大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和55年(行コ)7号 判決 1982年12月13日

大分市長浜町三丁目六番三号

昭和五五年(行コ)第七号事件被控訴人・同第一一号事件控訴人(以下「一審原告」という)

葛城啓三

右訴訟代理人弁護士

臼杵勉

内田健

分大市中島西一丁目一番三二号

昭和五五年(行コ)第七号事件控訴人・同第一一号事件被控訴人(以下「一審被告」という)

大分税務署長

佐藤貴士

右指定代理人

田中清

北島凡夫

山下碩樹

山本輝男

岩下輝義

主文

一  一審原告の控訴を棄却する。

二  一審被告の控訴に基づき、原判決を左のとおり変更する。

(一)  一審被告が昭和四〇年一〇月七日付で一審原告の昭和三九年度分所得税についてした更正処分(熊本国税局長が昭和四一年六月三〇日付でした裁決により取消された部分を除く)のうち、課税総所得金額一一八三万三九八一円を超える部分を取消す。

(二)  一審原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを四分し、その三を一審原告の、その余を一審被告の各負担とする。

事実

一  一審原告は、「原判決を左のとおり変更する。一審被告が昭和四〇年一〇月七日付で一審原告の昭和三九年度分所得税についてした更正処分のうち、熊本国税局長が昭和四一年六月三〇日付でした裁決により取消された部分を除くその余の部分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも一審被告の負担とする。」との判決を求め、一審被告の控訴につき「本件控訴を棄却する。控訴費用は一審被告の負担とする。」との判決を求めた。

一審被告は、「原判決中一審被告敗訴部分を取消す。一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも一審原告の負担とする。」との判決を求め、一審原告の控訴につき「本件控訴を棄却する。控訴費用は一審原告の負担とする。」との判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり改め、付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

(一)  原判決四枚目表五行目の「俊三」を「俊一」と、同六枚目表四行目の「一〇」を「一一」と、同八八枚目裏五行目の「五六、五九三、五八四円」を「五六、五九三、九八四円」と、各改める。

(二)  同九〇枚目表一二行目の「同条」の次に「同項」を挿入する。

(三)  同一七七枚目表三行目の「紹介」を「照会」と、同一八六枚目裏九行目の「△一〇、六三七、四〇三円」を「△九、七九三、二九五円」と、同一二行目の「△二、二九六、三八一円」を「△一、四五二、二七三円」と、各改める。

(四)  同一八八枚目の「事業所得主張額対照表」の原告主張額のうち、支払利息「一〇、〇〇六、八六一」を「九、一六二、七五三」と、差引事業所得「△一〇、六三七、四〇三」を「△九、七九三、二九五」と、同二三〇枚目の「事業所得主張金額及び証拠との関連(その6)」のうち、支払利息「一〇、〇〇六、八六一」を「九、一六二、七五三」と、同科目の証拠との関連及び主張理由等欄全部を「原判決認容のとおり」と、経費合計「一〇、七五二、六九四」を「九、九〇八、五八六」と、各改める。

(五)  一審原告の新たな主張

(1)  米山の土地への取付道路工事代金として、佐野ブルドーザ有限会社は、昭和三九年八月二〇日から同年一二月三一日までに合計一六〇万円を受領しているところ、これは右土地を販売するについて欠くことのできない工事の代金であるから、仮に、一審被告が主張するように、一審原告が右土地を取得して転売したというのであれば、右工事代金は右土地を転売するについての土地原価として計算すべきものである。

(2)  本件更正処分の裁決額は、事業所得一二五二万〇八五八円、譲渡所得二〇万三七八六円、配当所得五一万円、雑所得四万円の合計一三二七万四六四四円である。しかるに、本訴訟における一審被告の主張額は、事業所得一三六三万一五二五円、譲渡所得六七万二七二二円、配当所得五一万円、雑所得四万円の合計一四八五万四二四七円である。この一審被告の主張額は、もし、その主張どおりの事実が認められると、本件更正処分によって確定された右課税所得金額及び税額を超えて変更することになるが、かかる新主張は、一審原告の利益に反し、不利益変更禁止の原則に違反するものといわなければならない。

(六)  右主張に対する一審被告の反論

(1)  米山の土地の買受については、一審原告と明治開発との間でいわゆる「だかせ」の約束が成立しており、一審原告は資金提供者としてこれに参加し、最終的には明治開発が右土地を取得することになっていたものであるから、いまだ所有権を取得するに至らない段階において、明治開発が造成、レイアウト、販売計画をしたものであり、その工事代金を負担したのも同社であることから、一審原告主張のようにこれを同原告の必要経費とする余地は全くない。

