大判例

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福岡高等裁判所 昭和26(ホ)1424 高裁判例

主 文

原判決を破棄する。

被告人を懲役六月に処する。

理 由

弁護人高良一男の陳述した控訴の趣意は同弁護人及弁護人古賀俊郎各提出の同趣

意書記載の通りであるから茲に之を引用する。

高良弁護人の論旨第四点(擬律錯誤)について。

<要旨>原判決は所論のような罰則の適用は判示しているけれども銃砲等所持禁止

令第一条の所謂火薬類とは同令施</要旨>行規則第一条第二号により陸軍若くは海軍

に於て、又は陸軍若くは海軍の命令によつて戦闘用途に供するために製造した火

薬、爆薬、火工品をいうのであつて銃用実砲はその火工品に属することが明白に規

定されている。従つて同令第二条の犯罪を構成するが為にはその火薬類が叙上の要

件を具備することを要し、米国製実砲の如きは斯る要件を具備しないこと多言を俟

たない。故に右米国製実砲の所持は同令第二条の犯罪を構成しないものと言はざる

を得ない。然るに原判決は斯る米国製実砲の所有を同令第二条の犯罪の成立を認

め、被告人に対し有罪の判決を言渡したのは法令の適用を誤つた違法があり、その

誤りは判決に影響を及ぼすこと明白であるから原判決は破棄を免れない。

そこで刑事訴訟法第三百九十七条に則り原判決を破棄し、同法第四百条但書に基

き次の通り自判する。

当審の認定した事実は原判決の犯罪事実中「同実包二十一発」を削除した外罪と

なるべき事実及証拠の点については総て原判決摘示と同一であるから茲にこれを引

用する。

法律によると被告人の判示所為は銃砲刀剣類等所持取締令附則第三項、銃砲等所

持禁止令第二条第一条、同令施行規則第一条第一号、罰金等臨時措置法第二条に該

当するので所定刑中懲役刑を選択しその刑期内に於て被告人を懲役六月に処する。

尚本件公訴事実中被告人は法定の除外事由なく判示日時場所に於て米国製実包を

所持していたものであると言うにあるが、右実包は銃砲等所持禁止令第一条の火薬

類に該当しないので同令第二条の犯罪を構成しない。そこで刑事訴訟法第三百三十

六条前段により被告人に対し無罪の言渡を為すべきも右は判示認定の公訴と一所為

数罪の関係あるものとして公訴の提起がなされているので特に主文に於て無罪の言

渡を為さない。

そこで主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 筒井義彦 裁判官 川井立夫 裁判官 櫻木繁次)

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