大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和48年(う)728号 判決

判決理由

しかし、(一)、所論が、可罰的違法性に達しないものは構成要件該当性が否定されるとの構成要件の縮小的解釈をその理論的前提とするものであれば、かかる理論にたやすく賛同することはできないが、仮にかかる理論的立場に立って本件事案を考察してみても、被告人および共犯者の本件行為の目的が、年末一時金等の要求をめぐる団体交渉において、学校側(使用者側)代表者の一人成清正義がとった不当な態度や労使間においてその支給金額や支払日について一応実質的合意に達しておりながら支給を肯じない学校側の態度等について、釈明を求めるためのものであったのであるから、その目的は正当といい得るけれども、これを達成するためにとった手段がまさに本件行為であるけれども、その手段は、被告人や後藤武および平野暹等から連行されることを拒み、机にしがみついて頑強に抵抗する成清正義に対し、被告人において同人の胸ぐらを掴むなどして無理に引っ立て、さらに腕を掴んで引き摺り、平野暹において背後から同人を押すなどして強制的に連れ出し職員室に同行させたものであって、その用いた有形力の程度は、背広上衣の止めボタンがちぎれ落ち、吊紐がつけ根からちぎれ、さらに連行する際同人の右手背付近にあったタイプライターに打ち当てて加療四日ないし五日間を要する挫傷を負わせていた程であって、手段ならびに発生した結果はともに軽微といい得るものでないので、違法性が微弱として構成要件該当性を否定し得るものではない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!