(2)  税額等に関する処分に対する争訟においては、原処分である更正処分の総所得金額の適否が判断の対象であるから、判決が総所得金額を構成するある種の所得金額を原処分より多額に認定しても、これによって総所得金額の増加をきたさない以上、原処分を原告の不利益に変更したことにはならないものであり、本件においても原処分以上に税額の増加はなく、一審原告に何ら不利益な判決はなされていない。

(七)  当審における新たな証拠として、一審原告は、甲第四四号証を提出し、証人角和哉、同佐野保の各証言及び一審原告本人尋問の経果を援用し、後記乙号証のうち、第一二号証、第一三〇号証の一、二、第一三一号証の二、第一三二ないし第一三四号証、第一三六号証、第一三八号証の一ないし八の成立、第一二九号証(但し書込部分を除く)、第一三五号証の三、四、第一四〇号証の原本の存在及び成立は不知と述べ、一審被告は、乙第一二八、第一二九号証、第一三〇号証の一、二、第一三一号証の一ないし四、第一三二ないし第一三四号証、第一三五号証の一ないし五、第一三六、第一三七号証、第一三八号証の一ないし八、第一三九号証の一ないし三、第一四〇、第一四一号証を提出し、証人岩本桂典、同小田部検、同戸上大士の各証言を援用し、甲第四四号証の成立は認めると述べた。

理由

一  当裁判所は、一審原告の本訴請求は、本件更正処分(熊本国税局長の裁決により取消された部分を除く)のうち、課税総所得金額一一八三万三九八一円を超える部分の取消を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないので棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり改め、付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

(一)  原判決九枚目裏一一行目の「乙第一一号証」の次に「(原本の存在についても争いがない)」を挿入する。

(二)  同一二枚目表四行目の「(7)」を「(8)」と改め、同一四枚目裏三行目及び一八枚目裏一一行目の各「(第一回)」の次に「及び当審における一審原告本人尋問の結果」を、同一五枚目裏八行目の「原告は」の前に「すなわち、」を同二〇枚目裏一行目の「によれば」の前に「及び当審における一審原告本人尋問の結果」を、同二五枚目裏四行目の「乙第一〇六号証」の次に「の一ないし八」を、同二八枚目裏五行目の「同第四三号証の二」の次に「(但し右側部分のみ)」を、各挿入する。

(三)  同三〇枚目表四行目の「これらの仲介業者は、」の次に「売主たる一審原告に対し、」を、同五行目の「作成」の次に「交付」を、同三二枚目表六行目の「六七万」の次に「一六〇〇」を、同七行目の「右」の次に「のうち」を、各挿入し、同枚目裏一行目の「第三四号証、」を削除する。

(四)  同三三枚目表六行目の「また」から同三四枚目裏二行目末尾までを、次のとおり改める。

「また、成立に争いのない乙第一二八号証によれば、渡辺忠義は、昭和五五年七月三〇日大蔵事務官の質問に対し、契約書上の代金四五万五〇〇〇円は虚偽の記載である旨答えたことが認められ、さらに、成立に争いのない乙第一三〇号証の一、二、第一三三号証、前記乙第四七号証、当審証人岩本桂典の証言によれば、当時の明治開発にあっては、土地の売買価格が「表」と「裏」に二分されて圧縮・仮装される例が多く、この場合の手数料については、「表」に対応する分につき「手数料」、「裏」に対応する分につき「費用の負担金」の名目を用いた領収証が発行されていたこと、そして本件手数料は、売主及び買主につきそれぞれ売買価格八〇万円の五パーセントにあたる四万円であったことなどの理由から、買主たる渡辺に対しては特に一万円減額され、結局「表」分については二万二七五〇円、「裏」分については七二五〇円の各領収証が発行されたことが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。以上認定の事実を総合すれば、渡辺に対する売渡代金額は八〇万円であると認めるのが相当である。」

