福岡高等裁判所宮崎支部 昭和25年(う)285号 判決
原判決挙示の各証拠を綜合すると被告人の所有に係る判示物置小屋が燃えると判示遠藤鶴吉方住宅等に延焼する危険性は極めて大きいこと、被告人が右物置小屋に判示の如く放火した際には相当酩酊していたけれども心神喪失の状況に在つたものではなく原判決認定のとおり右遠藤方の住宅等に延焼するに至るべきことを認識していた事実が認められるのであつて、記録を検討したが原判決には所論の如き事実誤認はない。然るところ刑法第百八条所定の住宅に延焼しこれを焼燬するに至るべき状況に在ることを認識しながらこれと隣接する同法第百九条所定の建造物に敢えて放火したときはたとえ住宅に延焼せず直接放火した建造物の一部を焼燬したのみで消止められた場合と雖刑法第百八条の住宅放火未遂罪を構成し同法第百九条の建造物放火罪を構成するものではない。従つて原判決が「被告人は………判示遠藤方住宅を延焼するに至るべきことを認識しながらこれと隣接する被告人所有の物置小屋に判示の如く放火したが遠藤鶴吉等が直ちに発見消火した為同物置小屋の一部を焼燬したのみで遠藤方の住宅を焼燬するに至らなかつた。」という認定事実に対し刑法第百八条第百十二条を適用したのは正当である。
(註。本件は量刑不当により破棄自判)