法に関する過失の有無を検討する。凡そ、事故の発生を未然に防止するために必要な積荷固定の程度は、事柄の性質上少くとも運送の間に積荷が動揺、落下などして自動車の安全運転に支障を生ぜしめない程度に固定する必要のあることは明らかであるから、そのためには自動車運転者は一般的にいつてその運行速度、積荷の重量、運送距離、道路殊に路面の状態、気象状況等の車体に与える動揺の程度、その他積荷固定の道具例えばロープなどの強弱の程度等の諸条件を考慮し、しかも非常の際の急停車などの措置に出づることのあるのを考慮した上で、その安全運転に充分堪え得られる程度の固定方法を講ずべき注意義務があるものというべきである。従つて、具体的事案について右の注意義務の程度を判定するに当つては、右の考慮すべき諸条件の異同に従つて自らその積荷固定に関する注意義務の程度にも差異の生ずべきことは当然であるし、右の考慮すべき諸条件は事前に自動車運転者が予知し又は予知すべかりし条件のみに限定せられるものであることも論を俟たないところである。換言すれば、運送距離がより短く、路面もより良好の場合は、固定の程度もより簡略であることが許される訳であるし、自動車運転者が事前に予測すべからざる突発的事故の発生の場合でも積荷が動揺、落下などして自動車の安全運転に支障を与えない程度に常に堅固に積荷を固定しておく注意義務を課することは許されない-もし、然らずとせんか、事故の種類程度には無限のものがあるから、常にこれに堪え得るように積荷の固定をすべき注意義務を要求するとせば不可能をしいることになるであろう-訳である。

そこで、本件の積荷固定の実状と本件における右の考慮すべき条件について見るのに、前記(ロ)で認定した事実と前示甲第六号証の十、十六、原審並びに当審における証人渡辺敏彦の証言、控訴本人田中淳尋問の結果(但し原審では第一回)とを綜合すれば、積荷であるトロツコ用レール約二十二本の固定方法は自動三輪車の荷台後部に固定された木製の台と荷台前部の鉄製アングルの上に右二十二本のレールを山型に積み、後部の台の附近と前部のアングルの稍後方の二個所に直経六分位の中古麻製ロープを各二、三回宛レールと右の台及びアングルなどに捲きつけ且つ結着して固定した程度のものであつたことが認められるし、右自動三輪車の運転車たる控訴人田中淳においては、積荷たる右レールの総重量が約七百乃至八百瓩に達する相当の重量を有していたこと、その予定された運送距離は約一五〇米の近距離であつたこと、事故発生当日の右路面が数日来の降雪による雪解水で所々に水溜りができた状況にあつたこと等を事前に予知していたことが前記各証拠に徴して認めることができ、右認定を左右すべき証拠はない。しかしながら、控訴人田中淳は後段で説述する如くその運送途上の本件事故地点の路面に前記(イ)で認定した深い窪みがでていたことについては全く予知しなかつたし、又予知すべきことを期待すべくもなかつたし、却つて事故発生の数日前にも同所を運行して運送区間の路面は自動三輪車の運行に何ら支障のない平坦路であることを諒知していたことが認められる上に、当日の運行速度も時速約十五粁の遅い速度であつたことも前記(ロ)で認定したとおりである。そこで、以上認定の諸条件を考慮した上、本件の積荷固定について注意義務の欠缺が認められるか否かを判定すると、前記認定の固定方法によれば、もし前記(ロ)で認定した如く自動三輪車の車輪が事故地点の窪みに落込む事故が発生しなかつたとすれば、その運送に充分堪え得たものであつたことが推認され、このことは前示証人渡辺敏彦の証言と控訴本人田中淳尋問の結果によつても裏書きされるものといえるから、結局控訴人田中淳において右積荷の固定につき注意義務の欠缺があつたことを認めることができず、右認定を覆えすに足る証拠はない。なるほど、前記(ロ)で認定したように事故発生の際、右ロープが切れて積荷のレールが移動、落下したのであるが、このロープ切断の直接原因については必らずしも明白ではなく、少くとも車輪が事故地点の窪みに落込む衝撃に基くことなく、その運行途上に発生すべき通常の衝撃によりロープが切断したことを認むべき証拠はないし、もし反対に車輪が事故地点の窪みに落込む衝撃によりロープが切断したものとしても、控訴人田中淳においてこのように車輪が窪みに落込むことについては全く予知すべからざるところであつたから、かかる事態の場合にもロープが切れてレールが移動、落下することがない程度にレールを固定すべき注意義務を課することの許されないのは前叙の次第よりして明らかであるので、畢竟右のロープ切断の一事をもつて直ちに注意義務に欠缺があつたとすることはできない。さすれば、控訴人田中淳に対し右積荷の固定方法の点で過失のあることを認め得べき証拠はないことになる。