(五)  同三五枚目裏六行目から七行目にかけての「原告の手中にある前記甲第九号証」を「原審における一審原告本人尋問の結果(第二回)により真正に成立したものと認められる甲第一一号証」と、同三六枚目表一行目の「甲第九号証」を「甲第一一号証」と、各改め、同一二行目の「尋問の結果」の次に「(第一回)」を挿入し、同枚目裏七行目の「甲第一五号証の一」を「甲第一五号証の一・二・五」と改め、同一〇行目の「第二四号証の一・二」の次に「第一四〇号証」を、同三七枚目表一二行目の「乙」の次に「第二五号証の一・二」を、各挿入し、同枚目裏七行目末尾に続けて「乙第一三一号証の一は当審証人小田部倹の証言により真正に成立したものと認めることができる。」を付加し、同八行目の「右各書証」から「よれば」までを「右各書証並びに原審及び当審証人小田部倹、当審証人岩本桂典の各証言によれば」と改める。

(六)  同三八枚目裏四行目の「米山」の前に「湯布院町農業協同組合の」を挿入し、同八行目の「八〇万円」の次に「(但し小切手)」を付加し、同三九枚目表三行目の「大分銀行」の次に「別府」を付加し、同三九枚目の「八月四日」を「八月三日」と、同枚目裏七行目の「明治開発」から八行目末尾までを「明治開発別府営業所又は親会社の明治不動産大分支店から、つぎのとおり合計八四〇万円の支払がなされた。」と、同九行目冒頭から一一行目末尾までを「(イ)昭和三九年一〇月一五日明治開発から金額二〇〇万円の小切手が振出された。右小切手は、湯布院町農業協同組合長理事溝口仗が後記ユム田の土地代金の一部として受取り、同月一七日同売主の一人である高田隆彦の貯金に入金された。」と、各改める。

(七)  同四〇枚目表八行目の「右各支払」から九行目末尾までを削除し、同枚目裏一行目冒頭から三行目末尾までを「(ヘ)同年一月三〇日五〇万円、同年二月二七日三二万円、同年同月二八日一六万六六円がいずれも明治不動産から現金で支払われた。」と改める。

(八)  同四一枚目表三行目の「三〇日」を「三一日」と改め、同九行目から一〇行目にかけての「「荒尾政英」の氏名及び」を削除し、同枚目裏四行目の「(第一、二回)」の次に「並びに当審におせる一審原告本人尋問の結果」を挿入し、同一〇行目の「支出されており」を「払出されていること」と改め、同行目の「同年」から一二行目の「いること、」までを削除する。

(九)  同四二枚目表八行目の「「荒尾政英」」から一〇行目の「受領したことは」までを、次のとおり改める。

「「荒尾政英」と明治開発間の売買契約における手付金の支払猶予予期限の前日である同年一〇月一五日に約定手付金額二〇〇万円と同額の小切手が明治開発から振出され、これがユム田の土地代金の一部支払にあてられているが、右ユム田の土地代金の支払義務者が「荒尾政英」こと一審原告であることは同原告の自認するところであるから、右は明治開発が一審原告に代ってユム田の土地代金の一部二〇〇万円を支払ったものと認めるべきであるところ、一審原告がこの間の事情につき何らの弁明もしない本件においては、米山の土地の転買人である明治開発が右手付金を支払う代りに、一審原告の支払うべきユム田の土地代金の一部二〇〇万円を支払ったものと考える余地が十分にあること、以上の各事実は、」

(一〇)  同四二枚目裏六行目の「乙第一六号証」を「乙第一七号証の一」と改め、同四三枚目表五行目の冒頭に「原審における一審原告本人尋問の結果(第一回)により、」を付加し、同七行目の「記載した」の次に「と認められる」を挿入し、同八行目の「前記米山、ユム田の各土地」を「前記ユム田の土地」と、同一二行目の「前記」から「よれば」までを「大久保一二三名下の印影が同人の印章によることにつき争いがない事実に弁論の全趣旨を総合して真正に成立したものと認められる乙第一九号証、前記乙第三七号証によれば」と、各改める。

(一一)  同四四枚目表六行目の「(第一、二回)」の次に「及び当審における一審原告本人尋問の結果」を挿入し、同枚目裏一行目の「まず」から同四五枚目表二行目の「つぎに、」までと、同二行目から三行目にかけての「原告本人尋問の結果のうちには、」を、各削除し、同八行目の「のであるという部分がある」を「というのである」と、同枚目裏四行目の「原告本人尋問の結果(第一、二回)」を「前記本人尋問の結果」と、各改める。

