大判例

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福岡高等裁判所 昭和59年(う)207号 判決

証人浅成治の当審公判廷における供述,「RS-7AD形レーダースピードメータ取扱説明書」と題する書面(写し)及び司法警察員長野明外1名作成の実況見分調書によると,所論の速度測定報告書記載の測定結果は,三菱電気株式会社製の「RS-7AD形レーダースピードメータ」というレーダースピードメーターによる測定結果であり,同メーターには,「測定可能範囲」といわれるものがあること,同メーターの「測定可能範囲」には,「遠」の場合と「近」の場合の二種類があり,切替スイツチにより,いずれかを選択できること,同メーターの取扱説明書中には,中型乗用車(被告人車はこれに該当する。)を測定対象とする場合,右「測定可能範囲」は,送受信装置の測定範囲切替スイツチを「遠」にしたときで,同装置から約70メートルまで,「近」にしたときで同装置から約35メートルまでである旨の記載があること,そして被告人車の走行速度が測定された際には,レーダースピードメーターの「測定可能範囲」は,右「遠」の方にされていたが,同測定時における被告人車の位置は,同メーターの送受信装置から約160メートルも離れたところであって,同メーターの「測定可能範囲」(右のとおり,「遠」の場合で約70メートル)から大きくはずれていたことが認められるけれども,一方,(1)証人松山宏の当審公判廷における供述によると,右にいう「測定可能範囲」とは,右レーダースピードメーターを製作した三菱電機株式会社が,同範囲内を進行中の車両については,その走行速度を測定することができることを保証するという趣旨のものであり,同範囲を超えた地点を進行中の車両であっても,その走行速度の測定が,実際には,しばしば可能であって,しかも,その場合測定された結果は,真実の速度よりもやや低いものとなることはあっても,高いものとなることは,極めて例外的な条件のそろったときに真実の速度の約2倍の結果の出ることがある(いわゆる多重反射の場合)ほかには,考えられず,被告人車の走行速度の測定がなされた原判示の場所には,右例外的条件がそろっているとはみられないことが認められ,更に,(2)司法警察員木原節生外1名作成の実況見分調書及び証人木原節生の当審公判廷における供述によると,司法警察員木原節生らが,原判示の場所において,被告人車の走行速度測定に使用したのと同一のレーダースピードメーターを用い,その測定のときと同様の方法によって,普通乗用自動車の走行速度を測定する実験を7回したところ,いずれの場合も,同メーターの送受信送置から,約154メートルないし約186メートル離れた地点を進行して来る右自動車の走行速度が測定されていることが認められるので,以上の各事実を総合して考えると,レーダースピードメーターにより被告人車の走行速度の測定されたときにおける同車の位置が,同メーターの前記の意味における「測定可能範囲」から大きくはずれていたことは確かであるが,そうであるからといって,同メーターによる被告人車の走行速度の測定結果の信用性が左右されることはないというべきである。従って,弁護人の主張を採用することはできない。

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