福岡高等裁判所 昭和51年(う)626号 判決 1977年6月16日
主文
本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中九〇日を原判決の刑に算入する。
理由
本件控訴の趣意は、被告人及び弁護人吉田保徳提出の各控訴趣意書(同弁護人作成の控訴趣意補充書を含む。)記載のとおりであり、これに対する答弁は検察官中村勉提出の答弁書記載のとおりであるから、ここにこれらを引用する。
右各控訴趣意(いずれも事実誤認)について。
各所論はいずれも要するに、原判決は被告人が氏名不詳の三名の男と共謀の上、原判示日時場所において、原判示タクシーに乗っていたA外三名の青年に対し、殺意をもって鉄棒でその頭部等を殴打するなどの暴行を加え、殺害の目的こそ遂げなかったものの、同人らに対し脳挫傷等の傷害を負わせると共に、右タクシーの窓ガラスやドア等を破損等した旨認定するが、右は誤認であって、被告人は無実である。被告人が右殺人未遂等の犯行に加担したものと認むべき直接の証拠は、現場で被告人を目撃したという久保茂、松崎晴美、古賀豊宏及び福山慎一の原審における各証言のみであるところ、これらの証人はいずれも捜査官から予め犯人の一人が被告人であると暗示され、これに誤導され若しくは進んで迎合しているものであって、その各証言内容を検討してみても曖昧な点が多く、しかも相互に喰い違う点が少なくないものであるから、右証言はいずれも到底措信できないものである。従って、原判決はこれらの供述証拠の評価を誤り事実を誤認したものであって、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるから破棄を免れないというに帰する。
しかし、原判決挙示の関係証拠を総合すれば、原判示第一及び第二の各事実はいずれも十分に認められ、とりわけ被告人が各犯行に加担し共同実行したものであることは到底否定できない。すなわち
(一) 原判示日時頃、原判示福岡玉屋デパートの東側路上(以下、本件現場という。)において、大場茂生運転のタクシーに乗っていたいわゆる革マル派の構成員A外三名の者が、同派と対立抗争していたいわゆる中核派の構成員と目される四名の男から頭部等を鉄棒で殴打等されるという殺人未遂事件(原判決第一の事実)が発生し、その際右タクシーの窓ガラスやドアが損壊等されたこと(原判示第二の共同器物損壊事件)は関係証拠上明らかなところである。
(二) 原判決挙示の原審第四回公判調書中の証人久保茂の供述記載、原審証人松崎晴美及び同福山慎一の各供述によれば、本件襲撃犯人たる前記四名の男の中には、当初タクシーの左後部付近の外側から所携の鉄棒で窓ガラスを割ったうえ車内の男を突くなどし、その後タクシーの右後部坐席から車外に逃れ出た男に対し、右鉄棒でその頭部等を烈しく殴打等していた小柄で眼鏡をかけた男がいたが、それは被告人であることが認められ、また原判決挙示の原審証人古賀豊宏の供述によれば、数分間にわたる攻撃を加えた後現場から逃走した犯人のうち、先頭にいた小柄な男が被告人と認められるものである。
これに対し所論はいずれも、右に援用せる久保茂外三名の証言の信憑性を争うので、これら証言の真偽につきこれを検討するに、
(1) 原審証人久保茂の供述記載によれば、(イ)同人は食肉販売業を営む者(証言当時三二歳)であり、本件現場の東側にある駐車場内の自動車内にいたが、ガラスの割れる音で原判示襲撃事件に気付き、以後僅か数メートル先の路上で展開された犯行の状況を目撃したものであること、(ロ)丁度同人の目の前に倒れている被害者に対し、鉄棒をふり下している犯人がいたので、これに注目し、その男の全体印象と共に背が低くやせ型で、黒っぽい眼鏡をかけ白マスクをつけていることなどの部分的又は個別的な特徴についても強く印象づけられたこと、(ハ)事件直後現場に来た捜査官から事情を聴取され、その翌日頃警察官から