(一二)  同四五枚目裏六行目の「以上によれば」から同一二行目末尾までを、次のとおり改める。

「以上によれば、一審原告は、「荒尾政英」の氏名を用いて、昭和三九年八月上旬頃米山の土地を代金六六〇万円で買受け、同年九月二五日これを明治開発に転売し、前記(二)(6)のとおり昭和四〇年二月二八日までにその代金として八四〇万円の支払を受けた事実を認定するのが相当である。もっとも、成立に争いのない甲第四四号証によれば、右米山の土地については、昭和三九年一二月一六日までに、明治開発が前記の全共有者から直接所有権移転登記を受けていることが明らかであるので、右認定に従うと、転売代金完済前に右中間省略登記が経由されたことになり、不動産取引における通例に照らしいささか異常な感じを免れないが、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一四一号証、当審証人岩本桂典の証言によれば、右土地の取得を希望したのは明治開発であったが、同社に資金が不足していたため、「荒尾政英」に右資金提供者として参加して貰い、一旦同人が買取ったものを短期間のうちに明治開発がより高額で転買し、「荒尾」に利益を得させる旨の約定のもとに、右土地の売買がなされたことが認められるので、かかる事実からすれば、右転買代金の支払については、「荒尾」と明治開発との間で「荒尾」に損害が及ばないよう特別の約定をしたうえで、その完済前に前記中間省略登記を経由したものと推認することも可能であり、したがって、前記中間省略登記が転売買代金完済前に経由された事実も、いまだ前記認定の支障とはならない。そして、前記一審原告の事業について判示したところからすれば、右転売による収入は、一審原告の昭和三九年分事業所得の収入にあたるものというべきである。」

(一三)  同四六枚目表一行目の「ところで」から同枚目裏七行目末尾までを、次のとおり改める。

「ところで、一審被告は、米山の土地の売渡価格は一〇四〇万円が真実であり、その理由として、前記八四〇万円の支払のほかに、明治開発は「蓄尾政英」に対する手付金二〇〇万円の支払期日である昭和三九年一〇月一六日に金額二〇〇万円の小切手を振出し、これを一審原告が受取り裏書しているので、右二〇〇万円は米山の土地の手付金の支払の性質をもつものであると主張する。しかしながら、原審(第一回)及び当審における一審原告本人尋問の結果によれば、右二〇〇万円の小切手は一審原告の明治開発に対する貸金等の返済として受領したというのであり、当時一審原告の明治開発に対する貸付債権が存在したことは、原審証人手島康弘、当審証人岩本桂典、同角和哉の各証言によりこれを認めることができるし、また、前記認定のとおり、明治開発は米山の土地代金の支払のため同年一〇月一五日にも金額二〇〇万円の小切手を振出しているので、もし一審被告の右主張が正しいとすれば、明治開発は、米山の土地の手付金支払期日の前日に手付金とは別に代金二〇〇万円を支払ったことにならざるを得ないが、これは同契約上の代金支払方法(前記(二)(5))に徴し極めて不自然である。のみならず、前記のように、あえて仮名を用いて売買契約を締結して所得を隠そうとした者が、その手付金として受領した小切手に本名で裏書をするようなことは、通常考えられないことであるから、前記二〇〇万円の小切手が同額の手付金支払期日と同一の日に一審原告に対して振出されているという事実だけでは、一審被告主張の代金額一〇四〇万円の根拠とするには十分でなく、その他に右事実を認定するに足りる証拠はない。したがって、米山の土地の売渡価格は、前記契約書のとおり八四〇万円であると認定するほかはない。」

(一四)  同四七枚目裏三行目から四行目にかけての「六七六九万四九〇〇円」を「六八〇三万九九〇〇円」と改める。

(一五)  同四八枚目裏五行目末尾に続けて、次のとおり付加し、同八行目の「関係」とあるのを「関連」と改める。

「ところで、一審原告は、右米山の土地を同原告が取得して転売したと認められるとすれば、これに道路を取付けた工事代金一六〇万円も土地原価(必要経費)として控除すべきであると主張するけれども、原審証人緒方茂三の証言により真正に成立したと認められる乙第三三号証、原審証人手島康弘、当審証人岩本桂典、同角和哉、同佐野保の各証言によれば、米山土地の造成、レイアウト、販売計画等は、転買人として最終的に同土地を取得する約定であった明治開発が担当し、その工事代金もすべて(但し一部は一審原告振出にかかる手形を借りて)同社が支払ったものであることが認められ、右認定に反する証拠はないから、一審原告の右主張は採用することができない。」

(一六)  同五〇枚目表二行目の「乙第一一号証」の前に「前記」を挿入し、同五六枚目表一行目の「六六一〇」を「六一〇〇」と、同五七枚目表一〇行目の「前記」から同一二行目の「二三万四三五二円」までを「前記「九五六万六一〇〇分の二二〇万〇六六〇」である九万五六六円に、前記(ヌ)の三万七七一六円を加えた一三万四二八二円」と、同枚目裏三行目の「一五八万〇五三七円」を「一五八万〇四六七円」と、各改める。