次に、本件自動三輪車運転上の過失の有無について検討する。前示甲第六号証の十、原審証人矢野ミツエ、原審並びに当審証人渡辺敏彦(但し、原審第一回)、同矢野貞次、同福谷政雄、同福谷茂子、当審証人荒巻キヌ子の各証言、原審並びに当審控訴本人田中淳尋問の結果によれば、控訴人田中淳は従来屡々自動三輪車を運転して事故現場を通行し、事故発生の三、四日前にも同所を往来しており、その後降雪などのため事故発生のときまで同所を一時通行しなかつたが、同控訴人にとつては事故現場の道路は従来通いなれた道路であつて、その路面に事故の原因となるが如き異状を認めた事跡とて全くなかつたし、事故地点において前記水道管より漏水していたことも全く知らなかつたことが容易に認められ、右認定に反する証拠はない。そして、右事情と前記(イ)及び(ロ)に認定した事故発生当時における事故現場の模様と事故発生の経緯とに鑑みるときは、未だ被控訴人が主張するように控訴人田中淳が自動車運転者としての前方注視義務を怠り、本件事故発生につき過失があつたものとすることはできない。即ち、同控訴人は前記(イ)及び(ロ)で認定したように前記楕円形の窪みで出来た濁水の水溜りを事前に発見していたが、右窪みの深さは濁水のため一見してこれを察知することは不可能の状態にあつたし、同控訴人の事故地点に至るまでの事故地点附近の進行途上にも同様の水溜りが随所にできていたが、これらの水溜りは全て異状なく通過できていた訳であるから、外観上では何ら異状の認められない右窪みで出来た水溜りを他の異状のなかつた水溜りと同様に考えてこれに車を乗り入れたとしても、未だこの所為に対し運転者としての注意義務違背があつたと目するのは相当でない。

しかしながら、前記(ロ)に認定したように控訴人田中淳は控訴会社の店員である永島外一名を自動三輪車の進行中その荷台に立つたまま乗車せしめていたものであるところ、自動車運転者たる同控訴人においては前記の如くレール二十二本の重量物を積載していることにかんがみ万一の事故を防ぐため永島らをして運転中荷台にすわらせるなどして事故の発生を未然に防止すべき注意義務(この注意義務は道路交通取締法施行令第四十三条の法規で定められた義務でもある)があつたといわねばならないので、同控訴人が前記の如く永島らを立つたまま荷台に乗車させていたことは右注意義務を怠つたものというべく、この点に過失あるを免れない。しかも、前記(ロ)で認定した事故発生の経過に鑑みるときは、事故発生の際永島が荷台に立つたまま乗車していたことが、永島の車よりの転落及び死傷を惹起した一因となつていたことを推認するに難くない。さすれば、控訴人田中淳は自動車運転上の右過失により本件事故のため発生した損害につき賠償義務を負うものといわねばならない。

