大判例

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福岡高等裁判所 昭和28(う)1756 高裁判例

主 文

本件控訴を棄却する。

理 由

弁護人清水正雄の控訴趣意は、記録中の同人提出にかかる控訴趣意書に記載のと

おりであるから、ここに之を引用する。

控訴趣意第一点(事実誤認若しくは証拠によらずに事実認定の違法)について、

<要旨>しかし、職業安定法にいう職業紹介とは、同法第五条第一項に規定するよ

うに求人及び求職の申込を受け、</要旨>求人者と求職者との間における雇用関係の

成立をあつ旋することをいうのであるから、自ら又は人を介し、両者を引合わせ若

くはその手引きをするなど求人者と求職者との間に雇用関係の成立するようその機

会を作り出すことであつて、必ずしも自己自らが始終直接求人者と求職者との間に

介在し雇用関係の成立に関与することを要しないものと解すべきである。ところ

で、記録を検討してみるに、原判決挙示の関係部分の証拠を綜合すると、被告人は

予て判示Aから特殊飲食店に従業婦として住込みの世話をしてくれるよう依頼され

ていたところ、たまたま前からの知合いで酌婦等の口入れをするBの来訪を受け、

同人が山口県下の特殊飲食店稼ぎ女を物色中なることを知り、早速自宅で前記Aを

同人に紹介すると共に、同女の右従業婦住込みの希望を申伝えたので、同人は直に

之を引受け、同女を山口県a町に同伴し、更に同県宇部市において従兄Cに対し同

女の従業婦住込みの世話を依頼した結果、ここに原判示(その第三事実)のよう

に、Cの立会の下に求人側特殊飲食店DことEと求職者側Aとの間に前借金五万円

でAをE方に従業婦として雇入れの契約が締結せらるるに至つたことが明らかであ

つて、記録を精査するも、叙上の認定に誤があることを発見することができない。

果して然りとすれば、被告人は冒頭説示のとおり職業安定法第六三条第二号にいう

公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務である特殊飲食店の従業婦に就業させる目的

で、前記Aのために職業紹介を行つた者であることは論を俟たないから、之と同趣

旨に帰する原判決は相当で、論旨は到底採用することができない。

同控訴趣意第二点(量刑不当)について、

しかし、本件記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われた被告人の性

格、年齢、境遇並びに本件犯罪の動機、態様、その他諸般の情状及び犯罪後の情況

等を考究し、なお所論の情状を参酌しても原審の被告人に対する刑量はまことに相

当で、これを不当とする事由を発見することができないので、論旨は採用すること

ができない。

よつて、刑事訴訟法第三百九十六条に従い、本件控訴を棄却することとし主文の

ように判決する。 (裁判長裁判官 筒井義彦 裁判官 後藤師郎 裁判官 岡林

次郎)

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