福岡高等裁判所宮崎支部 昭和27年(う)515号 判決
右拵鉄郎が原判示の昭和二十五年三月二十三日被告人の経営する旅館で飲食した際被告人の妻において同旅館名義の受取書一通を作成し相当印紙を貼用しないで同人に交付したところ右の受取書は拵が自己の経営する合資会社拵商店から右の飲食費を支出させる目的のために仮に交付せられたものであつて当時現金の支払がなされたものではないこと、更にその翌日頃現金を受取るに際しては正式に印紙を貼付した受取書を発行交付したことが認められる。従つて被告人が押収の証第一号の受取書を発行するに際しては現実に金員が支払われたものではなく仮装的に作成せられたものであることが認められるところ印紙税法にいわゆる受取書とは金銭であると物品であるとを問はず受領を証明する書面であるから現実金銭物品を受取ることなくして仮装的に作成せられた書面はその形式内容が受取書の形態をなしていたとしてもそれは同法上の受取書ということはできないからこれに対して同法所定の印紙を貼付するの要はないものといわなければならぬ。従つて右書面に相当印紙を貼付しなかつた事実に対して印紙税法所定の罰則を適用処断した原判決は事実を誤認したか法律の解釈を誤つた違法があるといべうく結局破棄を免れない。