第三、控訴会社の責任について。成立に争いのない甲第六号証の六、原審控訴会社代表者本人、原審並びに当審控訴本人田中淳各尋問の結果によれば、事故発生当時控訴人田中淳は控訴会社の代表取締役であると共に、常時控訴会社の自動三輪車の運転者として従業員と共に現場の会社業務に従事していたものであつて、本件事故は控訴人田中淳が控訴会社の被用者として同社の現場仕事をする自動車運転者の立場においてこれが運転業務に自ら従事中発生したものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。しかも、控訴人田中淳が控訴会社の右自動車運転業務に従事中これが運転上の過失により本件事故を惹起せしめたことも既に認定したところであるから、控訴会社は民法第七百十五条第一項の規定により本件事故のため発生した損害の賠償義務を負うものである。

以上認定した控訴人飯塚市の水道並びに道路の管理に関する瑕疵と控訴人田中淳の自動車運転上の過失とは互に競合して本件事故を発生せしめたものであること、即ち控訴人飯塚市と控訴人田中淳とは共同不法行為者たる関係において、また控訴会社は控訴人田中淳の使用者たる関係においてそれぞれ本件事故より発生した損害の賠償義務を負うものであることは前叙の次第に徴し明らかであるから、結局控訴人らはいずれも連帯してこれが賠償義務を負わねばならない。

よつて進んで、本件事故により発生した損害額について検討する。先づ、本件事故死のため永島が将来得べかりし利益を喪失したことによる損害額については、当裁判所は原判決のこの点に関する理由(原判決理由の六の(1) の(イ)の項摘記の理由)と同一の理由により右損害額を合計金六十万三千八百四十一円と認めるから、右理由摘示をここに引用する。

そこで、控訴人らの過失相殺の主張につき審案するのに、先づ本件自動三輪車の積荷であつたレールの固定方法に関しては何ら過失のなかつたことは前記第二で認定したとおりであるから、この点に過失ありたることを前提とする控訴人らの過失相殺の主張が採用できないことはいうまでもない。しかし、本件事故の被害者たる永島自身においても前記第二で認定したとおり危険防止のために自ら進行中の本件自動三輪車の荷台に立つたまま乗車することを避くべき注意義務があることは論を俟たないところであるから、前記第二で認定したように永島は右注意義務を尽していないので、本件事故死について永島自身にも過失があつたことを認めざるを得ない。そして、当裁判所は永島の右過失を斟酌して本件事故により発生した前記損害額金六十万三千八百四十一円のうち控訴人らの責任とすべき額はこれより金二十万円を控除した金四十万三千八百四十一円をもつて相当と認める。

さらに、被控訴人は永島の母であつて、成立に争いのない丙第十五号証によれば同人の唯一の相続人であることが認められるから、被控訴人において前記金四十万三千八百四十一円の債権を相続により承継取得した訳である。ところが、原審証人武藤欽哉(第一、二回)の証言、原審被控訴本人(第二回)と原審控訴本人田中淳(第一、二回)の各尋問の結果によると、控訴会社は所轄労働基準監督署の勧告により昭和三十一年三月二十四日頃被控訴人に対し永島の死亡による労働基準法第七十九条の遺族補償として金二十四万四千六百十円を支払つたことが認められるので、右金額の範囲で被控訴人が相続により取得した前記債権は既に弁済されたものと認めるのが相当であるから、これを差引計算すれば被控訴人は控訴人らに対しなお金十五万九千二百三十一円の債権を有することが明らかである。

ついで、被控訴人の慰藉料の請求については、当裁判所は原判決のこの点に関する理由(原判決理由の六の(2) の項摘記の理由)と同一の理由により控訴人らの支払うべき慰藉料の額は金十五万円をもつて相当と認めるから、右理由摘示をここに引用する。

以上の次第により結局控訴人らは連帯して被控訴人に対し右金十五万九千二百三十一円と金十五万円とを合算した金三十万九千二百三十一円及びこれに対する本件不法行為の日の後である昭和三十一年五月三日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があるといわねばならぬが、右の限度を超える被控訴人の請求部分は失当として棄却を免れない。

そこで、これと異なる原判決を変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十六条第九十二条第九十三条第九十四条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を各適用して主文のように判決する。

(裁判官 亀川清 小西信三 小川宜夫)

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