十数枚の写真を見せられて被害者、加害者のいずれでもよいから当日目撃した者がいたら教えてもらいたい旨求められたところ、記憶に残っていた右犯人に酷似している者として被告人の写真を選び出し、また路上に倒れていた被害者一名の写真を見付けてこれらを警察官に指示したこと、(ニ)更に、その約半年後の警察における面通しの際にも、手錠をつけた被告人の姿を見て、これが目撃した犯人によく似ている旨答えたこと、(ホ)また原審公判廷においても、犯行の際に目撃した犯人は被告人に非常によく似ている旨の供述をしていることが認められる。
(2) 原審証人松崎晴美の供述記載によれば、(イ)同人は玉屋デパートの一階にある喫茶店のウェイトレス(証言当時二〇歳)であり、勤務中であったが偶々東側路上を眺めた時に、前記襲撃の状況を認め、以後広い窓ガラス越しに僅か三メートル位先の路上で行なわれた犯行を目撃したものであること、(ロ)たまたま犯人の一人がふり返った際に、その顔を真正面から直視したのでその容貌に注目することになり、その男が年齢二三ないし二五歳位で背が低く、やややせ型で黒縁の眼鏡をかけ、白マスクをつけていることなどの個別的特徴を印象づけられ、これらの点まで記銘するに至ったこと、(ハ)事件直後捜査官から事情を聴取され、その二、三日以降二、三回に亘り警察官から十数枚あるいは数十枚の写真を見せられて犯人がいたら教えてもらいたい旨求められ、最初に見せられた時には、見覚えのあるものがなかったのでその旨答え、二回目の時には、記憶に残っていた犯人の顔にそっくりな写真があったのでその旨告げたが、これが被告人の写真であること、(ニ)更に、その半年後の警察における面通しの際にも、六人位のいずれもマスクをつけ服装等からは区別のつけ難い男達の姿を見て、その中から被告人を自己が目撃した犯人として指摘したこと、(ホ)原審公判廷においても、顔を見た犯人は被告人に間違いない旨供述していることが認められる。
(3) 原審証人古賀豊宏の供述記載によれば、(イ)同人は学生であり、アルバイトとして本件現場の東側にある駐車場に働いていた者(証言当時二一歳)であるが、当日右駐車場の料金所付近で勤務していた時に、白マスクをつけた四人の男が、鉄棒を携行して南から北に駈けて行くのに気付き、その後五〇メートル位北方で展開された前記襲撃事件を望見し、犯行後南に向って逃走する犯人を現認したものであること、(ロ)顔だけは見てやろうという気持から、一、二メートル離れた路上を逃げて行く犯人の顔に注目し、先頭の男が年齢二五、六歳位、背が低くやせ型で眼鏡をかけていたこと、及び最後(四人目)の男が、背が高く左頬部から血を出していたことなどが印象として記銘されたこと、(ハ)事件直後現場に来た捜査官に対し目撃者である旨申し出たことから、その一週間か二週間後に警察官から数枚の写真を見せられたが、その中から先の記銘に基づき先頭に逃げて行った犯人として被告人の写真を選び出したこと、(ニ)更に、その約半年後の警察における面通しの際にも、六人位の男の姿を見て、その中から犯行当日に見た先頭に逃げて行った犯人として被告人を指摘したこと、(ホ)原審公判廷においても、犯人のうち先頭を逃げていた男は被告人に間違いない旨供述していることが認められる。
(4) 原審証人福山慎一の供述記載によれば、(イ)同人は民間会社の自動車運転手であり(証言当時四〇歳)、本件現場の東側にある駐車場に自車を駐車させ、玉屋デパートに赴いた上司が戻ってくるのを車内で待機中に、ドアがぶつかるような物音を聞いて前示襲撃事件に気付き、以後僅か数メートル先の路上で展開された犯行状況を目撃したものであること、(ロ)たまたま犯人の一人が同人の方に顔を向けたので、その男の容貌がわかり、年齢二三、四歳位、背が低くやせ型であること等が印象づけられたこと、(ハ)事件直後に事情聴取を受け、当日警察官から四、五十枚の写真を示されて見覚えのある者はいないかと尋ねられたが、その中には記憶にある犯人の写真は見当らなかったのでその旨答え、その後警察官から写真を見せられた際には、その中に当時目撃した犯人と思われる者の写真があったのでその旨告げたが、それが被告人の写真であること、(ニ)更に、事件から約半年後の警察官における面通しの際にも、手錠をはめた被告人の姿を見て、犯人はこの男だったように思う旨答えたこと、(ホ)なお、原審公判廷においては、断定はできないけれども目撃した犯人は被告人だったような気がする旨供述していることが認められるものである。
