福岡高等裁判所 昭和50年(ネ)726号 判決
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【判旨】
〔一〕ところで、建築基準法上の敷地とは、一つの建築建物又は用途上不可分の関係にある二つ以上の建築物のある一団の土地をいう(建築基準法施行令第一条一号)のであるところ、右にいう一団の土地とは、当該建物と用途上不可分の関係にあり、これと共通の用途に現実に供せられている土地であつて、河川、道路、囲障等によつて隔てられずに連続した土地をいい、登記簿上の地目・筆数、所有権(建物の所有権者と土地の所有権者、連続した土地が登記簿上数筆である場合その数筆の土地の所有権者が同一であるか否か等)の有無とは関係なく、客観的に一団の土地をなしていることをもつて足りると解するのが相当である。ところで、<証拠>を総合すると、(1)控訴人ら本件マンシヨン購入者全員の共有となつている前記三〇八番の土地と本件駐車場敷地とは連続した一団の土地を形成しているものであること、(2)本件駐車場は、控訴人らと同じく本件マンシヨンを購入したその区分所有者の一人である被控訴人らが、各自本件マンシヨンの附属駐車場としての用に供する目的で古河不動産から買受けたものであること、(3)そして、同売買において買主は、(イ)買受物件を駐車場の用にのみ使用し、他の目的に使用してはならないこと、(ロ)本件マンシヨンの区分所有者以外の者に本件駐車場を譲渡しもしくはマンシヨン居住者以外の者に貸与することはできないこと、(ハ)本件マンシヨンとともに本件駐車場を譲渡した場合、その譲受人にそれらの義務を承継せしめること等の規制を受けていること、以上の事実が認められるのであつて、これらの事実からすると、前記三〇八番の土地と本件駐車場敷地である前記1145.65平方メートルの土地とは、その所有名義の如何にかかわらず、用途上有機的不可分の関係にあり、現に用途上一体不可分のものとして、本件マンシヨンのための用途に供用されている一団の土地を形成しているものということができる。
そうすると、前記の両土地は、現在においてもなお、建築確認時と同様、全体として建築基準法上本件マンシヨンの敷地となつているものであつて、その間に異動はないものということができるから、本件駐車場の売買によつて、本件マンシヨンが建築基準法上不適格建物となつたということはできない。よつて、建築基準法第八条に違反するという控訴人らの主張は理由がない。
〔二〕そうすると、控訴人らの本訴請求は、いずれも失当として棄却すべきである。
ところで、原判決は、控訴人らの本訴請求は、本位的請求及び予備的請求とも、いずれもその実体的要件を欠き理由がないと判断しながらも、その主文において「原告らの請求をいずれも却下する。」旨表示して、請求却下の判決をしている。しかし、原判決はその理由から明らかなように、その実質は、控訴人の請求の実体的権利の存否につき判断を示した本案判決といえるから、その理由がないものと判断した以上、「請求棄却」の本案判決をするのが正当というべきである。しかるに、原判決がその主文で、控訴人らの請求を却下する旨の判決をしたのは違法というべきであるから、原判決はこの点において取消を免れない。しかし、原判決は、前記のようにその実質は本案判決であつて、民事訴訟法第三八八条の予定している訴訟判決ではないので、同条の適用はないものと解するのが相当である。よつて、原判決を取消し、控訴人らの本訴訟請求をいずれも棄却することと<する。>
(斎藤次郎 原政俊 寒竹剛)