福岡高等裁判所 昭和54年(ム)26号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
二よつて、判断するに、原決定は、福岡高等裁判所昭和五四年(ネ)第九四号、同年七月四日言渡にかかる判決につき、上告提起期間が昭和五四年七月一九日までであつたのに、申立人において同月二〇日に本件上告状を当裁判所に提出したため、申立人のした本件上告を上告提起期間経過後に提起された不適法なものであるとして却下したことが明らかであるが、本件記録によれば、申立人は、本件上告状を同月一八日午前八時半ころ小倉西郵便局で当裁判所宛の書留速達郵便に付したことが認められるところ、当裁判所の照会に対して小倉西郵便局長がした回答によれば、右郵便物は、通常であれば遅くとも翌一九日の午前八時福岡中央郵便局発の速達便一号により配達される筈であつたが、同月一八日の九州南部地方の集中豪雨により国鉄鹿児島本線が不通となつたため、通常よりも遅配されて同月二〇日に配達されたことが明らかであり、しかも、本件記録によれば、申立人において本件上告状を速達書留郵便に付した時点で右事態は予想できなかつたことが窺われる。
そうすると、申立人は、その責に帰することができない事由によつて、上告提起期間内に本件上告状を提出できなかつたものというべきであるから、申立人のした本件上告は、追完の事由が存在したことにより適法のものであつたというべく、原決定は、結局、結論に影響のある右事項について判断を遺脱したことに帰するものといわなければならない。
(斎藤次郎 原政俊 寒竹剛)