右(1)乃至(4)の如く、久保茂外三名の各供述記載内容を検討してみると、久保茂らはいずれも事件と利害関係のない一般市民であり、偶々本件現場に居合せたため事件を数メートルの至近距離から目撃することとなったものであって、思いがけない出来事に遭遇し、関心をもって一連の犯行状況や犯人の容貌等を観察し、強い印象を以てこれが記銘され、原審においてこれらの体験を記憶に基づき率直に供述しているものと認められる。とりわけ各証人につき前示(イ)乃至(ホ)の供述内容にそれぞれ現われるところからも窺われるように、自己の現認しない事実を意識的に偽るが如き態度がないことは勿論、ことさら捜査官に迎合しようとする態度を認むべき供述状況も見当らないうえに、相互に比照しても、後に触れる如く個々の目撃者に起因すべき当然の相違点は別として、目撃対象の核心についての共通の認識部分に不一致はなく、殊に、一連の犯行の概要や犯人のうち小柄で眼鏡をかけた若い男の特徴及びその具体的行動など被告人を犯人と指摘する各自の印象は一致又は整合するものであって、これらの供述証拠の信憑性はたやすく否定できないところである。
これに反し各所論は、捜査当局は犯人の一人が被告人であるとの予断をいだき、これに基づき現場に居合せた久保茂らに対し強い暗示を与えたものであり、その結果同人らは無意識のうちに誤導されあるいは意識的に迎合して、被告人が犯人である旨証言するに至ったものであるから、少くとも犯人の特定に関する部分についての久保茂らの供述は措信さるべきでないというのである。
しかし、(a)前示(1)乃至(4)のとおり、久保茂らは互いに何らの関連もない人達であり、たまたま現場に居合せ各自が独立して本件犯行を目撃したものであり、それぞれに偶然の理由からではあるが、犯人の一人に特に注目することとなって、その容貌に対する全体的印象と共に若干の重要な部分的特徴をも印象づけられてこれを記銘したものであるところ、その記憶の鮮明な時期に、個別的に(すなわち、話し合いなどの供述の独立性を阻害することなく)捜査官から多数枚の写真を示され、その際に自らの記憶に基づいて犯人の一人として被告人の写真を任意に選び出したものであること、とくに、松崎晴美や福山慎一の場合に現われる如く、見覚えのある写真が見当らない場合にはその旨を率直に答えれば足り、それ以上の追求的若しくは誘導的な取調はなされていないこと(原審証人大場茂生の供述記載によれば、この点は同人の場合も同様であって、多数の写真を示されたが現場で犯人の顔をあまりよく見ていなかったためにその記憶がなく、見覚えのある写真もなかったのでその旨答えたところ、捜査官もこれを納得し了承したものであることが認められる。)等に徴しても、久保茂外三名の目撃者が写真によって犯人を再認する過程において、捜査官の暗示等の働きかけに因る影響があったものとは認められない。
尤も、捜査官が久保茂らに示したのは被害者である革マル派の構成員の写真のほか、同派と対立関係にあった中核派その他のいわゆる新左翼諸派に属する者の写真に限られていたことが窺われるが、前示(一)のとおり、本件が新左翼諸派によるいわゆる内ゲバ事件であり、犯人が革マル派と対立抗争していた中核派等の集団に属するものであることは、本件犯行の態様や被害者らの態度などにより容易に推認される情況にあったから、捜査官においてもこれを前提として目撃者に示す写真を右の範囲に限定したものであって、関係証拠に照らしても本件が右にいう内ゲバ事件であることに間違いはないので、右の措置をもって不当な予断若しくは暗示を与えたものということはできない。
