福岡高等裁判所宮崎支部 平成27年(行コ)17号 判決 2015年9月09日
主文
1 原判決を取り消す。
2 本件訴えを却下する。
3 訴訟費用は、第1、2審とも控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第3当裁判所の判断
1 本件訴えの適法性
(1) 職権により判断するに、控訴人らの本件訴えは、地方自治法242条の2第1項3号に基づき提起されたものであるが、同号の「怠る事実」とは「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」(同法242条1項)であり、ここにいう「財産」とは、「公有財産(同法238条1項)、物品(同法239条1項)及び債権(同法240条1項)並びに基金(同法241条1項)」である(同法237条1項)。
しかるに、本件において、控訴人らが違法な財務会計行為として主張するのは、電子複写機等のリース契約の受注業者の選定を、結果に偏りのないように是正しないことであると解されるところ、これは、延岡市を借主とする一定の種類のリース契約につき契約締結方法の是正の不作為をいうものであり、公金の賦課・徴収の僻怠ではなく、延岡市の保有する上記「財産」の「管理」の懈怠にも該当しないことが明らかである。
したがって、本件訴えは、同法242条の2第1項3号所定の訴えに該当しない。
(2) 本件訴えは、同法242条の2第1項1号、2号又は4号のいずれかに該当すると解することもできない。
2 結論
以上の次第で、控訴人らの本件訴えは、同法242条の2第1項各号所定の住民訴訟のいずれにも該当しないから不適法であり却下を免れないというべきところ、これと異なる原判決は不当であるからこれを取り消し、本件訴えを却下することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佐藤明 裁判官 下馬場直志 秋元健一)