(一七)  同六〇枚目表五行目の「一〇〇〇万六八六一円」を「九一六万二七五三円」と改め、同七行目の「及び」から九行目の「されたもの。」までを削除する。

(一八)  同六五枚目表四行目の「一月三〇日」を「一月三一日」と改め、同枚目裏一〇行目の「(第一、二回)」の次に「及び当審における一審原告本人尋問の結果」を挿入し、同六六枚目表七行目の「領収証二通」を「領収証一通(甲一三号証の八の二四)」と改め、同七行目の「右」から九行目の「と、」までを削除し、同枚目裏一行目の冒頭に「しかしながら、」を付加し、同七六枚目表一〇行目の「乙第一一七号証の一二」の前に「原審証人緒方茂三の証言により真正に成立したものと認められる」を、同枚目裏九行目の「当時から」の次に「小野寿鋼機株式会社との間で」を、各挿入する。

(一九)  同六八枚目表五行目冒頭から同六九枚目表一〇行目末尾までを、次のとおり改める。

「かえって、成立に争いのない乙第一三四号証、第一三六号証、当審証人戸上大士の証言によれば、前記小野寿鋼機株式会社小野寿市名義の貸付金は、同社に信用がなかったため、旭融資株式会社が、特に一審原告らの連帯保証のもとに、小野寿鋼機株式会社に営業資金として貸付けたものであることが認められるから、その余の点につき判断するまでもなく、前記借入金利息一四八万三〇〇〇円は全額必要経費に該当しないといわなければならない。」

(二〇)  同七〇枚目裏三行目の「九一六万二七五三円」を「八一三万九五〇三円」と、同七五枚目表一一行目の「九二四万二九三九円」を「一〇六一万一二五九円」と、同枚目裏一行目の「六七六九万四九〇〇円」を「六八〇三万九九〇〇円」と、同二行目の「五八四五万一九六一円」を「五七四二万八六四一円」と、同三行目の「四六九〇万六〇四七円」を「四六九〇万五九七七円」と、同五行目の「一五八万〇五三七円」を「一五八万〇四六七円」と、同六行目の「一一五四万五九一四円」を「一〇五二万二六六四円」と、同七六枚目表八行目の「九一六万二七五三円」を「八一三万九五〇三円」と、同九行目の「九二四万二九三九円」を「一〇六一万一二五九円」と、各改める。

(二一)  同七九枚目表二行目の「(第一、二回)」の次に「及び当審における一審原告本人尋問の結果」を挿入し、同七行目の「(6)」を「6」と改める。

(二二)  同八三枚目裏一二行目の「前記甲第三四、三五」を「前記甲第三四号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる同第三五」と改める。

(二三)  同八四枚目裏三行目の「九二四万二九三九円」を「一〇六一万一二五九円」と、同四行目から五行目にかけての「一〇四六万五六六一円」を「一一八三万三九八一円」と、各改め、同七行目の次に改行して、次のとおり付加する。

「なお、一審原告は、本件更正処分の審査裁決においては、事業所得一二五二万〇八五八円、譲渡所得二〇万三七八六円と認定されているのに、一審被告が本訴において、事業所得を一三六三万一五二五円、譲渡所得を六七万二七二二円と主張するのは、一審原告の利益に反し、不利益変更禁止の原則に違反する旨主張するが、更正処分取消訴訟においては、当該更正処分による課税総所得金額又は税額が客観的に存在するか否かによって右処分の違法性の有無が決せられるものであり、総所得金額を構成する各種所得の内容は単なる攻撃防禦方法にすぎないものと解すべきことは前記のとおりであるから、一審被告が更正処分の効力を維持するため、当該処分当時に認定した額を超える所得が存在することを主張すること自体は、何ら右処分を変更することにはならないし、また、本判決においては、右のとおり、更正処分の認定した(但し裁決により取消されたもの)総所得金額を超える額を認定しておらず、右処分以上に税額の増加はあり得ないのであるから、不利益変更禁止の原則に違反するものではないというべきである。」

二  以上の次第で、一審原告の控訴は理由がないからこれを棄却し、一審被告の控訴に基づき右と異なる原判決を前記のとおり変更すべく、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九六条前段、八九条、九二条本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 美山和義 裁判官 谷水元央 裁判官 江口寛志)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例