福岡高等裁判所 昭和59年(う)390号 判決
本件は,被告人が現実に利益を得,もしくは利益を得べき状態を作出したという事案であって,被告人自身の覚せい剤に対する親和性には根深いものがあるばかりでなく,原判示第1の営利目的事犯は,覚せい剤による幅広くて深刻な害毒が大きな社会問題とされている現在,無為徒食の生活を送りながら,自己の利益を追求するために,覚せい剤による害悪を社会に拡散して,現実に利益を得,又はその害悪を社会に拡散しようとして利益を得べき状態を作出したものとして犯情はなはだ悪質であること,そして被告人には罰金刑の前科が2回あること,及び覚せい剤取締法第41条の2第2項が「又は情状により一年以上の有期懲役及び罰金300万円以下に処する。」としている法意並びに原判示第1の各事犯と同種の他の事犯に対する科刑との均衡を考慮すると,被告人の本件刑事責任は重大であって,被告人が本件各犯行に及んだことを反省していることなど記録に現われている被告人に有利な事情を十分に斟酌しても,本件は,被告人に対して懲役刑と罰金刑を併科すべき事案であり,被告人を懲役3年4月に処した原判決の刑の量定は,その意味において軽きに失して不当であるから,原判決は破棄を免れない。