(b)また、事件から約半年が経過したのちに行なわれた面通しにおいても、松崎晴美及び古賀豊宏の場合には、前示(2)の(二)及び(3)の(二)のとおり、いわゆる選択的面通しの方法がとられていて、同人らは服装等による区別が困難な六人位の男の中から自己の記憶にある犯人に似た者として被告人を選び出しているものであるから、この場合の再認過程にも暗示等による不当な影響は認められない。(なお、当審証人小出高志の供述によれば、同人も同様の方法により被告人を犯人に似た者として指摘していることが認められる。)尤も所論指摘の如く、久保茂及び福山慎一に対してはいわゆる単独面通しの方法がとられているので、暗示の危険がなかったわけではないけれども、右久保茂及び福山慎一の各供述記載によれば、久保茂らが自己の目撃した犯人を再認するに際し、面通しの仕方によって悪影響を受けたものとは認められないので、右の単独面通しの方法がとられたことを理由として、久保茂らの供述の信憑性を否定することは相当でない。
次に、所論はいずれも久保茂外三名の各証言の信憑性を否定すべき理由として、各証言はその内容自体に曖昧で不自然な点が多く、相互に比照しても矛盾する点が少なくないというのである。
しかし、所論にかんがみ久保茂らの各供述記載内容を仔細に吟味しても、その内容自体に曖昧で不自然な点があるものとは認められず、また相互に比照してもその核心的部分に関し相容れない矛盾があるものとは認め難いところである。すなわち
(イ) なるほど所論指摘のとおり、各供述内容の中にはこれを個別的に見る限り、「よくわからない。」、「はっきりしない。」、「多分……と思うが……。」などといった曖昧又は不明確な供述部分が存在しないわけではないけれども、これらは主としてその事柄が当該証人にとって注意を志向するに至らなかった部分であって、関心の集中しなかったことによる知覚又は記憶の不十分に基因するものと認められる。およそ通常人における注意は志向性を有し、そのため目撃せる出来事又は行動する人間などの全部分について洩れなく同一の強度をもってこれを知覚し認知するが如きことは不可能であり、また対象たる出来事又は行動する人間などにつき全体印象を形成する反面、個々の部分についての印象がこれに吸収されて独立的明確性を弱め、全体的印象の同一性に影響を及ぼすような特徴のみが部分的印象として記銘されがちなものである。従って、本件の如く数分間にわたり激しく展開した出来事の総ての部分に対し、これを正確に観察して記憶し且つ再生することは実際には出来がたいことであって、かかる個々の部分的な点について不明確な供述部分が生ずることはむしろ自然なことと認められ、これをもってその供述の信憑性を阻害すべき理由とすることはできないものである。
(ロ) また、各所論の指摘する如く、四名の犯人及び四名の被害者の個別的行動、犯人の服装や髪形、背の高さあるいは犯人が白マスクをつけていたかどうか、被告人に酷似した犯人が眼鏡をかけていたかどうかなどの点につき、久保茂外三名の目撃者の証言内容を対比すると、必ずしも全面的には一致していないものである。しかし、前示の如く目撃対象を把握する場合の自然な作用のほか、目撃時における各証人の状態及び再認時における記憶喚起の能力などを無視して、これら証言の相互関係を評価することは許されないものである。しかして、前示(1)乃至(4)のとおり久保茂らが犯行の状況を目撃した時点や場所及び方向には相異が認められるうえに、その目撃対象たる状況全体のうちにおける注意の志向点や関心部分にも差異がみられることは各供述記載内容自体からも容易に窺知できるところであり、さらに各人それぞれの経験や知識に基づく知覚又は表現能力の違いも否定できず、これらの点を念頭において判断する限り、所論指摘の如き部分的な不一致等をもって各証人の供述に共通する核心的部分の信憑性を否定することはできない。