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福岡高等裁判所 昭和41年(ネ)644号 判決 1967年9月27日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金一四万円およびこれに対する昭和三一年四月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。予備的請求として、被控訴人は控訴人に対し昭和四三年六月二三日金一四万円を支払え、右期限に支払がないときは、右金員とこれに対する同年六月二四日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述および証拠の関係は、

被控訴人が『原判決事実欄に摘示された被控訴人の主張事実中原判決四枚目裏四、五行目「形式をとつて、」の次に「各賃借人との合意のもとに」を付加挿入する。

なお、被控訴会社においては、営業帳簿上、市場の出店者から受入れた権利金を一先ず「長期借入金」として記帳しているが、出店者が店舗を他に譲渡して退去した場合には、譲渡人が譲受人から権利金を受領したことを確認次第、「長期借入金」を「権利金」に振替える処理をして、漸次実体に一致せしめる扱にしている。ただし控訴人関係の本件一四万円については、帳簿上なお「長期借入金」として残存している形になつている。』と述べた。

立証(省略)

ほかは、原判決事実欄の摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がなく失当としてこれを棄却すべきものと判断する。

その次第は、

(一)  原判決理由「二、」の判断に関し、控訴人・被控訴人間に授受された金員が権利金であることを肯定すべき証拠として「当審における被控訴会社代表者本人の供述によつて成立を認め得る乙第一九ないし二二号証および同供述」を付加し、これらの証拠と対比して採用しがたい資料に「当審証人永尾定信、同米倉弥太郎の証言および当審における控訴本人の供述」を加え、

「被控訴人はその営業帳簿上本件金員が『長期借入金』として記帳されていることを自陳しているが、右のような記帳自体は、前認定のような事情から該金員の授受に関する原始記録ないし証憑書類が貸借の形式になつている以上むしろ当然というべく、その故をもつて本件金員を貸金と認めなければならぬものではない。」旨の判断を付加し、

(二)  原判決七枚目表三行目に「坪数が減少したため、」とあるのを「場所が悪くなつたため、」と、

同八行目に「数名」とあるのを「相当数」と、

八枚目裏一〇行目に「店舗坪数の減少」とあるのを「店舗の場所替」と、

九枚目裏一〇、一一行目に「弁済期の定めを要する」とあるのを「弁済期を定めた形にする方が自然である」と、それぞれ改めるほかは、原判決理由欄の説示するところと同一であるから、これを引用する。

よつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法第九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

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