福岡高等裁判所 昭和49年(ラ)6号 決定 1974年2月02日
抗告人
植原秀宜
(外二名)
相手方
株式会社天山商店
右代表者
七田久夫
主文
一、本件抗告を棄却する。
二、抗告費用は抗告人らの負担とする。
理由
(抗告の趣旨、理由)
本件抗告の趣旨は「原決定を取り消す。相手方は「酒類販売業免許の通知について』なる文書を提出せよ。手続費用は全部相手方の負担とする。」旨の裁判を求めるというのであり、その理由は別紙のとおりである。
(当裁判所の判断)
しかしながら一件記録によれば、抗告人らが昭和四七年五月一八日(原審第六回口頭弁論期日と同日にあたる)に前記文書の提出命令の申立をなしたところ(民訴法第三一三条)、相手方はこれに応じて昭和四八年一月三〇日の原審第九回口頭弁論期日において該文書を任意に提出したので、原審裁判所は同期日にこれを口頭弁論に顕出したうえ同文書の写八葉を留置し(前同法第三二〇条、保管番号昭和四八年第二八号)、その後六回の口頭弁論期日をかさねて昭和四九年一月一七日の第一五回口頭弁論期日にいたり弁論を終結するとともに前記留置中の文書写を相手方に返還したことが認められる。されば抗告人らの文書提出命令の申立は相手方が任意提出した結果、許否の裁判をなすでもなく、その目的を果すことにより意味を失つたことが明らかであるから、今更、原審裁判所が許否の裁判をなす筈はなく、また、その必要もない。本件抗告の真意が奈辺に存するか理解にくるしまざるを得ないが、前記文書の任意提出がないことを前提とする抗告人らの主張は、既にその前提において失当というほかはない。
(結論)
よつて本件抗告は理由がないから、これを棄却すべく、抗告費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり決定する。
(佐藤秀 麻上正信 篠原曜彦)
抗告の理由<省略>