殊に、犯人の同一性の如きは部分を超える全体的印象によって支配されることが多く、たとえ個々の部分について曖昧な点があっても、これのみをもって直ちに全体印象的な再認の正しさを排斥することは相当でない。例えば福山証人が、犯人はいずれも白マスクをつけていなかったと思うとか、被告人に酷似した犯人が眼鏡をかけていたかどうかははっきりしないなどと供述しながら、なお被告人を犯人の一人として指摘することができたのは、被告人の上に右の全体印象的な同一性を認知するからである。同証人が右の白マスクや眼鏡をはっきり再生できないのは全体的状況に注意が向き、これらの部分にあまり関心を払うに至らなかったためであると認められるので、右の如き供述部分の存在を理由として、同証人が注目して観察し記憶する事柄に関する供述部分まで信憑性を欠くものとすることは誤りというべきである。また髪形の長短、背の高低、あるいは眼の大小などはそれ自体が相対的な表現であり、各証人の経験等に左右される場合も多いのであるから、各証言を対比して表現上の相違が認められるからといって、これを直ちに実質的相異であるかの如くいうことは妥当でない。更に、人の服装やその色合いの如きは、同一視野にあってもこれに志向する注意の有無によって大きく影響され、常に適確な再生を可能にするものとは限らないのみならず、たとえ関心をもって観察した場合においても誤認や記憶違いの生じ易い事柄である。したがって、各証人の供述における犯人の服装に関する部分を対比し、「白いダスター・コート様のもの」、「白っぽい半コート風のもの」、「ねずみ色の作業服のようなもの」、「はっきりしないが、地味な感じの服装」などといった供述部分が異なる対象を指示し又は実質的に矛盾するものの如く断ずることは相当でない。
なお、松崎証人が被告人に酷似した犯人の特徴の一つとして指摘する「あごのところがえらが張ったみたい」という表現が客観的にみて必ずしも被告人にふさわしくないものであるとしても、同証人は原審公判廷において被告人を直接観察しながら、なおかつ右の如き供述をなしているものであるから、その表現が拙劣であると批判することは格別、これをもって同証人の供述の信憑性を阻害すべき事由とすることはできないものというべきである。
その他各所論において指摘する個々の点にわたり、久保茂外三名の証人の各供述記載内容を微細に吟味し、さらにその余の関係証拠や当審における事実取調の結果を加えて検討しても、これらの供述証拠の核心的部分に関する限り、その信憑性を阻害すべき具体的事由は見出せないので、原判決がこれらの供述証拠を措信し、これと相容れず、単に犯行とは無関係である旨を弁解するに止まっている被告人の原審公判廷における供述を排斥したことに、証拠評価の誤りは存しないものである。
しかして、前示のとおり右久保茂らの各供述証拠とその余の原判決挙示の関係証拠によれば、原判示第一及び第二の各事実はいずれも十分に認められ、とりわけ被告人が外三名の男と共に右犯行に参加したものであることは否定できないので、原判決がその旨認定したことに誤りはなく、その他記録を精査し当審における事実取調の結果を参酌しても各所論の如き誤認を発見することはできない。各論旨はいずれも理由がない。
そこで、刑事訴訟法三九六条に則り本件控訴を棄却し、なお刑法二一条を適用して当審における未決勾留日数中九〇日を原判決の刑に算入し、また当審における訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項但書に従い被告人に負担させないこととする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 平田勝雅 裁判官 川崎貞夫 堀内信明)